JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

映画 「胎児が密漁する時」

2008-04-05 | 映画(DVD)
シネマヴェーラ 「若松孝ニ 大レトロスペクティブ」

これも今回2回鑑賞。「鉛の墓標」に引き続き見たのだけれど、疲れがたまってしまって、志麻みはると共にまどろみの中へ・・・夜更し続きがたたっています。
ずいぶん、眠ってしまったもののこの作品の凄さはぼんやりとした意識の中でも確実に認識できたのでリトライ。

「胎児が密漁する時」1966年 若松プロダクション 監督:若松孝ニ

ある男がある女を監禁し調教しようとするが、最後には復讐を遂げられ、無惨に殺害されていく。密室の所謂監禁物。登場するのは山谷初男と志麻みはる(2役)のみ。

山谷初男がこんな役をやるのですね。百貨店の専務なのだけど、若くてハンサムな役なんです。小柄な山谷初男が必死にハンサム役を演じきろうとする所が面白い。
健康的な肢体の志麻みはるとチビの山谷初男だからこそインモラル感が強まる。
「胎内に居る間は幸せな天国だが、オギャぁとこの世に出た途端、そこは地獄だ。自分の子供が生まれるなんて耐えられない。自分はどうして生まれてきたのだ。」という考えを持ち、子供を欲しがる前妻に逃げられているサド男。姓が丸木戸っていうのも人を食っていますね。
タキシードを着ていたり、サングラスに蝶ネクタイ、成金趣味の派手なガウン。
シャワー後のピッタリなめつけた髪形とか、もう気持ち悪くって最高。
白っぽいベルトの色が気になってしょうがなかったのですがあの時代は普通の事だったのかしら。

密室ですが、狭いアパートの間取りを上手に使ったカメラアングルや、モノクロで絶えず光の反射が浮かび上がり魅力的なシーンを次から次へと。
前妻との回想シーンでも焦点が手前の志麻みはると背後から鞭を振るう山谷初男の顔とに交互に変る映像。志麻みはるの逃亡の妄想シーンの画像に現実の鞭打ちの音がかぶったり、ベッドに括りつけられた下着姿の画像にオーバーラップされる監禁暴行のシーン。数え上げると切り無し。

少ない経験から監禁や暴行シーンにはクラシックが良く似合うと感じていたのですが、ここでもベルリオーズの「幻想交響曲」が効果的に使われていました。古い映画でサウンドとしての迫力が足りない所は止むを得ない。

制作された年代と考えあわせても、これは確かに密室映画の傑作と言えましょう。脚本は足立正生。

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