ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.3.5 やっぱり支えてくれる家族と友人・・・・英国王のスピーチ

2011-03-05 17:56:05 | 映画
 作品賞はじめ4つのアカデミー賞を受賞したと聞き、早速観てきた。じんわり心が温まり、暖かい涙が流れた。とてもいい作品だった。

 英国エリザベス女王のお父様ジョージ6世の実話だ。吃音に悩み、当時は植民地であったオーストラリアのスピーチ矯正の専門家ローグに助けられながら、それを克服するまでのお話。恥ずかしながら、私はジョージ6世のお兄さんのシンプソン夫人との“王冠を捨てた恋”のエピソードも知らなかったし、ジョージ6世に吃音があったことも全く知らなかった。

 そして、幼い頃に左利きを強制的に右利きに矯正された子どもに吃音が多い、ということも初めて知った。さらにジョージ6世は、X脚までも鉄の器具で激痛に耐えつつ矯正されたというのだから、本当にストレスフルな子ども時代を送ったのだろう。何か粗相があれば、乳母に食事も与えられなかったそうだ。子どもは4,5歳までは普通に話すことが出来る。最初から吃音の子どもなどいないのだ、という。

 そういえば、息子も小さい頃はよく左手を使いたがった。やんわりと直しているうちにいつのまにか右利きになったけれど、それほどストレスを与えることだったとは・・・と反省した。保育園に通っていた頃、左手と右手で鏡に映ったような対称の字らしきものをすらすらと書いていたのだけれど(例えばbとdのように。)、いつの間にか右利きになるとそんな芸当はできなくなっていた。不思議だ。

 パンフレットにもあったけれど、ラストシーン、ナチスドイツとの開戦直前の世紀のスピーチでも、まだ吃音が全面的に克服されていない、というところがとても現実味にあふれていた。実際の第二次世界大戦開戦時のスピーチでもそうだったようだ。
 もちろんユーモアたっぷりで「全部すらすら喋ってしまったら自分だとわからなくなるからね。」と王は言っていたけれど。本番のスピーチの間中、ずっとそばに張り付き、王を鼓舞し続け、生涯の友となったローグとのやりとりが胸を打った。

 障害者の家族の方が、「こういうお話のラストは、頑張って克服しました、それでおしまいということが多く、それが現実離れしているのだが、今回の話はそうでなかったところが良かった。なぜなら、障害者はずっとそうして障害と向き合って、障害ともに生きていくのが現実だから。」と、試写会で監督に涙を流しながら話されたという。そう、障害も病気も抱えながら、それでも死ぬまで生きていくのが、人生なのだと思う。

 何より明るく夫を支え続ける奥方(のち102歳で亡くなったエリザベス皇太后)の存在が大きいし、王室だろうが、なんだろうが、いい仕事をしようと思ったら、やはり何があっても味方でいてくれる確固たる家族の存在が、やはり何より大切だろう。「良い仕事をするには家族との良い関係が必須」というのが私の持論だ。心の拠り所がないまま、外に出れば7人の敵、ではとてももたない。

 ハリーポッターシリーズで出ていた役者さんが結構数多く顔を出していたけれど、違和感なく役柄にひきこまれ、あっという間の2時間だった。

 いつもはがらがらの映画館も、アカデミー賞複数受賞作品のせいか、ほぼ満席。両隣が埋まっていること等、これまで殆どないので驚いたが、いい映画を見た後の心地よい高揚と疲れが残った。

 今日は雲ひとつない青空だったけれど、やはりまだ厚手のコートが手放せないお天気。午後には久しぶりにホットピラティスに参加して、たっぷり汗を流し、リフレッシュした。


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3 コメント

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観たい! (オリーブ)
2011-03-06 17:54:16
この映画、是非観たい映画ナンバーワンです。
ロッキングチェアさんの評価も大変良いので、早速映画館に行って来ます。

左利きを強制的に右利きに矯正すると吃音になるというのは、水森亜土もその代表の一人ですね。
彼女は吃音ではないけれど、言語障害が起き、今の舌足らずの発音もその障害のせいらしいのです。
をもう、右利きと左利きでは脳そのものが反対に出来ているので、無理させてはダメなのですね
私が子供の頃は、100%強制されていました。
それでも左利きがいたのですが、ちょっと特別視されていました。
何でも右に倣えの日本人らしい発送ですね。

話は変わりますが、私は今日誕生日なんですよ。
以前は年取るのが嫌とか、めでたくなんかないと言ってましたが、今はまた一年延命できたことを心から嬉しく思います。
健康な時は全く考えることのなかった「死」と向かい合わされることになり、命の大切さ、日々の大切さをしみじみと考えさせられています。
一日一日を大切にしながら、また来年の誕生日もこのブログでご報告したいと思っています。

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すみません (オリーブ)
2011-03-06 18:01:41
文章の中に「をもう」と意味不明な文字が入っています。
何なんでしょうか・・・(^ ^;)
無視して読んでくださいね。
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おめでとうございます! (ロッキングチェア)
2011-03-06 20:19:53
オリーブさん、
お誕生日おめでとうございます。3月生まれだったのですね。結婚記念日が雛祭りでお誕生日が今日。オリーブさんにとって3月は素敵な月ですね。私も6月半ば過ぎには50歳を迎えます。かつては「50歳なんて・・・」と思っていましたが、今は1年1年、無事に誕生日を迎えられることを本当に有り難く思います。
水森亜土さんはあの喋り方を自らのチャームポイントにされていますが、そうだったのですね。知りませんでした。
それから、あけぼの会の富樫さんにメール連絡をして頂けませんか。
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