「難病撲滅」「社会保障費減少策」の一途として、国の姿勢を問う意見書(案)
~ その前提としての趣意書 ~
近年、わが国の少子高齢化は急速に進み、社会保障費の激増は憂慮すべき緊急課題となって久しいものの、最近の報道によると、少子化が増加に転じてきた兆しも見え、国家予算を組んで取り組む国はそれなりの成果は着実にあげているというデーターも併せて報告されております。
転じて、去る2009年2月10日、約7年ぶりに厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会が開催されたそうですが。そこで大臣自ら明らかにされたことに、わが国の難病対策は、昭和47年の『難病対策要綱』が示されて以来、『難治性疾患克服研究事業』及び『特定疾患治療研究事業』の二本立ての事業により医療施設整備はもとより、調査研究との推進などに本格的に取り組んで30数年経過したものの、残念ながら、未だに診断法や治療法の未確立な疾病が殆どで、過去の厚労省のデーターによれば、対象疾病数も患者数も増える一方、加えて潰瘍性大腸炎やパーキンン病に見る患者数の激増と発症の低年齢化は社会保障費の増大に無縁でもなく、地方財政の負担も増大の一途でした。特に特定疾患は、医療費助成という福祉的役割を大きく果たしてきておりますが、その増加ぶりに、まず軽症患者が対象から外され、次に「希少性」の要件を根拠に、、更に急増する2疾患の軽症患者の除外が提起されるも、与党2党による政治的人道的観点より、一定の国家予算を確保等の緊急決議をもって、削減は免れたのが3年前。以来、地方の負担も最初の合意内容の折半という形に戻すべく、軽減されてもきました。
当時のP病患者会の訴えによると、すでに軽症のヤール度1.2の患者は最初から特定疾患の対象から外されており、中等症のヤール3が外しの対象とされたのです。これが行使されると、重度患者しか対象として残れず、重度医療と重なり、最も医療助成を必要とするヤール3の患者の悲惨さが理解されたこともあり、特定疾患事業の形骸化と矛盾の露呈はさけられました。しかし発症の予防につながる原因究明は未だ進んでおらず、このままでは患者の抱えた実状と認定の落差は拡大するばかり。それによって再びもたらさる悲惨な事件も危惧されるところです。
話し転じて、すでに日本が世界で5番目に制定した『がん対策基本法』には、癌の撲滅を国の責務として明示しており、以後、確実に成果をあげているようにお見受けしております。今や3人に一人ががんと言われる現状にあっても、国民は冷静に対処し、早期発見の効果か、治癒率も年々上昇し、原因物質も次第に限定され、今や一部「生活習慣病」だと言う見方もあるほどで、国立がんセンターの総長自ら、何年後に減少に転じ、何年後には半減させたいと言う見通しを示されるなど、国民は『癌克服』という希望を抱きつつあります。
方や、「難病」は、その定義すら曖昧で、過去のしがらみや社会運動のいきさつもあり、遺憾ながら遅れをとってきました。それとは別に、医学研究の進歩は、国際競争の激化と共に、日進月歩の勢いで、殊に再生医療分野の成果は、それが国益にも通じることを幅広く認識させました。
日本は、地球温暖化への関心が高い経済大国でありながら、反面『難病大国』『癌大国』とも揶揄されております。難病の発病に地域偏在は認められず、地方行政のありようにその責任はありませんし、地方が切磋琢磨して取り組むべき問題は、現実の患者と家族をいかに支えるかと言う具体的施策でありましょう。また科学研究と技術革新は環境浄化をも可能にし、話題のips細胞など再生医療は難病完治への扉と期待されております。しかし、発症のメカニズムを明らかにしなければ、難病の予防策を講じることは不可能です。難病の主体者は患者であり、臨床医がその実態を客観的に最も知る存在ですが、法制化への取り組みの中で、この当事者たちの声が軽視されてきたのがこれまでの国政の傾向ではないでしょうか。特定疾患が事業としての限界を迎えている中で、この流れを変革し、国民に蔓延してきて一般的に知られつつある中枢神経難病P病を難病のトップランナーとして、WGという、がん患者会に続く患者の実情を聴取する勉強会を作られたことは、難病患者たちに大いなる希望を与えるとともに、与党体質を一新させました。
