国際協力NGO FreeBird フリーバード

スタッフが綴るフリーバードな日常。
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偽善者

2012-06-03 19:01:52 | 牛乳屋旧ブログ
今でも忘れられない光景がある。

中国広東省の深センでタクシーを降りようと精算していると、勝手にドアが開いた。
そこには黒いビニール袋を着た少年が立っていた。
その少年の凍るような視線に身体が固まり、動くことが出来なかった。
衝撃を受けた。
まさか隣の国にストリートチルドレンがいるなんて知らなかった。

好き勝手生きてきたあげく、ドロップアウトしてたどり着いた中国。
仕事も人間関係もうまくいかなかった。
騙されもしたが、結局いろいろな人に迷惑をかけてきたのに、当時の自分は何かツイてない、
そしてある意味俺は不幸だ、なんてそんな勝手な思い込みをしていた。

物価も安いこの国で失敗した過去に目をつぶっておけば、いろいろなものが変わってくれるんじゃないかとここに来た。
しかし、その国で目にしたものはそんな呑気な考えを打ち砕くものだった。

貧困だった。

ストリートチルドレン、児童労働、体を売って故郷の家族を支える少女達、
病気でも医者に診てもらうことも、薬を買う金もない、それでも懸命に生きている人たちだった。

自分は甘えていた。
生き抜くことに精一杯努力している人を前にして、自分が情けなく恥ずかしかった。
俺はどれだけ一生懸命生きてきたのか。
ほんのたまたま日本に生まれただけで、それで当たり前のように普通に暮らせていただけだったのだ。


その後、カンボジア、ベトナム、タイ、ラオス、ミャンマーなどをまわった。
どこの国にも学校に行けずに物乞いをする子供たちがいた。
少数民族が暮らす村や水上生活をしている集落では学校があっても、先生がいないという状況だった。
この今のきびしい生活を変えていくには、将来を支える子供たちが教育を受けることのできる環境が
必要なんだってことをあらためて感じた。
自分には何もできないし、何も変わらないって思ってたけど、実際にその国のいろいろな人々とふれあい、体験をするうちに、一人ではなく協力してくれる人達みんなとなら少しずつでも何か出来るかもしれないって思うようになった。

そんな時、もうすぐ70になる母親が書道の師範の試験に合格した。
母は10人姉妹(全員女です!)だったので学校に行きたくても行けなかった。
勉強したくてもそれも出来なかった。
それは子供の頃から聞いていた。
それでも55歳から習い始めて、ようやく長年の自分の夢をかなえたのだ。

その時私は思い、動くことにした。

たとえ今、勉強さえもままならない状況の子供たちでも、支援してあげることできっかけさえあれば
時間はかかっても、将来夢をかなえることが出来るのではないか。
そして、貧困から抜け出すことが出来るのではないだろうか。
国とか大きなものは変えられないけれど、そのきっかけと子供達の努力次第で将来や周りの状況は変えられる。
えんぴつ一本でもいい。
田舎とか本当に必要な場所に確実に届けるには、直接持っていくしか思い浮かばない。


偽善者と呼ばれてもいい。自分が動くことに理由はいらない。
支援して助けちゃえばいいんじゃないだろうか。

その想いが形になるのかはわからないけど、どうにかしたい。
その時は、みんな協力してください。
お願いします。