JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「黒蜥蜴(1962)」

2009-07-09 | 映画(DVD)
「日本映画のヒロイン Vol. 4
「グランプリ女優」と呼ばれた、大映の大輪 京マチ子のすべて」

「黒蜥蜴」1962年 大映 監督:井上梅次

乱歩原作の三島由紀夫の戯曲「黒蜥蜴」初の映画化。七つの仮面を持つ女賊・黒蜥蜴と名探偵明智小五郎の虚々実々の対決を描く。ミュージカルタッチを持ち込み、京マチ子はブラックタイツ姿や妖艶なダンスを披露する。

演劇の方でもお馴染みで黒蜥蜴といったら美輪明宏の1968年版があまりにも良かったので京マチ子の1962年版はどうなんでしょう?という気持ちで見るから、何かにつけ比較してしまう。

明智と黒蜥蜴の関係の描き方は詩的な台詞の応酬でをスタイリッシュに表現した丸山明宏版に一歩譲るが、京マチ子版には歌がある、踊りがある。
ミュージカルってあまり馴染みがないんだけど、見ていないだけで実は好きなのかもしれない。いいぞいいぞ、怪しすぎるぞ京マチ子。
B級感溢れる超娯楽エンターテイメント作品だ。
黒蜥蜴の歌。不眠症の夜って・・・

「ラジオ体操みたいに手をあげて」
丸山版にもあった台詞。こういうおかしみの台詞は丸山明宏には適わない。
そのかわり緑川夫人のときの着物姿がとても麗しい。
着物の帯を解き脱ぐシーン、脱ぐと肌襦袢じゃなくてシュミーズなんだけど許しちゃう。
男装シーンは本物の女だけに京マチ子。丸山明宏のチラッと出るナルシスティックな男装シーンも(ある意味)本物の魅力で良かったですが・・・
京マチ子は丸ポチャの男装。ツーステップでダンシング逃亡。
観客に向かって「明智って魅力的じゃない」と問いかけまでしてくれる。

後半以降の黒蜥蜴女王ファッションはやはり丸山明宏のほうが様になってるか。
そのかわりこっちには部下たちの珍妙なダンスが付いているぞ。

明智は大木実。今まで地味な印象だったけどここでは日本一の名探偵明智を好演していて京マチ子とのバランスも意外と良い。

早苗の叶順子もいつものブサイクさがなく正当美人ぶり。
ただニセ物と2役だけど、ニセ物のほうがコケティッシュでキュート。わざわざ黒蜥蜴の島まで来ちゃう本物はスカーフのせいかニセ物に劣っている。

またまた、人間剥製まで踊りだす。

川津祐介と川口浩は甲乙付けがたいハマリ役。

しかし不思議なミュージカル仕立ての1962年版に勢いを付けとキワモノ感を高めているのは早苗の父、三島雅夫の異常なまでのハイテンション演技。助演男優賞ものの働きがお見事。

こうなると、TV版の小川真由美の黒蜥蜴も見たいし、なんといっても原作、未読なんだよね。

池袋 新文芸座

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