一方、各種の法律や施策は民間からの組織運動を受けた結果が大きく、その重なりやよれやひずみは、年々肥大する傾向にあり、行政の現場では、福祉の精神に反する『申請主義』という開き直りが横行しております。
ここで原点に帰り、わが国の憲法25条、いわゆる「生存権」の精神に立ち返れば、癌同様に、「国の責務」として、この難病の撲滅に取り組むべきであり、『難病』の概念そのものからの柔軟なる見直しと、最低限の療養生活の保障はもとより、そのための恒常的財源確保を含めた国としての長期的展望にたった国家対策の姿勢を明示し、具体的な法整備も含め、絶望へと向かうしかない各地の難病患者の生存権を保障し、国民に「健康回復」という生きる希望を与えることが出来るのは政府であり、それこそが国政の使命との認識で当議会は一致いたしました。
現実、地元の難病患者の訴えを聞くと、原因不明ということはいつ何時誰が発症するやも知れず、その宣告は絶望へと誘い、社会的偏見との葛藤も強いるのですが、その患者の多くが、まじめで精勤してきた人たちだと言う臨床医の指摘も言い古されてきた事です。
かつて政府は、新自由主義の市場原理を医療福祉の分野にも導入したことで、医療や福祉はやはり、ある程度国を挙げて保障されなければならない分野でもあることを悟らせました。世界の先例にもそれは明らかです。「医療崩壊」や「医療難民」をこれ以上増やさない努力は、全国各地で展開中ですが、難病に限っては、財源確保はもとより、就労または年金問題も含め、特殊領域としての統括的見直しを強く求めるものです。
難病の撲滅への歩みこそが、健全なる国民を増やし、国力増強は無論、社会保障費の減少も現実みを帯びてくるものと期待し、下記の事項を強く要望いたします。
記
1、 医学研究の目覚しい進歩により、難病の完治が夢物語でなくなりつつある現在、政府は、財源確保を含め、「難病」の定義そのものから、広義または狭義とその概念を早期に確立し、「難病対策」を医療研究の部門、福祉部門としての医療助成、生活助成など、社会保障全般の統括的見直しを進めること。難病患者とその家族の社会参加と半就労形態構築などを図り、その生存する権利を後退ないよう保障し、最先端医療などで完治した患者の社会復帰支援策や最低障害基礎年金引き上げ決議の早期施行もあわせて要望する。
2、 政府は、パーキンソン病WGに倣い、政官民の協力体制を定着させ、患者当時者とその臨床研究医の声を尊重しつつ、制度受益者の声を聞き取る努力を更に押し進め、それに即した法律や施策を更に見直すこと。また完治と予防策構築のため、原因究明に主力を尽くし、軽症者を含む実態解明から着手し、病気の主体者である患者当事者を主軸にした三位一体の取り組みを推進、その重症化を阻むべく、「寝たきりゼロ実現へ」情報公開にも努めること。
3、 患者会の社会的貢献と意義を認め、各部門の医師会との連携を図り、医療薬事介護行政の更なる向上を期し、関連教育機関要請、科学的認定基準の策定などに、民間活力を活かすこと。
4、各地の『難病相談支援センター』の活動成果を高めるため、更なる連携と相互情報開示を進める。各臓器バンクや先端医療研究機関の併合、日本固有の東洋医学や民間療法の採用研究も含め、患者会拠点などの、難病の全国からの情報集積・及び研究・発信基地として、『国立難病支援・情報研究センター』(仮称)いわゆる難病のナショナルセンター設置を要望する。このことは社会で弱者の立場にある難病患者が搾取される事のない社会の実現に近づく事であり、健康を冒されて最底辺の苦しみに喘ぐ国民の救済こそ、国民の安心獲得、幸福感の享受、あるいは国力増強に結びつく意義ある国家的先行投資であり、「難病撲滅」を目指す「健康大国」とも評されるように、臓器移植の点からも『神の手を持つ日本人医師』の国として、世界の先進的役割を果たせるように。その一歩とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成21年 月 日 ○○県議会
○○県会議 議長
○○○○
〔提出先〕衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・厚労大臣
