JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「ロスト・イン・ラ・マンチャ」

2010-02-12 | 映画(DVD)
「テリー・ギリアムはいかにして着想を得、撮影現場で苦悩し、作品を生み出すのか?」

撮影現場での苦悩編 「ロスト・イン・ラ・マンチャ」2001年 米・英 監督:キース・フルトン ルイス・ぺぺ

『未来世紀ブラジル』『バロン』『12モンキーズ』…、他の追随を許さない圧倒的な映像世界とストーリーテリングで1作ごとに観客をうならせてきた鬼才テリー・ギリアム監督。
待望の最新作『The Man Who Killed Don Quixote(ドン・キホーテを殺した男)』始動!!主演はジョニー・デップ、共演にヴァネッサ・パラディ、そしてジャン・ロシュフォール。総製作費50億、舞台は17世紀のスペイン、ラ・マンチャの地、タイムスリップしてきた現代のヤンエグ、ジョニー・デップが繰り広げる愛と冒険の旅!!そして彼らに降りかかる突然の雷雨、上空を飛び交うNATOの空軍機、ドン・キホーテ役のロシュフォールの異変・・・、
この超大作に、一体何が起こったのか!?

幻想と狂気の世界を扱うテリー・ギリアムの溢れんばかりのアイデア。彼にとってセルバンテスのドン・キホーテを撮ることに対する思い入れは相当のものがあったのは充分に想像できる。だって見たいでしょ、テリ-・ギリアムのドン・キホーテ。



作られなかった映画のメイキング作品?
この作品ではドン・キホーテはまさにテリー・ギリアムその人。

ファンや出資者が傑作の完成を期待して作品はクランクイン。しかし上空にNATOの爆撃機が飛び交いサウンドが使えない。激しい雷雨、洪水で機材は破壊されロケ地の景観が一瞬にして変わってしまう。挙句の果てには張り切っていたドンキホーテ役の爺さんが病にぶっ倒れ撮影現場から病院へ・・・次から次へと襲うトラブル、スタッフ一同なんとか完成にこじつけようと一生懸命頑張っているのに上手く行かない不幸はまるで喜劇か。
これはテリー・ギリアム一流のフェイク・ドキュメントではないかと・・・。しかしフェイクならもっともっと面白く笑い飛ばせる作品を作る力はMP出身のテリーにはある。せつなくしてどうする。ってことはやっぱりマジなの?

そんな苦悩の中、鷹揚に対応するおっちゃんテリー・ギリアム。助監督ほかスタッフの温かい支援。

普段のジョニー・デップのかっこ良さ。

撮影現場に出資者の方々が見学に、テリー・ギリアムにとニッコリ記念撮影。

次々に起こる困難にも、常に前向きな姿勢で立ち向かっていたテリーのおっちゃんも撮影中止が決定的となり保険会社と請負人の裁判にまで発展すると、ソファに横になり意気消沈。おっちゃんの足裏が哀しい。

企画していた作品を中止せざるを得なくなる事は製作者にとってとても悲痛な出来事。ネガティブな体験も含めてメイキング映画の製作を許可したテリー・ギリアムもこの作品を一度見て、もう二度とは見たくないと言ったとか・・・

ラストシーンのComming Soonで一層この「ドン・キホーテを殺した男」を観たくなります。半年後保険会社から権利買い戻す決意を決めたとありますが映画完成はいまだに実現されていません。
そのテリー・ギリアムが2010年中に製作再開を発表したとか・・・完成したら話題性は充分な作品になること必定。しかし、この「ロスト・イン・ラ・マンチャ」を見てしまうと、映画は未完のまま見果てぬ夢で終わるのもまた良いかと思ったりするんでした。

早稲田松竹

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