JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「しとやかな獣」

2008-10-12 | 映画(DVD)
「しとやかな獣」 1962年 大映東京  監督:川島雄三

金のためにモラルなど捨て去った人々の騙しあい、せめぎあいが、狭い公団住宅の室内で展開する実に痛快なブラック・コメディ。若尾文子は、男を手玉にとり金を巻きあげる悪女役に、ローレン・バコール風のヘアスタイルで挑戦。

未見の日本映画のなかでも最も見たかった作品。DVD借りずに待ってました。まあ、東京にいればそのうち上映されので焦りは無かったです。

期待通りのブラック・コメディ。完成度が高いですね。
そして、嬉しい事にこれは団地映画としても極めて秀逸。団地の鉄扉の感触。5階だての(舞台となる部屋は4階か?)ベランダから見える風景。私は子供のころから団地の1階住まいでしたが、友人の家に遊びに行った時に見た、見晴らしが懐かしい。向に見える20号棟・・・
カメラはこの1部屋を縦横無尽に走り魅力的なカットを作り出していく。
ベランダ越しの夕焼けをバックにゴーゴーを踊る息子と姉貴。その後で静かに蕎麦をすする両親。
とても演劇的な作品で、その効果も面白い。鉄の手摺の狭い団地階段を下り始めると両側を白い壁に囲まれた長階段に変る。階段を上りながら将来への心構えと期待をモノローグする若尾文子。身の破滅の危機が迫り後悔ノモノローグで下る高松英郎。2人が擦れ違う・・・

モラルを捨てた家族を手玉に取る若尾文子。若尾文子は旅館の女将になって和服姿になるけど、芸能プロの経理係である姿が印象的。ローレン・バコールって解りませんけど
一応主演ということになるわけだが、ここでは助演の山岡久乃が素晴らしい。
「しとやかな獣」は若尾文子の方ではなく山岡久乃の方だと思える。
その言葉使い、亭主を持ち上げる言動。窮地に立っても換わらぬクールな落ち着き。
ラスト・シーンでの山岡久乃のアップの表情が完全に主演女優として確立している。

「しとやかな獣」ソフト所有したくなる川島雄三の傑作。
ラピュタ阿佐ヶ谷 「昭和の銀幕に輝くヒロイン 総集編2」より

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