( 文責 JPDA 前副会長・自民党PDWG発起人 綾もみじ)
~ その前提としての趣意書 ~
近年、わが国の少子高齢化は急速に進み、社会保障費の激増は憂慮すべき緊急課題となって久しいものの、最近の報道によると、少子化が増加に転じてきた兆しも見え、国家予算を組んで取り組む国はそれなりの成果は着実にあげているというデーターも併せて報告されております。
転じて、去る2009年2月10日、約7年ぶりに厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会が開催されたそうですが。そこで大臣自ら明らかにされたことに、わが国の難病対策は、昭和47年の『難病対策要綱』が示されて以来、『難治性疾患克服研究事業』及び『特定疾患治療研究事業』の二本立ての事業により医療施設整備はもとより、調査研究との推進などに本格的に取り組んで30数年経過したものの、残念ながら、未だに診断法や治療法の未確立な疾病が殆どで、過去の厚労省のデーターによれば、対象疾病数も患者数も増える一方、加えて潰瘍性大腸炎やパーキンン病に見る患者数の激増と発症の低年齢化は社会保障費の増大に無縁でもなく、地方財政の負担も増大の一途でした。特に特定疾患は、医療費助成という福祉的役割を大きく果たしてきておりますが、その増加ぶりに、まず軽症患者が対象から外され、次に「希少性」の要件を根拠に、、更に急増する2疾患の軽症患者の除外が提起されるも、与党2党による政治的人道的観点より、一定の国家予算を確保等の緊急決議をもって、削減は免れたのが3年前。以来、地方の負担も最初の合意内容の折半という形に戻すべく、軽減されてもきました。
当時のP病患者会の訴えによると、すでに軽症のヤール度1.2の患者は最初から特定疾患の対象から外されており、中等症のヤール3が外しの対象とされたのです。これが行使されると、重度患者しか対象として残れず、重度医療と重なり、最も医療助成を必要とするヤール3の患者の悲惨さが理解されたこともあり、特定疾患事業の形骸化と矛盾の露呈はさけられました。しかし発症の予防につながる原因究明は未だ進んでおらず、このままでは患者の抱えた実状と認定の落差は拡大するばかり。それによって再びもたらさる悲惨な事件も危惧されるところです。
話し転じて、すでに日本が世界で5番目に制定した『がん対策基本法』には、癌の撲滅を国の責務として明示しており、以後、確実に成果をあげているようにお見受けしております。今や3人に一人ががんと言われる現状にあっても、国民は冷静に対処し、早期発見の効果か、治癒率も年々上昇し、原因物質も次第に限定され、今や一部「生活習慣病」だと言う見方もあるほどで、国立がんセンターの総長自ら、何年後に減少に転じ、何年後には半減させたいと言う見通しを示されるなど、国民は『癌克服』という希望を抱きつつあります。
方や、「難病」は、その定義すら曖昧で、過去のしがらみや社会運動のいきさつもあり、遺憾ながら遅れをとってきました。それとは別に、医学研究の進歩は、国際競争の激化と共に、日進月歩の勢いで、殊に再生医療分野の成果は、それが国益にも通じることを幅広く認識させました。
日本は、地球温暖化への関心が高い経済大国でありながら、反面『難病大国』『癌大国』とも揶揄されております。難病の発病に地域偏在は認められず、地方行政のありようにその責任はありませんし、地方が切磋琢磨して取り組むべき問題は、現実の患者と家族をいかに支えるかと言う具体的施策でありましょう。また科学研究と技術革新は環境浄化をも可能にし、話題のips細胞など再生医療は難病完治への扉と期待されております。しかし、発症のメカニズムを明らかにしなければ、難病の予防策を講じることは不可能です。難病の主体者は患者であり、臨床医がその実態を客観的に最も知る存在ですが、法制化への取り組みの中で、この当事者たちの声が軽視されてきたのがこれまでの国政の傾向ではないでしょうか。特定疾患が事業としての限界を迎えている中で、この流れを変革し、国民に蔓延してきて一般的に知られつつある中枢神経難病P病を難病のトップランナーとして、WGという、がん患者会に続く患者の実情を聴取する勉強会を作られたことは、難病患者たちに大いなる希望を与えるとともに、与党体質を一新させました。
