「悪女礼賛 ~スクリーンの妖花たち」
「果てしなき欲望」1958年 日活 監督:今村昌平
男を手玉にとる艶女。
敗戦時、軍医が埋めた時価六千万円のモルヒネ発掘のため、現れたのは四人の男と美女ひとり――。西村晃、殿山泰司、小沢昭一ら芝居巧者が欲望むきだしで大暴れ。妖女・渡辺美佐子も圧巻。
これって和製フィルム・ノワール?・・・いやいやまさか、コメディだとは思わなかった。
フィルム・ノワールという言葉だけでは片付けられない、ちょっとヘンテコな映画。
肉屋の地下に埋めたモルヒネを狙う面々は普段名脇役でならした西村晃ら・・・この四人とひとりの女が物語を構成していく。脇に入ってくるのが長門裕之、中原早苗。フィルム・ノワールな縦糸に妙な感じの青春映画が入り組んでる感じ。とくに2人の爽やかラストなんか一転して青春ものです。
悪女・渡辺美佐子がとても素晴らしいです。不動産屋の女房に扮しての浴衣姿。発掘作業の後方で土にまみれるパンツルック。
たらいで髪を洗う姿に男どもの別の欲望も絡んでくる。
当然、仲間割れが起きるわけでありますが、加藤健を背後から殺っちまおうとする小沢昭一の姿を見て一瞬止めに入るとする殿山泰司。それを手で制する渡辺美佐子、その瞬時の判断、身のこなし。
ニセ不動産屋で雇うハメになってしまった大家の息子(長門裕之)を2階で誘惑するお色気演技はまさにコメディでねぇか。
さてさてこの作品、思い出すのは鈴木英夫の「悪の階段」(1965)
1965年の傑作「悪の階段」は明らかにこれを下敷きにしてるんでしょう。「果てしなき欲望」のフィルム・ノワール部分を抜き出してサスペンスに才を発揮した鈴木英夫がリメイクしたってところ。
悪党の中でも特に策略家である役どころは両方とも、西村晃。この方を置いて他にありゃしません。
悪党の中でもちょっと人の良さが垣間見えるのは殿山泰司。
台風のさなかモルヒネを両手に、罵りの言葉を吐きながら逃走する渡辺美佐子。「悪の階段」では団玲子が砂漠の中を逃亡してましたっけね。
フィルム・ノワールとして研ぎ澄まされた輝きを放つのは「悪の階段」の方ですが、ヘンテコながらも人間の欲望へ多彩なアプローチで迫る「果てしなき欲望」・・・今村昌平の奥深さってところでしょうか。ご本人名付けて「重喜劇」なんだそうです。
悪人たちを尻目に高品格が重要な役割を担う、したたかなおっさんで登場してます。
「果てしなき欲望」1958年 日活 監督:今村昌平
男を手玉にとる艶女。
敗戦時、軍医が埋めた時価六千万円のモルヒネ発掘のため、現れたのは四人の男と美女ひとり――。西村晃、殿山泰司、小沢昭一ら芝居巧者が欲望むきだしで大暴れ。妖女・渡辺美佐子も圧巻。
これって和製フィルム・ノワール?・・・いやいやまさか、コメディだとは思わなかった。
フィルム・ノワールという言葉だけでは片付けられない、ちょっとヘンテコな映画。
肉屋の地下に埋めたモルヒネを狙う面々は普段名脇役でならした西村晃ら・・・この四人とひとりの女が物語を構成していく。脇に入ってくるのが長門裕之、中原早苗。フィルム・ノワールな縦糸に妙な感じの青春映画が入り組んでる感じ。とくに2人の爽やかラストなんか一転して青春ものです。
悪女・渡辺美佐子がとても素晴らしいです。不動産屋の女房に扮しての浴衣姿。発掘作業の後方で土にまみれるパンツルック。
たらいで髪を洗う姿に男どもの別の欲望も絡んでくる。
当然、仲間割れが起きるわけでありますが、加藤健を背後から殺っちまおうとする小沢昭一の姿を見て一瞬止めに入るとする殿山泰司。それを手で制する渡辺美佐子、その瞬時の判断、身のこなし。
ニセ不動産屋で雇うハメになってしまった大家の息子(長門裕之)を2階で誘惑するお色気演技はまさにコメディでねぇか。
さてさてこの作品、思い出すのは鈴木英夫の「悪の階段」(1965)
1965年の傑作「悪の階段」は明らかにこれを下敷きにしてるんでしょう。「果てしなき欲望」のフィルム・ノワール部分を抜き出してサスペンスに才を発揮した鈴木英夫がリメイクしたってところ。
悪党の中でも特に策略家である役どころは両方とも、西村晃。この方を置いて他にありゃしません。
悪党の中でもちょっと人の良さが垣間見えるのは殿山泰司。
台風のさなかモルヒネを両手に、罵りの言葉を吐きながら逃走する渡辺美佐子。「悪の階段」では団玲子が砂漠の中を逃亡してましたっけね。
フィルム・ノワールとして研ぎ澄まされた輝きを放つのは「悪の階段」の方ですが、ヘンテコながらも人間の欲望へ多彩なアプローチで迫る「果てしなき欲望」・・・今村昌平の奥深さってところでしょうか。ご本人名付けて「重喜劇」なんだそうです。
悪人たちを尻目に高品格が重要な役割を担う、したたかなおっさんで登場してます。
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