JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「嗤う分身」

2015-03-15 | 映画(DVD)
「嗤う分身」2013年 英 監督:リチャード・アイオアディ
THE DOUBLE

文豪ドストエフスキーの名作「分身」の舞台を近未来的世界に置き換えた不条理スリラー。不器用で気の小さい青年サイモンは、向かいのアパートで暮らすあこがれの同僚ハナを望遠鏡で覗くことだけが楽しみの孤独な生活を送っていた。そんなある日、サイモンの職場に彼と瓜二つのジェームズが入社してくる。しかもジェームズは、サイモンよりはるかに優秀で……。

画面が全体的に暗すぎるきらいはあるけれど、時代や国籍不明の世界観が魅力的。
何処かで観た憶えのある世界観は「未来世紀ブラジル」や「1984」といった過去の近未来SF。当時は未来のお話だったけれど、2001年宇宙の旅からも既に10余年、今となっては遠い過去になってしまった世界観をあえて表出する面白さ。

冒頭の電車内からカメラワークがスタイリッシュでカッコ良い。
車両の揺れの中、隣の車両のハナ(ミワ・ワシウスコワ)を捉えるシーンだけで気に入ってしまう。
勿論、電車もエレベーターもレトロそのもの。オフィスのコピー機などが発する機械的騒音。

物語の内容は言って見れば「世にも奇妙な・・・」の世界。文豪原作だけに哲学的ではあるけれど、目新しくはありません。それでも引きこまれるのはジェシー・アイゼンバーグが演じ分ける2役。自信も無くイケてない不器用なサイモン・ジェームスの分身は要領の良いジェームス・サイモンと名前を前後入替ただけでややこしいが、しっかり演じ分け(姿勢、物言い)混乱は無い。
ジェームスはサイモンの欠けた部分、なりたい自分という事でしょうか。自身の立場や好きな女の子まで分身に乗っ取られていく不条理的恐怖。
そんなサイモンがジェームスを乗り越えようと行動を起こし、少し成長していく。後半ぼんやり観ていたせいかもしれないけれどサイモンが殻を打ち破っていくと、ジェームスとサイモンの演じ分けが曖昧になってくるような気がしてくるのは気のせい?それともジェシー・アイゼンバーグの演技?



ミア・ワシコウスカの微笑み。彼女の魅力を最大限に活かしたナイス・キャスティングでしょう。
店で手練れのジェームズに口説かれ、一気に抱擁キスまで行くのをトイレの影から眺めているシーンも上手いな。店員の祝福・・・



ドッペルゲンガー物は多く作られて名作も多いけれど、まずまず面白くはなるので堅いジャンルって事でしょうか。

無国籍感は選曲にも拘られ、我らが日本人にとっては、「スキヤキ・ソング」や「ブルー・シャトー」が矢庭にかかったりするのが意表を突かれ面白い効果を産む。これは日本人だけが感じれる効果とするなら、なんかちょっと得した気分。他国の曲も使われてるんでしょうかね。

ミア・ワシコウスカってなんかイイ。



下高井戸シネマ

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