ハニカム薔薇ノ神殿

西南戦争の現地記者の話他、幕末〜明治維新の歴史漫画を描いてます。歴史、美術史、ゲーム、特撮などの話も。

漫画の「裏街道」

2017年09月25日 | サブカル・同人誌関係
漫画の「表街道」てこれだと思うんですよ。


「大手雑誌の新人賞を受賞」>「何度か読み切り」>「雑誌連載」>「単行本発売」>「アニメ化、映画化など展開」

漫画家になりたいと思う時って結構
このパターンしか浮かばなかったり、そもそも漫画の学校の講師がこれなので
これしか浮かばなかったりします。

私は新人賞「佳作」の次、って時にどうしても描けませんでした。

というのは、その受賞作がプレッシャーになってしまい

「選者は○○先生か…じゃあ、こんな内容じゃダメだな」
とか、選者の先生や編集にどうやったら気に入られるか?
いや、むしろどうやったら「ダメ」て言われないか怯えていたと思います。

そこで悩みすぎ、前に進めなくなってしまった時でした。
ふと友人が2次創作同人誌を買いまくっている、と話してくれて
送ってくれた同人誌を読んでるうちに
これは楽しい、これはスゴイ!と夢中になり
同人誌即売会に行くようになりました。

そこはいわゆる、投稿組から見たら「裏」でして
当時は選者である先輩方は「他人のふんどし」「ありえない」「おつきあいしたくない人たちですね」
などと、否定的意見が多かったです。
私がアニパロでデビューした当時もまだ、風当たりは強かった。

投稿時代って周囲は自分より上手いライバルだらけ。
大学にまだいたのですが、そこも才能だらけ。
うっかり作品を読んでもらおうなどとすると、超専門的知識で
「こんなのダメだね、まずペン使いの基本ができてないから〜」とか「ストーリー構成が〜」とか
ガツンガツン、「ダメ」「無理」という否定しか無かった。
それはそれで真摯には受け止めるんですが、メンタル疲れてる場合はきついのですよ。
褒めてと言えるほどの実力ではないかもしれんけど
そんなゴミみたいに言われたら、かけた情熱と時間の分、心は折れる…。

ところが同人誌に入ったら、「山、意味、落ち」がなくてもOK。
「は?」て感じでした。目からウロコでした。
「あんたこれ何で描いたんだ」てのもアリで。
でも、とにかく当時の同人誌で何が楽しかったかって
「こんなのではダメだね」「もっとこうしなきゃ」「これは描くべきでしょうか?(キラーン)」
というのが、まるで無かったことでした。
驚くほど自由で、「突き上げ」のエネルギーを感じました。

あ、自分ダメじゃないんだ?って。
UVERworldの「一滴の影響」の歌詞じゃないですが
一番いけないことはさ、自分をダメだと思うこと。
そうこうしてるうちに「描けるんだったら描いて!」とかなってるうちに
知らん間、同人誌に参加してた、て感じです。
当然プロでないのでノーギャラwで休み無しな状態でしたが、
とにかく自由に描く楽しさを満喫しました。

私は一時、放送作家になりたくて
DJやビックリハウス(という投稿雑誌があった)に出したり
「放送文芸大賞」とか出してたんだけど、なぜかそっちも
佳作どまり、賞金もらった後はサッパリめっきり声もかからず
何が足らなかったのか、才能無かったんだろうけど、当時は「女性は無理」てのも多少はあって。
まあ、縁が無かったです。


同じ時期の投稿雑誌には、アニパロやOUTやファンロードがあって
実は弟がすでに月刊OUTの常連でした。
大学にファンロードで漫画やってる人もいて
…見られたら恥ずかしい!しかも堂々と二次創作でも良いというので、アニパロに出した感じです。
(けど載ったら結局見られるじゃん。アホなのか自分)

かようでございまして
ずっと「本道」「表街道」に行けないw


同人誌二次創作は「裏」

雑誌でも二次創作、アンソロなどは「裏」

携帯コミック、WEB連載は「裏」

広告コミックは「裏」

思えばずっと自分「裏」にいます。
裏って、ずっと何も評価されないです。
名前も残らんでしょうし、何とか賞とは永遠に無縁です。

でもこれ本当に裏?
裏って何?そう思うから後ろめたいだけなんでは?


その時その時行き詰まってもこれがある、
また行き詰まってもこれもある、と
「裏街道」の良さとは「無限の別解ルート」を見出せることだと思うんです。


最近思ったのはそれで

「裏」とか「ダメ」とか思っちゃいけないな
そもそも「表」てなんだよてことでした。

堂々と、それやって生きようかなってとこです。

どんなルートを歩いていても、
一生懸命であったことは事実だし

まあ、どんなルート、形であれ
漫画というミディアムを通して
何かを出せたら、それはもうそれでいいじゃないの?

そんなとこです。



コメント
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