一方、各種の法律や施策は民間からの組織運動を受けた結果が大きく、その重なりやよれやひずみは、年々肥大する傾向にあり、行政の現場では、福祉の精神に反する『申請主義』という開き直りが横行しております。
ここで原点に帰り、わが国の憲法25条、いわゆる「生存権」の精神に立ち返れば、癌同様に、「国の責務」として、この難病の撲滅に取り組むべきであり、『難病』の概念そのものからの柔軟なる見直しと、最低限の療養生活の保障はもとより、そのための恒常的財源確保を含めた国としての長期的展望にたった国家対策の姿勢を明示し、具体的な法整備も含め、絶望へと向かうしかない各地の難病患者の生存権を保障し、国民に「健康回復」という生きる希望を与えることが出来るのは政府であり、それこそが国政の使命との認識で当議会は一致いたしました。
現実、地元の難病患者の訴えを聞くと、原因不明ということはいつ何時誰が発症するやも知れず、その宣告は絶望へと誘い、社会的偏見との葛藤も強いるのですが、その患者の多くが、まじめで精勤してきた人たちだと言う臨床医の指摘も言い古されてきた事です。
かつて政府は、新自由主義の市場原理を医療福祉の分野にも導入したことで、医療や福祉はやはり、ある程度国を挙げて保障されなければならない分野でもあることを悟らせました。世界の先例にもそれは明らかです。「医療崩壊」や「医療難民」をこれ以上増やさない努力は、全国各地で展開中ですが、難病に限っては、財源確保はもとより、就労または年金問題も含め、特殊領域としての統括的見直しを強く求めるものです。
難病の撲滅への歩みこそが、健全なる国民を増やし、国力増強は無論、社会保障費の減少も現実みを帯びてくるものと期待し、下記の事項を強く要望いたします。
記
1、 医学研究の目覚しい進歩により、難病の完治が夢物語でなくなりつつある現在、政府は、財源確保を含め、「難病」の定義そのものから、広義または狭義とその概念を早期に確立し、「難病対策」を医療研究の部門、福祉部門としての医療助成、生活助成など、社会保障全般の統括的見直しを進めること。難病患者とその家族の社会参加と半就労形態構築などを図り、その生存する権利を後退ないよう保障し、最先端医療などで完治した患者の社会復帰支援策や最低障害基礎年金引き上げ決議の早期施行もあわせて要望する。
2、 政府は、パーキンソン病WGに倣い、政官民の協力体制を定着させ、患者当時者とその臨床研究医の声を尊重しつつ、制度受益者の声を聞き取る努力を更に押し進め、それに即した法律や施策を更に見直すこと。また完治と予防策構築のため、原因究明に主力を尽くし、軽症者を含む実態解明から着手し、病気の主体者である患者当事者を主軸にした三位一体の取り組みを推進、その重症化を阻むべく、「寝たきりゼロ実現へ」情報公開にも努めること。
3、 患者会の社会的貢献と意義を認め、各部門の医師会との連携を図り、医療薬事介護行政の更なる向上を期し、関連教育機関要請、科学的認定基準の策定などに、民間活力を活かすこと。
4、各地の『難病相談支援センター』の活動成果を高めるため、更なる連携と相互情報開示を進める。各臓器バンクや先端医療研究機関の併合、日本固有の東洋医学や民間療法の採用研究も含め、患者会拠点などの、難病の全国からの情報集積・及び研究・発信基地として、『国立難病支援・情報研究センター』(仮称)いわゆる難病のナショナルセンター設置を要望する。このことは社会で弱者の立場にある難病患者が搾取される事のない社会の実現に近づく事であり、健康を冒されて最底辺の苦しみに喘ぐ国民の救済こそ、国民の安心獲得、幸福感の享受、あるいは国力増強に結びつく意義ある国家的先行投資であり、「難病撲滅」を目指す「健康大国」とも評されるように、臓器移植の点からも『神の手を持つ日本人医師』の国として、世界の先進的役割を果たせるように。その一歩とすること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成21年 月 日 ○○県議会
○○県会議 議長
○○○○
〔提出先〕衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・厚労大臣
( 文責 JPDA 前副会長・自民党PDWG発起人 綾もみじ)