おはようございます。 生き生き箕面通信1529(130228)をお届けします。
・この国の「壁」
「目の前の『壁』は高く、ぶ厚い。でも、それを壊すには、まず『ひとり』が必要なんだ」。本日2月28日の新聞(朝日)の中で、こんな文章に出合いました。作家、高橋源一郎さんの「論壇時評」(15面)です。
この国の「壁」は、ますます分厚くなってきているのを実感しています。昨年末の衆院選で自民党が結果的に圧勝の形になり、そして小沢一郎氏が率いる「生活の党」が惨敗の結果となったので、「壁」はさらに分厚く、高くなったように感じます。時に、心が折れそうになります。しかし、簡単に折れるわけにはいきません。
高橋さんは、たった一人で始めたある青年の「ナベタくん(仮)の選挙」という動画について、異例のスペースを割いて記しました。そして、水俣病と半世紀にわたって向き合った医師をはじめ、「水俣病の『四銃士』が最初はそれぞれ別個に取り組みはじめたことに触れました。
「悔しいけれど歯が立たない。でもだれも読まなくても記録だけはしておこう」。これは石牟礼美智子さんが宇井純さんに語った言葉だそうです。その頃、「彼らの前には、国・裁判所・企業・専門家が作る、びくともしない巨大な『壁』があった。(中略)『壁」を前にして、彼らは絶望しなかった。いま考えるなら、彼らは、ひとりひとり、それぞれの場所で、目の前で起こっていることを『記録』しようとしたんだ。なぜ? いつか、未来のだれかが、それを読むことが希望だったからだ。そして、彼らは不可能を可能にしたのだった」
「この国はすごくヤバいみたいだ。なにかの蓋が開いたみたいに、毎日のように体罰やイジメのニュースが流れてる。どこかで誰かが、殴られたり、蹴られたり、罵詈雑言を浴びて、傷つき、時には自らの生命を絶つ。ここにも同じ『壁』がある。自分たちを絶対正しいと考え、それに疑いを抱いた『ひとり』の声をはねつける『壁』が」。
国家権力というリヴァイアサン(怪獣)は、幾重にも分厚い「壁」で身を固めています。庶民が、あるいは有権者が抗議の声をあげても、簡単にはね返してしまう壁を作っています。
安倍政権は、議会で多数を占めたことを機会に、言論の自由を奪い、一人ひとりを孤立させる政治環境を整えようと動き始めました。目指すは、憲法改定という政策の貫徹であり、改定して作る「この国の形」は、天皇を国家元首とする「明治維新体制」です。形は、天皇が国民を統治する君主制です。当然、国民主権は吹っ飛んでしまいます。現在ですら風前のともしびの「主権在民」は、文字通りリヴァイアサンに踏みつぶされてしまいます。
分厚い壁を壊すには、まず有権者一人ひとりが「主権在民」の意義を再確認して、現実政治のなかでよみがえらせることが急務ではないでしょうか。