JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

「㊙女郎責め地獄」

2010-05-05 | 映画(DVD)
「官能の帝国3~田中登作品をめぐって~」

「㊙女郎責め地獄」1973年 日活 監督:田中登

吉原の遊郭から“一発百文”の鉄砲見世(てっぽうみせ)に落ちてきた女郎のおせん(中川梨絵)は、交わった男が3人も変死を遂げたことから“死神”の異名をとるようになった。その噂のせいで客の付きが悪く、酔客にまで恐れられる始末。しかし、ただひとり彼女を避けない男がいた。賭け事に目がない富蔵(高橋明)だ。

中川梨絵といえば初期のロマンポルノを代表する名女優。
しかし、今まであまり見たことがない事もあり、本作を見るまでまったくその魅力を認識する事がなかった。
これ一本で完全に遣られてしまったよ。

まず死神おせん、そのキャラクターがそもそもド優秀。
江戸というか「ござんす言葉」に終始するその台詞回し、女郎として女としての気概・・・
スクリーンを見つめながら心中「ひぇ~、カッコええー」と唸りっぱなしでしたよ。
その台詞は、ややクサイとも言えるのですが、田中登の美学の助力を得ているのと、そもそも時代劇であるという事が幸いして実に気持ちよくさせられます。

百文女郎の中で、一際気品を保ちながらもそのいわく付きのため客がつかづ、同僚からも蔑まされてる。
まず、その同僚の女郎たちの中に入って酒を煽っていると、悪口三昧。
「酒を飲ませてもらったことで、今のは聞かなかった事にしてやるよ」

物乞いにたちに囲まれた時でも
「通りますよ」と着物の裾をつまんでうっちゃろうとする・・・結局この物乞いたちに暴行されてしまうんだけど・・・しかもこれがヒモである富蔵が金欲しさに仕組んだモノ。
ところがおせんさんは4人や5人に犯されたってひるむようなおあ姐さんじゃござんせん。

田中登はそんな中川梨絵を生き生きと魅力的に撮っている。
様式美と凝った映像を駆使して時代ポルノの傑作となってます。

台詞やキャラ設定に留まらず、おせんを人形に見立てた浄瑠璃場面の手や首の動きに見とれてしまう。

途中死んだはずの富蔵が生き返って、女郎屋に幽霊のように戻ってくる。
長屋形式の各女郎の間の襖をなぎ倒していくカット。

山科ゆりの盲目薄倖娘。
おせんにこの世界から抜け出す事を勧める年増女郎に絵沢萌子。

「屋根裏の散歩者」に「(秘)色情めす市場」・・・そこに新たに「(秘)女郎責め地獄」
傑作を生み出した時の田中登はとてつもない力を感じます。ロマンポルノ見てきて良かった。

シネマヴェーラ渋谷

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