ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2013.8.28 フェソロデックス10回目、口腔外科受診

2013-08-28 21:47:39 | 治療日記
 先週に続き今月2回目の通院日。ここ数日、朝起きた時に汗でぐっしょり、ということがなくなった。日々、少しずつ秋の気配を感じる。今日の予想気温は33度とはいえ、カラリとした暑さとのこと。
 夫を送り出した後、いつもより早く家を出る私から、早く朝食を終えるように急かされ、「明後日から学校なのに大丈夫なの?」とお小言を食らった息子はなんとなくまだ寝ぼけまなこで不満そう。
 最寄駅の私鉄もJRも電車は順調。今日も乗換駅から席が確保出来て、ラッキーだ。持参した文庫本は当たり。面白くて夢中になって頁を繰る。

 予定通り病院に到着。今日は診察前の各種検査がないので、自動再来受付機でIDカードを通した後はそのまま腫瘍内科受付へ。受診を希望していた口腔外科の予約が、内科予約の1時間半後となっていてほっとする。
 先週の土曜日に、かかりつけの歯科クリニックで「口蓋隆起・骨分離」の診立てを聞いた後、よせばいいのに「重篤副作用疾患別対応マニュアル」等のネット情報を見まくり、一昨日から昨日にかけて情けないほど精神的に参っていた。
 「骨分離」ではなく、無症状で感染を伴わない「骨露出」ならば、間違いなく“ビスホスホネート系薬剤(ゾメタ)による顎骨壊死のステージ1”ではないか、と。稀に発生する副作用とはいえ、最近では長期投与者に発生が目立ってきているというのも事実だ。これまで、あれだけ顎骨壊死を恐れて3か月に1度の歯科検診を続けてきたのだ。2対1で多く起こるという下顎骨―特に前回EC投与の際に急性歯根膜炎を起こした右奥歯の疼き-にばかり気を取られて、口蓋隆起があれば上顎でも発生しやすい、と記載されていることを見落としていた自分の迂闊さを、何度も何度も繰り返し責めては落ち込んだ。確定診断されればこれから治療はどうなるのだろう、と頭の中は堂々巡り。

 「中待合へどうぞ」のランプが点くまで約2時間。患者仲間のSさんから「昨日は退院後初めていつもの治療に行ってきました」とのメールが入る。「今日は口腔外科も受診です」とちょっと凹んだ返事をしてしまう。本は面白くて読んではいるものの、無意識のうちに骨が出っ張っている上顎に舌が触ってしまい、気になって落ち着かない。もし顎骨壊死が確定診断になったらこのブログでは何と報告するのだろう・・・と、しょうもないことをつらつらと考えてしまう。
 待合椅子はそこまで混雑している気配はないが、主治医の進行状況掲示板には「45分遅れ」と出た。自動血圧測定機で計測した結果は107-66、脈は89。
 その後、中待合に移動して20分ほど。口腔外科の予約時間が迫っており、心配になる。そうこうしているうちに先生が診察室からお顔を出された。

 早速、先生に上顎の骨を確認して頂く。先生は腕を組んで「うーん、5月にゾメタを止めているのでこれで済んでいるのかもしれない。」とおっしゃる。また落ち込む。まだ確定したわけではないのだから先走っても仕方ないのに「もしそうであればゾメタはストップですよね。この後は放射線治療だけになりますか。ランマークもダメですか。」と矢継ぎ早に訊いてしまう。「まあ、ゾメタはストップで、放射線治療ですが、全体の化学療法で骨にも効くものをやれば・・・ただ、ケースバイケースで、ゾメタを再開して大丈夫と口腔外科が言ってくる方もいますし、とりあえずちゃんと(口腔外科で)診てもらいましょう。そして、予定通り今日はフェソロデックス注射、来週はCT、再来週とりあえず採血とハーセプチン」と予約を確認する。診察室での検温は6度2分。

