JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「悦楽」

2008-01-04 | 映画(DVD)
山田風太郎の原作「棺の中の悦楽」の映画化。

「悦楽」1965年 松竹 監督:大島渚

ブログを始める少し前、山田風太郎のミステリーを読み漁っていた。ミステリーの免疫が無かったので、なおさらの事、すっかり嵌ってしまった。

この原作も見事なストーリーで印象的な中篇。
山田風太郎ミステリー傑作選4(光文社文庫)の日下三蔵氏解題によると
大島監督自身この映画は大ヒットにもかかわらず完全に満足できるものではなかった。映倫によって性表現に足枷をはめられた事にその理由を転嫁できるが、それだけではない。それが監督自身何だかわからなかった。
その答は映画を見た山田風太郎から来た手紙に・・・
「あなたには私の作品はむいていないです」

こんなエピソードを知って、一度見てみたいと思っておりました。

原作が良く出来ているので、映画も充分楽しめる内容。
野川由美子のところまではかなり忠実。
しかし残念なのは6人の妻のうちサディスティックな杉本笹代の登場が無かった。
金で次から次へ女を渡り歩く、1人1人の女との物語がオムニバスのように続く。
原作のような各妻との皮肉な結末や悦楽という言葉以上の女たちの背景と愛というあたりまでは表現しきれていないようにも感じる。
映倫の鋏がなければもっと悦楽が肉の悦楽に集中してしまうかもしれない。そういう意味では(ノーカットを見ていないので何とも言えないけど)映倫カットされていても官能表現は一定の満足があるのでこれで良かったのかも。

しかし、映画は映画で楽しめる物もある。各妻の女優たちがよろしい。侠義のホステス眸の野川由美子(大きすぎる鼻が気にならなかった)
一番のお気に入りは被虐の女、志津子の八木昌子。貧しく、精神的にもMの人妻。
他にも、いかにも女医らしい強きお顔立ちの圭子の樋口敏子。唖の娼婦マリの清水宏子。それぞれ魅力的でした。
脇坂篤(中村賀津雄)が最も愛した初恋のお嬢様匠子(加賀まりこ)をあのように救いの無い描き方(加賀まりこのぶっ飛び演技)する事により脇坂の悲哀がクローズアップされて面白い。

ノワール小説の傑作と言われる原作、一読あれ。

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2 コメント

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Unknown (よしはら)
2013-02-28 07:57:23
すみませんTB貼るとこまちがえてました
お手数ですが削除しといて下さい
この映画はなかなかヨイと思うのですが、世間一般の批判がキツ過ぎます
たしかに わけのわからんシーンが多過ぎますが
そこがまた この時代の実験精神とゆーことで ボンクラな感じがヨイではないですか
山田風太郎は一度も読んだことないので 今後挑戦する課題でもあります 時代小説歴史小説が大の苦手ジャンルなので
この記事6年前の記事なのですね
そーですか そーですか
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Unknown (imapon)
2013-03-01 00:08:35
よしはら様、毎度ありがとうございます。
ElvisのTBに何か意味があるのか?と、そんなわけないですね、間違いですね。
残念ながらELVISはあまり関心度が高くないので削除しときました。
私も歴史小説は苦手ジャンルですので山田風太郎はミステリー中心に読んでます。
6年前!ホントだ。月日が経つのは早い・・・・
返信する

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