JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

ラピュタ・アニメーションフェスティバル2010 「エストニア最新作品集」

2010-05-30 | 映画(DVD)
Laputa Animation Festival 2010

「エストニア最新作品集」


「オラナス」 2009/17分/カラー
イリナ・ガリン、マリ・リース・ヴァソフスカヤ
毎日の退屈な夜にテレビをみている平凡な人間、アーカディの物語。次第に頭角を現すイリナ、マリの2人の女性監督。緻密で繊細なセットとグロテスクな演出に一層磨きがかかる。

シュワンクマイエルの影響を受けたであろう人形と細かいディティール。
美しいディティールの中、繰り広げられる、吐寫物、排泄物・・・
ただ、スカトロとしては嫌悪感なくおとなしい。クレイだからか?・・・
オラナスとはオーラルとアヌスを合わせた造語のようだ。



「クロコダイル」 2009/17分/カラー
カスパル・ヤンシス
ショッピングセンターの遊戯室でクロコダイルの格好で働く元オペラ歌手。溜まったフラストレーションがある日大爆発して──。随所に散りばめられたハレンチなユーモアが楽しい作品。

クロコダイル男とバスルームに本物のワニを飼う女(全裸の上にコート羽織り)の不思議な恋物語。
1人暮らしでコート掛けにコートを掛けると止め金具が傾き、男が現われコートを2人分掛けると止め金具がバランスを保つといった情景を見せる。
ボタンの落下。女の懐に納まるボタン。その他アニメーションならでは の視点、展開がところどころに。
ボタン縫い付けのベッドシーン。
クロコダイルをからかう悪ガキはビーバス&バッドヘッドみたいな顔。
遊園地の人間大砲。
元オペラ歌手、クロコダイルの美声が可笑しな哀愁を漂わす。


「キッチン・ディメンションズ」 2008/18分/カラー
プリート・テンダー
キッチンがダダイスム的な風景へと変型を繰り返していく──。エストニアの新鋭、プリート・テンダーが挑む新たな試み。予測不可能な展開はみもの。

今作品中最も感心してしまった。見惚れっぱなし。
クレイアニメなどでよくある物体の変容を通常の絵によるアニメで表現。別段新しい事をやっているようではないのに新鮮。
物語は3部構成。
トーストが焼きあがるまでが第1楽章でキッチンテーブルが変容を始め窓外に飛び出し自然と融和。
新聞を読んでいる時間が第2楽章。新聞紙が男の身体を微塵切りにする展開は想像の範囲内だが、それ以降、人型のバケツ内行進やら人型の影を持つスプリングの階段昇りなどに目をみはる。
コーヒーを飲んでいる間の第3楽章は海の中、というよりも、宇宙空間。壮大なイメージが広がる。
物質、自然、人類、宇宙とイメージを起こさせるアニメーションに付く現代音楽もナイス。
各章の着地の仕方も心憎い。
エストニアの「ファンタジア」


「雨の中のダイバー」 2009/23分/カラー
プリート・パルン、オルガ・パルン
日中のダイバーと真夜中の歯医者についての物語。彼らのキスはいつも別れのキス。愛と欲望の催眠的な黙想のなか、雨の中で大きな船はゆっくり沈んでゆく…。 パルン夫妻の注目の最新作!

「ガブリエラ・フェッリなしの人生」が良かったものの、やや長かったので23分の新作に期待が高まったけれど、23分でもこのご夫妻、やっぱり冗長な気が・・・
ついに途中、眠ってしまった。
雨の中、煙草をふかしながら出番を待ち海に潜ることがないダイバーの可笑しみ。バスタブに潜って目出度し。
複数鑑賞でかみ締めるべき作品で、作品集のソフト化を希望したい。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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