建築設計者の日々是好日

建築家として感謝をもって生きる日々の記録

プロフェッショナル(職人技を持つ人たち)の生きる道

2015年03月05日 | Weblog
 われわれ建築設計者は無から有を作り出す仕事と言える。
しかし、その中身は昔とはずんぶん変わってきた。
私が組織設計事務所に入った頃は、まだアルミサッシができはじめたころで、学校の設計でもサッシといえばスチールサッシで、さらにスチールの型材を組み合わせて特注サッシを作る方法を教えられたものだ。

 翻って、現在はどうだろう?
スチールの特注サッシはできないことはないが、いざやろうとするとべらぼうな価格になってしまう。
スチールがいいと言っているわけではなく、そのような職人技を持つ人たちが減っていて、いたとしてもとても特殊な技能の持ち主という位置付けになっていることが心配なのである。
 なぜ心配かといえば、特注のサッシではなく一般の既製品のサッシを使っていれば(設計で仕様を指定することを意味する)なにも困ることはないのだが、ちょっと寸法を変えると高いものになってしまい、全体のコストコントロールを考えると躊躇してしまうという状況がいいとは思えないからである。
 そして、デザインの幅が狭められる。

 どの世界にも職人、匠、親方、プロフェッショナルといろいろな呼び方で専門家が存在する。
しかし、今の社会は特別なことをする、できる人間を使わない方向にあるように思う。
これは、非常な社会の損失と言える。
規定の製品しかできない社会になってしまったら、なにかの拍子に機械が止まったらなにも対応ができないということになりかねない。

 「技術は人についてくる」
人がいなくなればその技術も消える運命にある。
なんとかみんなでプロの技を使うことにしよう!

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