 既に口腔外科の予約時間が大幅に過ぎている。フェソロデックス注射の前に口腔外科に行った方が良いか訊くと、まず注射を先にしてから行ってください、とおっしゃるので化学療法室へ移動して待つ。
 ほどなくして、針刺名人のOさんから「薬がまだ当分届かないので、先に口腔外科に行ってください。」と言われ、2階に上がる。口腔外科にお世話になるのは、昨秋以来。大分間が空いているということで問診票を書いて提出する。待合椅子が溢れるくらいの人で、大分時間がかかりそうだ、と観念する。小さい子供たちが多く、お腹が空いているのか眠いのか、ぐずった泣き声で賑やか。なかなか本が進まない。
 小一時間待って、名前を呼ばれる。前回診て頂いた先生とは別のY先生で、「初めまして」とご挨拶。これまでの経過をざっとお話しする。既に、画面に大写しになった昨秋のレントゲン結果をご覧になっている。やはり、右奥歯の歯根膜が腫れた当時の画像を見て、これは抜歯も選択肢か、というお診立てのようだった。
 今回、3週間ほど前に上顎の隆起部分に白いポツンとしたものがあることに気付いたが、以前もこの部分に口内炎が出来て白くなっていたこともあったこと。これまでずっと近所の歯科クリニックに通っていたが、特に異常も指摘されなかったこと。ちょうどお盆で歯科治療が2週間空いた後、白いポツンが急にザラザラして大きくなり舌に触れるようになったこと。土曜日に診てもらったところ「口蓋隆起・骨分離との診立てで、うまく脱落すればよいが、ここまで出てきているなら切開して外科的に取ることも必要か」と言われたため、受診に至ったことをお話しする。
 そして、診察椅子へ移動。先生は「ん?これは・・・」と。ちょいとピンセット状の器具で押されると、すっと取れてしまった。「?」何ともあまりにあっけない。激しくうがいをしたら、そのまま取れたかもしれませんね、とのこと。出血もなく、カルテには「つまんだら取れた、自然排出、脱落」と書き込まれる。1週間から10日ほどで陥没が治るでしょう、とのこと。
 それまでは経過観察でよいのでは、と抗生剤の処方もなかった。見ると、奥歯1本ほどの大きさの骨。こうした骨隆起は自然排出(脱落)がベストとのことだ。
 顎骨壊死を覚悟してきたので、とほっとした途端、少し涙ぐんでしまう。先生からの話をメモしていると「他に何か聞いておきたいことはありますか。自分で状況を把握して落ち着いて対処すれば、抜歯であれ何であれ、そんなに怖がることはありません」と言って頂く。「今後も口の中を清潔にしておき、出来ることをやっていけば大丈夫、頑張りすぎずに出来ることをしっかりやりましょう」とのこと。来週CT撮影後の夕方、予約を入れて頂いた。
 そうなのだ。自分の今の病状をきちんと理解すること、そして、もし何か起こっても慌てない。諦めない。頑張りすぎずに今やれることをやる。これが私の信条だった筈だ。こうしてブログにも「起こる前からくよくよ考えるのは時間の無駄」とか「何か起こってから考える」とか「何が起こってもきちんと受け容れる」などと偉そうに書いているのに、実際はこのザマである。

 いきなり肩の力が抜けて1階の化学療法室に戻る。ベッドに案内されて、針刺し名人Oさんが来て下さる。ここ数日のことをいろいろ聞いて頂き、とても楽になる。「ほっとしたところで痛い思いをさせて申し訳ないけれど・・・」とフェソロデックス注射。それでも今日は一番上手なOさんで良かった、と思う。フェソロデックスも気付けば今日で10回目。ここまで長く引っ張ることが出来るとは最初は思わなかった。相変わらず結構な痛みには慣れないものだが、注射跡が酷く腫れたり、内出血したり、という目に逢っていないのは看護師さんの技術力が高いから。ラッキーなのだな、と思う。
 今日は左側の出血がなかなか止まらず、止血をしながら右側を打ってもらった。不思議と左の方がいつもより痛いように感じた。無事終了して、会計へ移動。今日は2科受診で3万数千円の支払い。本日の病院滞在時間は4時間半ほどだった。
 
 昨日、一昨日と上顎の骨のことが気になっていつも頭から離れず、気付けばイライラして夫とも険悪になっていた。本当に何年患者をやっていてもまだまだ修行の身である。とりあえずメールで今日の報告。“お疲れ様、私”ということで、駅ビルでちょっぴり贅沢なランチを摂り、読みかけだった本を読み終え、買い物をしながら帰宅した。
 独り相撲といえば独り相撲だったけれど、とにかく何やらぐったり疲れた。本の紹介はまた別の機会に。
 今日はとりあえず、ぐっすり眠れそうだ。
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3 コメント

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Unknown (Unknown)
2013-08-28 23:32:43
こんばんわ。
骨分離のこと、自然脱落してよかったですね。
そして何よりここ数日の不安から解放されて精神的に楽になったことが一番よかった!

いつも冷静沈着なロッキングチェアさんでも、凹んでご主人にあたったりほっとして涙ぐんだり、ちょっとかわいいな、て思ってしまいました。(失礼しました)

不安になるのは仕方ないですよ、それを長引かせず、
先生に確認して解決する、それがスムーズにできれば
それで充分のようなきがします。

お疲れさまでした!ランチ&読書も楽しめたことでしょう!
よかった! (アッピア)
2013-08-28 23:33:47
上記のコメントの名前、書き忘れました。
ありがとうございます (ロッキングチェア)
2013-08-29 19:40:13
アッピアさん、こんばんは。

一緒に喜んで頂き、どうもありがとうございます。
本当、我ながら情けないですね。こんなに動揺したのはかなり久しぶりです。
なんといっても、ゾメタを一旦中止して以来、主治医から(顎骨転移は)「音もなく始まって、気付けば進行していて、一度始まると本当に、本当に治療が大変なんです・・・」と繰り返し聞かされていたので・・・。
副作用で主たる治療が出来なくなるのはちょっと哀しいですよね。

こうして精神的に追いつめられると、日々普通に生活出来ていることの有難さを改めて思います。当然じゃないのだ、と。感謝を忘れてはいけないのだ、と。

いえいえ、私は全然冷静沈着なんかではないのです。そうありたいとは常々思っていますが。かわいいなんて言って頂いて、照れまくります(笑)。

昨日、口腔外科の先生にも「不安になるのは当然です。まだ若いのだし、そういう(怖い)病気なんですから」と言って頂けました。
巷ではもはや、まだ若いなんて言って頂くことはないですが、やっぱり病院に行くとまだ若手なんですね♪(って、真に受けてそんなことで喜んでどうする、って感じですが。)

アッピアさんはその後、お加減いかがでしょうか。
またランチがご一緒出来るといいですね。

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