JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「秀子の車掌さん」

2009-04-26 | 映画(DVD)
「本の街・神保町」文芸映画特集Vol.13
『シネマ大吟醸-魅惑のニッポン古典映画たち』より
はたらく人たち

「秀子の車掌さん」1941年 南旺映画 監督:成瀬巳喜男

「山梨の小さなバス会社を舞台にした、当時17歳・高峰秀子のアイドル映画。利発で明るく、積極的なデコちゃんは我々の理想の娘。」

今回の特集、3本目の乗合バス映画は初々しさがカワユイ後の大女優高峰秀子。成瀬巳喜男との初コンビ作。
高峰秀子の台詞回しに微妙な味わいがあり素朴な娘像が浮き上がります。貧乏バス会社のためカッコ良い制服などなくシンプルなブラウス、破れ汚れたズックから下駄に履き替え乗務。
田舎の流行らない乗合バスでの風景描写も去る事ながら(鶏と車窓を覗くこどもたちの素足のシーンが素敵です)、特集のサブタイトルにもあるとおり「はたらく人たち」を描く側面が大層好ましい。

1台のバスだけで運営しているバス会社は他にも何やらよからぬ事業をしていると評判が悪い。そんななか真面目に健気に働く園田運転手(藤原鶏太)と車掌のおこまさん(高峰秀子)は会社の中の「しゅうしん」と呼ばれている。しゅうしんは修身ですね。真面目に働く人をこんなふうに呼ぶ事があったんですね。良い日本語だなぁ。
なんとか客足を増やそうと作家の井川(夏川大二郎)に名所案内文を作ってもらう。この井川さんもとても長閑。井川が宿から見える女性の事を気にしていますが、その後そのあたりには触れていただく事なく謎のまま帰京。
悪徳社長に愛想をつかしそうになるものの、名所案内をする車掌という仕事を自分の職業としてしっかりやって行きたいと考えるおこまさん。園田運転手もしかり。

悪徳社長といってもまったく暢気なものでかき氷にラムネをかけるのが好物という親父です。

短い作品であることが残念。もっと長く見ていたい気持ちにさせられます。
でも短くとも何も知らずに働く2人に待ちうけている現実という皮肉なラストも用意されていて好ましい作品として終わってくれます。また見たい作品。

藤原釜足が藤原鶏太に改名するなど時代の影(1941年)が見える中、映画が切り取る世界は、まったくそんな時代を感じさせない長閑で平和な日本の日常風景。

神保町シアター

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