JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「関東無宿」

2011-12-23 | 映画(DVD)
「鈴木清順 再起動!」

「関東無宿」1963年 日活 監督:鈴木清順

やくざの掟に背き、互いに惹かれあった伊豆組の幹部・鶴田とイカサマ博徒・辰子の哀しい運命を組同士の抗争を絡めて描く。冒頭の女学生によるガールズ・トーク、ハチャメチャなストーリー展開、強烈な色使いと、任侠ものというジャンルのお約束に抗う清順の反骨精神が横溢した異色のやくざ映画。

鈴木清順と言えば学生の頃、映画好きの友人から「ツィゴイネルワイゼン」を勧められ、ビデオでだったろうか、鑑賞してぶっ飛んだ事を思い出すわけです。
当時、映画などほとんど見なかった私でしたが、この意味不明なゲージュツさはなかなかおもろいと「陽炎座」ともども、御贔屓作品とさせていただきました。

年をとってから日本B級映画を中心に見まくるようになり古い清順作品も「殺しの烙印」(1967)、「野獣の青春」(1963)、「肉体の門」(1964)等々と、「ツィゴイネルワイゼン」とは、ちょっと違った美学を楽しませてもらってまいりました。

この1963年の任侠映画の範疇を越えた作品には、確かに行く末の「ツィゴイネルワイゼン」に通じる匂いがありますね。

特に鶴田が惚れる年上の女博徒・辰子(伊藤弘子)のミステリアスな存在感は大谷直子を連想しますし・・・
この伊藤弘子とういう女優さん、あまり聞かない名で、ヒロインとしてはやや地味なんですが、そこがまた良く、着物姿の平凡な熟女ぶりが素晴らしいです。

歌舞伎舞台調の演出、色使いは清順監督の十八番ってところで、見ていて嬉しくなります。

それにしてもハチャメチャですよね。早慶校歌をバックにスキップしながらおしゃべりしていた松原智恵子はどこ行ったのか・・・。

任侠映画がパターンを定着させようとしていた時代に撮られた、清順反骨のやくざ映画なんですと。

任侠の解らない親分衆に古い考えを持つ任侠青年が切りつける、やくざの黒い掟に押し流されて流れる若い血、というパターンは保たれていても、結局何も解決されていないモヤっと感。この異色さは好きです。

他ではダイヤモンドの冬(平田大三郎)が着物芸者とゴーゴーを踊っているシーンのアンバランス感覚。
前半、相当重要な約回りを演じる野呂圭介と小林旭の掛け合い。
小林旭の書いたような大袈裟な眉が気になってしょうがないのですが、頬キズはCOOLでGOODでした。

シネマヴェーラ渋谷

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