【タイ山岳民族の村に暮らす】

チェンマイ南西200キロ。オムコイの地でカレン族の嫁と綴る“泣き笑い異文化体験記”

【チェンマイへ帰る】

2007年01月15日 | アジア回帰
 台湾、ベトナム、カンボジア、タイとアジアの国々を経巡っているうちに、タイの北部都市チェンマイに深い縁ができてしまった。
 
 チェンマイは、“北方の薔薇”と形容される美しい古都で、お濠に囲まれた旧市街のそこここに由緒あるお寺(ワット)が点在している。
 早朝散歩に出れば、市場のまわりには托鉢に歩く若い僧たちの姿を見ることができる。
 人々は、待ちかねたように食物や花を寄進し、履物を脱ぎ道路にしゃがみ込んで若い僧たちが唱えるお経に両手を合わせる。
 その両者の敬けんな祈りの姿には胸打たれる思いで、同じ仏教国の人間として深く考えさせられるものがある。

 11月下旬に初めてチェンマイを訪れたときは、1週間ほどでラオス、カンボジアへ移動するつもりだった。
 その証拠に、出発前にはわざわざ東京のベトナム大使館まで出かけ1ヶ月間の観光ビザを取得していたのだ。

 ところが、チェンマイで山岳少数民族の村を訪ねるトレッキングに出かけたおり、宿泊先の飼い犬(産後で気が立っていたらしい)に噛まれてしまい、狂犬病ワクチンを都合4回接種するためにチェンマイに足止めをくらうことになる。

 そうこうするうちに、まるで出合いがしらの交通事故のような激しい“出会い”があり、タイ人の想像を超えた信仰心や家族への思い、そして大らかで現実的な生活感などにぐいぐい惹きつけられて、1ヶ月を超える長逗留となってしまった。

 そして、野暮用のため1月初めに一時帰国したものの、今日再びバンコク経由でチェンマイへ戻る仕儀とあいなった次第だ。

 1月ほど世話になったゲストハウス(一拍500円以下で泊まれる安宿)の日本人おかみ(といっても、まだ30歳前後だが)は、別れ際に大きなおなかをさすりながら“行ってらっしゃい!”と送り出してくれた。

 すなわち、「日本に帰る人」ではなく「またチェンマイに帰ってくる人」として扱ってくれたのである。

 彼女は宿の経営者であるタイ人男性と結ばれ、間もなく初めての子を授かるのであるが、初めて見たときにタイ人女性と思って英語で話しかけたほどに外見も思考形態もすっかり“タイ人化”している。

 そんな彼女に“行ってらっしゃい”と言われた瞬間、私はさらに深くチェンマイに引き寄せられたような気がしたものだ。

 そして、日本で10日間ほど頭を冷やしたいま、チェンマイへの思いはますます募っている。
 異国に、自分の“帰り”を待ってくれている人がいる。
 それは、何者にも代えがたい貴重な財産ではないだろうか。

 私を“待ってくれている人”についてはおいおい語ることにしたいが、おっと、そろそろ家を出る時刻だ。

 今夜はバンコクに一泊し、明日午前11時半の便でチェンマイに飛ぶ。
 空港に迎えにくるその人に言うつもりのタイ語の“ただいま”は、まだマスターしていないのだが。

 (キミちゃん、コメントありがとう。すっかりご無沙汰しましたが、ご両親にもよろしく!)

 
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1 コメント

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お元気そうで、、 (tamura)
2007-01-20 11:31:19
久々に覗いてみたら、更新されていたので、ほっとしました。
お元気になられたようでよかった。
世界放浪中ですね。

メールしようと思ったら、アドレスがわからなく
なったので、こちらにアクセスしました。
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