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日常の断片

マーラー

2016-03-23 18:46:02 | 愚考
マーラーに対しては、長くツンデレの姿勢を崩していない。
嫌いだと言いつつ、かなりの枚数のCDを持ってるし、テンシュテットの全集も持ってる。

でも、やはり中々わからない作曲家ではあると思う。なんというのか、贅沢な環境を要求する音楽というか。
大きな編成もそうだし、無理やり(に聞こえる)音楽の展開もそうだし、
入念に指示が書き込まれているというスコアもそう。
録音に関しても、質が高いものでないと困る。マーラーをモノラルで聞こうという気にはならない。

何かこう、作曲者の主張が強くて、疲れるわけ。
仕事は出来るけど、面倒でややこしい上司に捕まった感じに似ている。


それでも惹かれるのは、そんなゴチャゴチャの先に、ちゃんと崇高な瞬間が用意されているからで、
復活や千人みたいな馬鹿に大げさな曲でも、
比較的恥ずかしくない純管弦楽的な曲でも、
時折顔を見せる、軌跡の瞬間を待ちに待って、うっかり感動してしまう。

相変わらず、好きなんだか嫌いなんだか分からないまま、時々オエッと思いながら、
気付いたらまたCDが増えている。

燃費の悪い、不思議な作曲家だなぁと思いつつ、
またテンシュテットの振った8番を、懲りもせず聞いたりしている。

宇宙

2016-03-07 13:03:53 | 愚考
Huluなどで見られる、宇宙特集みたいな番組が好きだ。BBCとかのドキュメント系。

宇宙から見れば、地球というほんの小さな針先のような場所から、
色んな測定器を通してデータを集めて、
物理学の知見を駆使して、宇宙の仕組みを解明していく内容は、
ただそのように見るだけでも面白い。

あんな巨大な星が虚空に浮かんでると想像するだけでも、不思議な気持ちになる。

でも、何度も繰り返し見ている間に、ふと気づいた。
これは、宇宙についての番組と言うよりも、
宇宙に関する人類の認識の物語なのではないか。

そして、そのように見るほうが、遥かに面白い。
人が、自らの立場から理解できる限り、知恵を絞って宇宙について考え、表現する。

これは、まさに人が物心ついてから、
外界について対する態度、つまり認識そのものとよく似た動きだと思う。

ならば宇宙論は、人類が自らの認識を自覚する過程のようなもの、
と言っても良いのかもしれない。

と、もしこんな言い方をするのならば、
別に話題は宇宙論に限る必要はなく、
おおよそ学問とされるものは、人の、世界についての認識を
自覚的に為すための方法論と言えなくもない。

いまの時代、その方法を決める枠組みは、大きく科学に依っているけれど、
少し前は宗教だっただろうし、もっと前は哲学が、更に前は神話が、
枠組みを決めていたかもしれない。

そんな風に、人が宇宙や世界を知りたいという動機を、
人の自意識の歴史だと捉えると、
ただ最近の宇宙論の解説のように見える番組も、何か大きな流れの一つに見えてくる。

とまぁ、時にそんな妄想をしながら、
飽くことなく、あの宇宙の美しい写真や
CGを眺めているのです。

宇宙は、本当に綺麗だよね。

内圧

2016-03-04 21:43:16 | 日々雑感
心には内圧があって、時々内側から感情や思い出が噴き出そうになることがある。

若い時は、コントロールが下手くそで、
時には一人で泣いたり、安定を失って怒ってしまったりすることがあったけど、
最近はそんなことも無くなって、知らずと平穏に過ごしている気になっている。

とは言うものの、今一度冷静になって自分の心を観察してみると、
実は鎧が分厚くなっただけなのだと気付かされた。

理由としては、歳もあるだろうし、忙しくなったのもあるだろうし、
金銭的に余裕が出てきたこともあるだろうし、
現実に気づいて人生に夢を見なくなったこともあるだろう。
大人になってしまったということなんだろうか。

若い頃には悩んでいたような、多くの大して重要でない問題は、
時間が解決してしまうということを身を以って知った。

決して解決しないと思っていた、母の喪失に伴う感情も、
何も解決しないままに心に固まり付いて、
鋭く激しい感情を突き動かすようなことは滅多に無くなった。
こんなことにも折り合いを付けさせる時間とは、一体何者なのか。

しかし、大抵の感情を処することが出来るようになってしまうということは、
逆から見れば、感情や考えるべき・感じるべき事柄を
心の奥に仕舞い込んで、貯めこむようになるということではないのか。

これは果たして、正常な状態なんだろうか。

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どうも人生には、どうしたって解決しない問題というのが、
時々チラリと顔を覗かせる時がある。

普段は、チラリなので、他の大したことない問題に紛れてしまうのだけど、
僕にはこれが、何かとてもいけないことに思えてくる。

昔はもっと直視していたのに、見ぬふりをするのが上手くなっていることが、
居心地悪いのだ。

いつか後悔をすることになってしまうんじゃないかと。

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本当に大切なことや、必要だと思うことというのは、
実はそんなに多くない。

いつもそういう大切なことや必要なことだけをちゃんと見て、
人生を生きることが出来ればいいのに、と思う。
なぜ忘れてしまえるのか。

大人になるなんて、ちっとも良いことでも何でもないじゃないか。