てのしごと~ながくて風土~

2023年もよろしくお願いいたします✨

もうすぐ、つばたしゅういちさんの命日です。

2020年05月25日 | つばたしゅういちさん・ひでこさん

畑では、玉ねぎやニンニクが穫れ、気温がぐんぐんと上昇してゆく初夏です。

この季節になると、つばたしゅういちさんの命日だな~としゅういちさんのことが思い出されて、高蔵寺の方を見て手を合わせます。

2015年6月2日、津端修一さんはお昼寝をしたまま天国に旅立たれました。


2016年7月に、しゅういちさんのお宅にお伺いしたときの写真です。お土産の焼き菓子などをお供えさせてもらいました。ひでこさんにお茶やケーキをご馳走になり、たくさんお話できた、今となっては夢みたいな時間でした。

でも、夢ではなく、今もしゅういちさんやひでこさんの存在がわたしの励ましになってくれています。



わたしがはじめてお宅にお伺いできたときには、亡くなれて1年経った後だったのですが、ひでこさんのお宅にはたくさんのプレートやお道具がそのまま残されていて、まるで隣でしゅういちさんが『ここはね…』と、お家の中をわたしたちと一緒に案内してくれているような錯覚に陥ってしまいました。


こちらはしゅういちさんの書庫の扉。



ご自宅の敷地内のいたるところにたくさんの手書きの看板やプレートがあって、しゅういちさんのお人柄やなにか体温みたいなものまで感じられるようでした。

つつましく、確かな暮らしを感じました。

ご縁あって、しゅういちさんのことを耳にできる機会に恵まれ、津端ご夫妻の書籍なども家にあるので、折に触れてしゅういちさんやひでこさんの暮らしに触れることができます。

わたしは40代ですが、今までの人生でも、結婚してからも、子どもを育てていく中でもいろいろなことがそれなりにありましたが、それらのすべてがしゅういちさんやひでこさんの時を超えてメッセージをもらっているようで、読むたびに心の中にわいてくるものがあります。

しゅういちさんが亡くなられてから出版された、

『ふたりから ひとり~ときをためる暮らし それから~』


これはひでこさんのお家に持ってうかがったので、ひでこさんにおふたりのスタンプを押してもらっています。


ひでこさん、ありがとう…。

このなかで、ひでこさんのしゅういちさんに対する気持ちがとても温かく、娘として、妻として、母として、ひとりの人として生きるわたしになにかすごいメッセージを送ってくれています。

何度もこの本のことはこちらのブログで乗せさせてもらいたいと思っていたんです。

でも、うまく書ける気がしなくて・・・。

わたし自身気持ちがまとめれなくて・・・。




迷ったまま4年も経ちました。

今、しゅういちさんの5回目の命日にあたって、まとまってなくて、とにかく記事にさせてもらいたいなと思って、漠然とした内容でホント、わたしなんかが恐縮なんですが、記事にさせてもらいました。

ひでこさんは、しゅういちさんの心の中を大切にとらえられて、まるでお母さんのような、大きな心でしゅういちさんを支えられていました。

しゅういちさんのような天才のような方が、ひでこさんの大きな心で支えられていたんだな~と思った時、このご夫婦がなぜこんなにもみんなを魅了するのか理解できたような気がしました。


本の一部、抜粋させてもらいますね。

私が思うに、小さいときに母親の愛情を受けないと、どこか心の中にさびしいところがあるのね。

 子どもは小学校に入るまでは親が親身になって、肌身離さず身の回りのことをやってあげないと、ずっとひきずると聞きますよ特別なことをしなくてもいい、男の子はとくにそうで、大切に育ててあげないと。娘の旦那さんを見ていると、そう思うの。お母さんが大切に育てたから、まともな人間に育っているなと。お父さんは、どこか、まともじゃないもの、フフッ。

『さみしがりや』 36ページから一部抜粋



私は「ご新造として夫を第一に考えて大切にする」と、小さい頃から教えられて育ち、徹底的に体にそれが沁み込んでいたから。それがよかったんじゃない。支える側に回って、それに徹しようとごく自然に思っていたし。はなこは「わがままなおじいちゃんを世話して…」とそういうふうに見ているみたいだけど、わがままとは違うのよ。まだ若いからわからないけど、発想がユニークなの。とりようがいろいろあるからね。それも個性の一つであって、通り一篇、「わがまま」という言葉ではくくれないの。

