菅首相、仙谷官房長官、馬渕国交相、前原外相は「情勢判断」を怠り、現場官僚に責任を押し付ける無責任ぶり

2010年12月23日 16時33分58秒 | 経済
◆菅直人政権の根底を揺るがせた中ロ関係事件の処分が12月22日、同時に行われた。1つは、尖閣諸島周辺海域で起きた中国漁船衝突ビデオ流出事件、いま1つは、ロシアのメドベージェ大統領が日本の北方領土の1つである国後島を訪問した事件である。
 読売新聞は23日付け朝刊1面トップ記事で中国漁船衝突ビデオ流出事件処分について「『尖閣流出』保安官を停職」「本人辞職 長官ら23人も処分」「保安官を書類送検」と報じた。メドベージェ大統領国後島訪問事件については、「総合面」(2面)で「駐露大使交代へ」「河野氏後任に原田氏」と伝えている。
◆この2つの事件に対する処分は、いずれも菅首相や仙谷由人官房長官、馬渕澄夫国土交通相、前原誠司外相ら政権を担当している政治家の責任を不問に付し、現場の官僚たちに全責任を押し付けるという世にも恥ずかしい「無責任体質」をさらけ出したものとして、戦後日本史上、特筆されるべきであろう。
◆それは、国家の命運を左右する「情報収集」とそれに基づく「情勢判断」をだれが行うかという基本的な問題に根ざしている。
 改めて言うまでもなく、「情報収集」と「情勢判断」は、もとより、国家最高指導者である「内閣総理大臣」が行うべき最重要の仕事である。これに国政の枢要に関与している各閣僚が続く。この立場に立って「何を情報収集するか」を現場官僚に指示、命令する。現場から上がってくる「様々な情報」から取捨選択して、それらに材料に「情勢判断」するのである。「情勢判断」は、戦争に関わる外交・軍事情勢から、国際国内政治・経済・社会に関する情勢に至るまで、幅が広い。このなかでも最重要なのは、戦争に関わる外交・軍事情勢である。
 ところが、菅首相や仙谷由人官房長官、馬渕澄夫国土交通相、前原誠司外相ら政権を担当している政治家は、「情報収集」が稚拙であるばかりか、「情勢判断」に至っては、幼稚以前に、「情勢判断能力」もなく、「情勢判断技術」は、無能そのものであった。
◆まず、菅政権は、中国共産党1党独裁の北京政府が、日中平和友好条約に明記されている「覇権条項」(日中両国は共に覇権を求めないとの約束)に反した無謀無法な野蛮行動を繰り広げているのに、北京政府が機嫌を損ねるのを恐れて、自民党政権以来の遠慮がちな「媚中外交」を踏襲し、弱腰外交を続けようとしていた。その矢先に今回の事件が起きたのてある。ビデオをユーチューブに公開した勇気ある海上保安官は、この軟弱外交の犠牲者である。マスメディアも情けない。流出ビデオは、本来自分たちがスッパ抜くべきだったのに、海上保安官の国家公務員法違反と海上保安庁の「情報管理の杜撰さ」のみを報道している。といことは、マスメディアは、あのビデオをスッパ抜く必要はなかったということなのか。大本営発表だけを書けば、それでマスメディアの責任と義務を果たしたとでも主張しているかのような論調ばかりである。マスメディアは、腐りきっているらしい。
 さらに言えば、今後、強気の北京政府が同じような事件を起こした場合、やはりビデオは、あくまでも「秘密」にし、国民の目を塞ぐつもりなのであろうか。それならば、いっそのこと、中国漁船を銃撃して、撃沈するばよい。証拠隠滅にもなる。
◆次に、駐ロ大使の更迭である。確かに儀典外交で超高級ワインやウオッカ、コニャックを毎夜毎夜ガブ飲みし、文字通り酒池肉林の生活を送っていれば、外交官が「スパイ」であることを忘れてしまうのは当たり前である。その無責任さは、確かに咎められて然るべきだろう。
 しかし、メドベージェフ大統領の動静については、外交官に頼らずとも、特派員たる新聞記者や情報収集の優秀なるプロたる商社マンからの情報などもふんだんに入ってくる。  
 私も、このブログで指摘しておいたのだが、胡錦濤国家主席とロシアのメドベージェフ大統領は9月27日、 北京で首脳会談を行い、「第2次大戦終結65周年に関する共同声明」に署名したその前から、領土問題について、「歴史認識」を都合よく捻じ曲げて対日共同戦線を張り、実行に移していた。
 事実、読売新聞は9月28日付けの朝刊「総合面」(3面)の「スキャナー」欄で「尖閣・北方領で中露共闘 声明 中国が提案」「『対日歴史認識』歩調合わす」などと分析、今回の中国漁船(工作船)事件が、この日のために意図的に起こされたという見方を強調していた。
 それでなくても、メドベージェフ大統領は、菅直人政権誕生直後から「北方四島を返還して、日ロ平和友好条約を締結するから、日本は、アメリカと手を切ってくれ」とプレッシャーをかけてきていたという。
 菅首相は、これらの情報を基に、メドベージェフ大統領が何をしようとしているかを自ら「兆候察知」して、的確な「情勢判断」を下すべきであった。いかに優秀な官僚を抱えていても、最後に判断するのは、首相自身である。それに基づいて、日本として何をすべきかの次の対応策を決断し、行動するのである。
 だが、それができないまま、メドベージェフ大統領の行動を見逃してしまった。大統領は11月1日夜、わが国固有の領土である北方領土(四島=国後、択捉尻、歯舞、色丹)の1つである国後島を訪問したのである。
 菅首相は、急遽、河野雅治駐ロシア大使を一時帰国させた。河野ア大使は、3日、首相公邸で情勢報告し、これに対して、菅首相は、「しっかり情報収集するよう」指示、河野駐ロシア大使は、直ぐにモスクワにトンボ返りした。
 だが、菅首相からの仕打ちは、「河野駐ロシア大使更迭処分」であった。国家最高責任者である首相として果たさなければならなかった「情勢判断」という政治家としての責務を怠り、外交官僚に責任を押し付けて、自らの政権担当能力の欠如を隠蔽しようとしているのである。姑息なること、夥しい。

