JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「千曲川絶唱」

2009-09-10 | 映画(DVD)
「昭和の銀幕に輝くヒロイン第48弾 星由里子」

「千曲川絶唱」1967年 東京映画 監督:豊田四郎

突然襲っためまいから交通事故を起こしてしまったトラック運転手の五所川は、その時の警察と医者のやりとりから自分が白血病であることを知る。やけになった彼は上京し、様々な医者を訪ねて白血病の実態を探るが、不治の病と知り、絶望して富山に帰る。彼の帰りを待っていた奈美は、看護婦としてではなく、一人の女として、間もなく死ぬであろう男に激しい愛を捧げるのだった……。

日本海の景色の中での難病・青春・核兵器恐怖もの。この手のストレートに感動を呼ぶ作品に慣れていないのでとまどう。

北大路欣也と田中邦衛。躍動する若きトラック運転手の眩しいばかりの肉体。
若い肉体を襲う病魔。五所川(北大路欣也)は礼文島出身だったがビキニ沖のマグロ船に乗った経験があった。
死に直面して苦悩する五所川だったが看護婦奈美(星由里子)の愛に助けられ必死に生を追う。

豊田四郎=岡崎宏三の傑作の一つで圧巻は故郷に許婚のある奈美が五所川を愛したことを両親に知らせるため列車で帰郷すると、裏切られたのかと思いトラックで後を追う五所川。日本海沿いを並走する列車とトラックのカメラの迫力。
当時の開放的車両の連結デッキに立ちアイスクリームを食べている奈美。
五所川のトラックに気づき身を乗り出して轟音の中「次の駅で降りるわ!」と叫ぶ。相手に意思が通じてホッとしたのか、ざわめく心を静める。
このシーンだけでも充分見る価値がある。本当に力のあるモノクロ画面だ。

星由里子はこの作品でお嬢様女優から脱皮。当時はラストで光の中に浮き上がるヌードの肢体が評判になったようだ。勿論、北大路欣也の演技と相関して感動的シーンだけれど、星由里子としてはこのヌードよりも、自分の病気を知って自暴自棄になった北大路欣也に襲われるレイプシーン。結局は犯されずに済んだが、白いブラウスとストッキングを露にしての体当たり演技の方がよほどスゴい。

感動とは関係のない所では田中邦衛がカリエスの妹(いしだあゆみ)に見舞いで持ってきた魚、富山のふくらぎが美味そう。これ刺身にしても美味いんだなぁ。

今見ると平幹次郎の医師にツッコミを入れたくなる部分もあるけど、北大路欣也の汗と星由里子の白衣に素直に感動できる作品。岡崎宏三の撮影力に負うところ大ではないか。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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