今度、はなこに会ったら「そういうのはわがままとは言わないの」と教えようと思って、すごくデリケートで、そういう人と結婚したんだと、考え方を変えればいいのよ。いいようにとるか、悪いようにとるか。いいようにとってごらんなさい、もう、気持ちは晴れ晴れとしちゃうから。まあでも、わがままと言っちゃえば、わがままなのよ。アハハッ。(2015年9月)

『モラトリアムだった時代』 45ページから一部抜粋

 やっぱりね、人間はやさしさが一番よ。お金とかじゃない。お金がないと苦労するかもしれないけど、「苦労する」ということを、自分から言ったらいけない。そりゃあ、苦労させられると、もう嫌だと言う感情は誰でも抱くだろうけど。

その知人は夫婦として、もうしゃべることもないって。ひとりになって平気なのかもしれないけど、歳をとっての離婚はやめたほうがいいと思うのよ。男の人は、若いときは力があるから、また好きな人と結婚したらいいけど、六十を過ぎてひとりで生活をはじめるのは哀れよ。

女の人も自立して生きられるなら、それもいいとは思うけど……、いまの女の人は割合、そういう風に考える人が多いみたいね。

誰かと一緒に暮らすのって、そりぁ、むずかしいわよ。いまの若い人から見たら、うちのお父さんなんて自由奔放。好きなことをやってきて。でも、離婚は考えたことはなった。わたしは食べさせてもらおうと結婚したから。幸い、こうしなさいと言われたことはなかったし、けんかをしたこともなかった。けんかの材料がないし、言うことはまともでね。

ひとりより、二人がいいよ、ぜったい。ひとりになってごらんなさい、長いわよー。この年になって、私、はじめてひとりになって、そうおもったの。小学校の頃からひとりが好きで、いつもひとりだったから、ひとりは苦にならなかったけど、今回の一人は、さびしいというより、いままでに経験したことがない感情よ。

『いいところだけを見る』51ページから一部抜粋





…こんな風なひでこさんに支えられたしゅういちさん。しゅういちさんが建築家としてなそうとしていたこと、考えられていたことは、これからの未来で実現されていくといいのにと思わされてなりません。

しゅういちさんの暮らしや想いが、これからの子どもたちの未来につながっていきますように…。

母であり妻であるわたしたちは、それを支えていけますように・・・。

しゅういちさんの命日を前に、願ってやみません。

わたしは、ひでこさんのお宅にお邪魔したときにたくさん写真を撮影させてもらっていて、今までブログであげさせてもらっていたものもあるけれど、まだできてないものもたくさんあって、そういう写真を、ご縁あってこの記事に来てくださった方とシェアできたらいいなと思っていました。



とりとめもなくですが、写真、貼らせていただきますね。


座ったり、立ったり、いつもみんなを気にかけてくれるひでこさんでした。


ふふっ!わたし字を書くのってあんまりあれだから…と言って、お二人のハンコをおしてくれました。



美味しい紅茶と、忘れられない美味しさのバターケーキでおもてなししてくださいました。


お話がとまらなかったな~✨


本当に本当に美味しくて…。


なくなってしまうのがかなしい~と思うほど。


水戻し中のどなべ。わたしもどなべばかり使っているんですが、ひでこさんもたくさんどなべ持たれてみえて、よさを教えてくださいました。


おすすめのみりんと料理酒!なんと我が家も同じもの使ってたんです🙌


しゅういちさんのために、塩分を計って台所仕事されていらっしゃいました。


本当に丁寧なひでこさんです。


海生堂さんは、福井にあってわたしの実家(石川県)でも海生堂さんの海藻類、たくさん使わせてもらっていて、金沢から荷物を送ってもらう時によく入れてもらっています。



名古屋生活クラブさんの宅配でも扱いがあるので、ありがたいな~✨


お醤油につけた梅も出してくださいました。


美味しい~♡


さてさて、リビングから出てほかのお部屋へ…。


食材庫にも案内してくれました。


ひでこさん、容器、ガラス瓶多いですね~というと、そうね~わたしは昔からあるものしか使わないから~って言われてみえました。

やっぱりガラスの容器などがいいですね~。


天井には、名古屋市栄にある百貨店さんの袋がいっぱい!


ちょっと外にでるとおなじみの黄色い手書きのプレートがいっぱい!

隣でしゅういちさんが話してくれているよう。


7月の日差しです。


機織り部屋。きれいな糸がいっぱい。


トマトが干されていましたよ。


ここが造成された住宅地だったなんて…。わたしにとって、衝撃なことでした。


おなじみ、しゅういちさんの燻製場!


