いたましくはやる緑をくるしんで根方に凝るくちなわの舌
枝先に声の残滓をにじませて鳥のかたちに闌けてゆくのか
こめかみに泥がつまっているような盛夏の底をいざる暮らしは
本意からおおきく逸れて咲きながら錆びながら落下する夏椿
きまじめなゲラの赤字のトルツメに添えば涼しい一文となり
午後深く熟れるにまかせGoogleに確かめているfuenteの綴り
虫癭をいくつも載せたみどり葉に似ているだろう今のわたしは
しずかだ 白桃に刃を入れながら誰の無念を生きているのか
やまなみに覆いかぶさる白濁をこの世の雨の表情として
ずぶ濡れのバスがひらいた横腹に今日の身体をすべりこませる