・ミダス王の誘惑――「物よりお金、求める現代」と、小野善康さん
現代は、物よりお金を求める時代だそうです。これは、「ミダス王の誘惑」という朝日新聞朝刊の金曜日定例コラムで、小野善康さん(阪大特任教授)が4月1日から担当します。
1回目のこの日、「物よりお金、求める現代」という見出しは、現代がまさに「お金」だけを「神様」に見立てる時代が進んでいるというものです。解説によると、「ミダス王の教訓とは、ギリシャ神話に登場する王様で、神に頼んで、自らが触れたものを黄金に変える能力を授かった」という有名な話から取りました。
現代は、「物より心」ではなく、「物よりお金」です。そして、このお金は、本当に自分の幸せをもたらすものでしょうか。
自分がお金持ちになればいい、というだけで、世界の財物を食い散らかすことなど、どうしてできるのでしょうか。財物よりも、“こころ”こそ大事なものではないか。そして、その“こころ”こそは、日本人が心の奥底に秘めたものではないのか。
この回の結びに、16世紀フランスの経済学者、B・ラフマスは「ぜいたく品を買うすべての人々はすべての貧しい人々の生活を支えているが、守銭奴は彼らを貧苦のうちに死なせている」と述べた、とあります。この発言は今でも生きている、のだそうです。やはり、「こころ」について、もっと考えてみる必要があるのではないでしょうか。