すぐ隣にこんなプレートが。


蓋にもかわいいペイントが。ステンシルかな。


玄関はありません、お好きなところからどうぞ!のリビング。外のテラスからすぐリビングになっています。


豊かな雑木林。影ができて涼しい。


ひとつひとつ、大切に育てられていたんだな~。


書庫の中。さすが整理整頓、模様替え好きなしゅういちさん。


はなこさんのアルバムもたくさんおさめられています。


外に出ると、果樹も実ってきていました。




人生フルーツ。また映画みたいな~。


本当に、本やテレビ、映画の中で見るそのままの暮らしがありました。


また、本を見ながら、しゅういちさんのことを偲びなから命日をお迎えしたいと思います。


ひとつひとつ、短いお話が綴ってあって、時間のない時でもちょっとだけ読めるのでとてもいいんですよね。

それなのに、いつも心に深く感じるものがあり、胸に染み入るお話です。

…本当にとりとめもない記事になってしまいましたが、ようやく4年の時が経って、写真だけでもたくさんご紹介させていただくことができました。

最後まで、こんなつたない記事を読んでくださった方々、お付き合いいただきありがとうございました。

しゅういちさん、安らかに・・・。
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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (tomato)
2020-05-26 01:21:28
 はじめまして。春日井市に住む者です。
昨日、高蔵寺ニュータウンにお住まいの同僚の方と、津端さんのお話をちょうどしました。
 
 一度でいいから津端さんのお宅を拝見してみたいし、(全く部外者なので不可能ですが)ご夫婦とお会いしてお話ししたかったです。
 お家の風景や英子さんのおもてなしの様子など、貴重な写真をありがとうございます。

 
Unknown (hudo-mau)
2020-05-26 12:12:00
tomatoさん

はじめまして🤗コメントありがとうございました🙏

わたしの手元にだけ置いておかせていただくにはもったいなさすぎて、写真をつばたご夫妻が大好きなみなさまとシェアできたらと思っていました✨

本当に、本で見る世界と同じ世界でした❗tomatoさんは春日井にお住まいなんですね✨

しゅういちさんやひでこさんの暮らしぶりや思いなどが、これからも人々の心に響きつづけるといいなぁと思います。わたしもそのひとりです。
Unknown (しづ)
2020-05-27 10:26:26
はじめまして
いつも拝見させていただいてます、色々参考になります
先日の桜の葉の塩漬け、娘と葉をとりに行き作ってみましたが何故か苦味を若干感じます
火を通すのが短かかったのかな?と自分では思っているのですが。。手作りだとそのような仕上がりになるのでしょうか?
香りは桜餅なので苦味は気にせず使おうと保存してます

話しは変わりますが私もtomatoさん同様、津端さん宅にいつかは訪れてみたいなぁと夢を描いてました
ヒデ子さんの影響でお料理はほとんど土鍋(長谷園の黄瀬戸)です
使ってみると本当に土鍋って使い易くお料理もやわらかな優しい仕上がりになりますね
読んだら終わりの本が多い中、津端さんの本は見る度ワクワクしますしほっこりします
なので今回の記事はとても嬉しかったです、ありがとうございます
ただ気になったのですがヒデ子さんはもう修一さんの所に旅立たれたのでしょうか?
最後の文章がそのような感じでしたので。。
Unknown (mau)
2020-05-27 19:47:37
しづさん

こんなつたないブログにお越しくださり、コメントまでしていただき、ありがとうございます🙏

桜の葉っぱの塩漬けしてくださったんですね✨

実は桜餅の葉っぱは、オオシマザクラという静岡県松崎町で育つ桜からとれる葉っぱで正式には八重桜やソメイヨシノではないんです😭

しかしながら、世の女性たちはそこで収穫するのが難しいのですが、桜餅を楽しみたいという気持ちでせっせと近場の桜で塩漬けしているという現状だと思われます🙇‍♀

なので、苦味?のようなものをお感じになられたのかもしれませんね🙏説明が不足しており申し訳なかったです。

わたしは、まだ柔らかさが残るくらいの葉っぱを使っています🤗桜の葉を塩漬けしたときに、クマリンという毒素も発生するそうで、1個の桜餅の葉っぱくらいでは大丈夫だそうですが、ご心配なら香りだけ楽しむ感じがよいかもしれません💛

しづさんもつばたご夫妻の本もっていらっしゃるのですね😆本当に一話完結で、ふとしたときに手にとって読むと心にしみて、とてもよいですね❣️
Unknown (由紀美)
2021-10-10 01:29:58
素敵ですね。
Unknown (hudo-mau)
2021-10-10 09:07:28
由紀美さん

ありがとうございます✨

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