本日の「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」
「海外留学生11%減」は、日本の「国家衰亡」の兆候の1つ、西岡武夫参院議長の参院選挙制度改革私案は大きな間違い、日本列島格差社会を正せば解決可能だ

◆〔特別情報①〕「海外留学生11%減」「08年6万7000人」(読売新聞12月23日付け朝刊「1面」)というように、新聞、テレビ各社が一斉に文部科学省のまとめを報じている。読売新聞の記事が、減少の原因について、留学情報誌を発行する「留学ジャーナル」の加藤ゆかり副社長の話を掲載している曰く「少子化や学生の内向き志向の影響もあるが、厳しい就職戦線に乗り遅れまいと日本にとどまる学生も多い。企業側では国際人を求めて外国人を採用する動きもあり、悪循環に陥る可能性がある」と。
 
つづきはこちら→「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」*有料サイト(申し込み日から月額1000円)

メルマガ(有料)での配信もしております。
お申し込みはこちら↓


こちらも連載↓

『平成動乱 小沢一郎の野望』第1章 小沢一郎が描く日本のリーダー像―第2節 なぜいま強力なリーダーシップが求められるのか―首相のリーダーシップ



第1章 小沢一郎が描く日本のリーダー像
第2節 なぜいま強力なリーダーシップが求められるのか


首相のリーダーシップ

  国家最高指導者の精神や意識の改造は、まずその人物の国家最高指導者としてもつべき資性にむけられる。資性とは、人物がもっている天性のものである。生まれつきもっている性格や資質は、後天的に訓練によって磨きがかけられる。
 しかし、リーダーシップを発揮できるような首相が登場しない原因について小沢はこう分析する。

づきはこちら→「板垣英憲(いたがきえいけん)情報局」*有料サイト(申し込み日から月額1000円)

四王天延孝陸軍中将の名著「猶太(ユダヤ)思想及運動」No.56

メルマガ(有料)での配信もしております。
お申し込みはこちら↓


板垣英憲(いたがきえいけん)ワールド著作集ではこちらを連載中



『カルロス・ゴーンの言葉』 第5章 コミットメントを達成し、デッドラインを守る言葉―言葉45 目に見える成果を出すには時間を必要とする

言葉45
目に見える成果を出すには時間を必要とする

全社一丸となって行動計画を実行していますのでご安心ください。これらの問題は根が深いため具体的で目に見える成果を出すには、もう少し時間を必要としております。十年間もの間続いた低落傾向の後、妥協のない再生へのプロセスが始まってからまだ一年しか経っていないのですから。しかし、日産は、できるだけ早く収益を回復しなければ、これらの課題を達成することは不可能となります。今日、皆さんにお伝えするのは、日産リバイバルプランの最初のコミットメントが達成されようとしているということです。

◆学歴や出身組織は一切考慮しない

 ゴーンは、順風万帆の船出をして泰平の航海をしてしたわけではなかった。社内外から強いプレッシャーを受け続けていた。日産リバイバルプランの発表以来、今後の先行きについて数多くの疑問が寄せられた。それは、たとえば以下のようなものだった。

つづきはこちら→「板垣英憲(いたがきえいけん)ワールド著作集(申し込み日から月額1000円)

板垣英憲マスコミ事務所
にほんブログ村 政治ブログへ
ブログランキング

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 米国マイケル・グリーンはい... | トップ | 「連合」の古賀伸明会長の呼... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

経済」カテゴリの最新記事