JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「女ひとり大地を行く」

2009-12-06 | 映画(DVD)
「文化’資源としての<炭(ヤマ)鉱>展 Part-3 特集上映<映像の中の炭鉱>」

「映像の中の炭坑」・・・なんとも魅力的な特集なんではあるが上映時間が15時、18時ではなかなかスケジュールが付かんよね。「ラドン」はやらない。



「女ひとり大地を行く」1953年 監督:亀井文夫

秋田から北海道の炭鉱に出稼ぎに出た夫を追いかけて、子どもを連れて炭鉱町を訪れた妻を待っていたのは、爆発事故で亡くなったという夫の訃報だった。女は炭鉱町で生きていくことになる。記録映画の巨匠・亀井文夫による異色劇映画。
日本炭鉱労働組合北海道地方本部制作

北海道夕張炭坑を舞台に描く女の一代記。
炭坑夫の生活や労働争議が描かれ貴重。
常に危険と隣り合わせの労働。その象徴的場面として坑内火事のシーン。人命よりも炭坑(ヤマ)を守れと延焼を防ぐため坑内の人を犠牲にして俵で坑を塞ぐ。一瞬の差で脱出できなかった坑夫の手が俵に挟まれたまま生き埋めになる。
夕張での悲惨な思い出として方々でまことしやかに囁かれるシーン。実際に合ったのか映画の映像が焼き付けられ現実として誤認しているのか・・・おそらく両方でしょう。

山田五十鈴が若い。この未亡人は放っておけんでしょう。金子という男が近づき、息子たちに第二の父として影響を及ぼし、やがて戦死。
山田五十鈴は炭坑での厳しい労働の末、早くに老ける。

長男の弱さで道をはずれる兄と「労働の中に真の学問がある」と父母や金子のたどった坑夫の道を選び炭坑で働く者の改革を志す弟。

山田五十鈴の夫役が宇野重吉。死んだと思われていたが実は生きていて、炭坑町に舞い戻ってくる。大浴場のシーンでさりげなく復帰。この人の優しい眼差しが実に効果的で、次男の運動を影で支えていく。

北林谷栄が凄い。炭坑に生きる強い女、人情の隣人を好演。
「死んじまったものはしょうがねぇ」
自分も未亡人の身であり、炭住を追い出されないため男に婚姻を迫る「おめぇもいい所あるよう」
何度と無く名演を見せてきた人だけど、再認識。

ラストはいかにもな左的な炭労映画になってしまうけど、個人的にはそれもまた珍しく面白い。力作でした。

そうそう、丹波哲郎も出ていました。
キャストが豪華。当時の炭労の力というものは相当のものだったようです。

上映後のトークショー
吉岡宏高氏(札幌国際大学准教授/NPO法人「炭坑の記憶推進事業団」理事長)
町の中に石炭が出た筑豊の炭坑と、石炭が出たことにより町が出来た夕張の違い。
暗いイメージばかりでなく隆盛時の裕福さや技術革新、そして衰退の途をたどるジェットコースター人生を経験した人々のドラマ。などなど興味深いお話。
閉山後の夕張市の失敗を古い価値ある焼き物と100円ショップの茶碗に例える話など。

ポレポレ東中野

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