hoppenの韓的な日々♪

2004年・夏、イ・ビョンホンssiに出会ってから韓流へ~韓国映画&ドラマで刺激的になった日々を綴ります。

第8回東京フィルメックス・トークイベント「イ・チャンドン監督を囲んで」(2007.11.21)

2008-01-23 20:26:52 | 東京フィルメックス・11月


第8回東京フィルメックス公式サイトより
11/21 トークイベント「イ・チャンドン監督を囲んで」
http://filmex.net/mt/dailynews_2007/2007/11/1121_1.html#more

東京フィルメックス映画祭は、個性的な上映ラインナップが大きな魅力ですが、
ゲストとして招かれた世界の映画監督が、上映時の舞台挨拶やティーチインだけでなく、
一般開放されたトークイベントにも参加するので、こちらも毎年の楽しみです。
間近で、名監督たちの話が聞けますからね!(しかも無料!)
韓国から、今年参加したのは、審査委員長も務めたイ・チャンドン監督でした。
『グリーンフィッシュ』『ペパーミント・キャンディ』『オアシス』
そして『シークレット・サンシャイン(密陽)』と、名作を生み出し続けている監督です。
監督の、演出方法の極意を聞くことができました。

ちなみに、昨年の韓国からのゲストは、リュ・スンワン監督でした。
hoppenの韓的な日々♪より
東京フィルメックス:トークイベント「釜山国際映画祭と韓国映画の躍進」
http://blog.goo.ne.jp/hoppen_2006/e/0d14211c5cfb73e4b91a91afff6515a7

イ・チャンドン監督は、ギリシャの映画祭から直行で来日したそうです。
監督の映画の特集企画があったためのようです。
さすがは、カンヌやヴェネチアなどで、高評価を受けている監督ですね。

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<司会>
イ・チャンドン監督の3作目『オアシス』以来、2回目のフィルメックスへの登場ですが、いかがですか?
(↑記憶違いがあり、修正しました。2008.01.25)

<イ・チャンドン監督>
『オアシス』のときは、短い期間でしたが、とても強く印象に残っています。
観客が非常に真摯で、会場が一体になっている感じがしました。

<司会>
イ・チャンドン監督は、4本目にしてすでに巨匠ですが、なぜなんでしょうか?
特に、俳優の演出の秘密を教えてほしいです。
すごくいじめている、とか、ものすごく時間をかけているとか?

<イ・チャンドン監督>
巨匠というのは、できすぎのお言葉ですよ。(テレ笑)
演出方法は、伝統的なほうだと思います。
演技の基本に忠実です。
アクションではなく、リアクションを求めます
俳優に対しては、表現ではなく、与えられた情況に反応してくれと言います。
こう言うと、戸惑う俳優もいます。

<司会>
謙遜されていますね。
私にとっては『オアシス』で巨匠、今回の『シークレット・サンシャイン(密陽)』で大巨匠です。
撮影中、チョン・ドヨンさんは、泣いたりしていませんでしたか?

<イ・チャンドン監督>
俳優は、シナリオを読めば、登場人物の感情を読み取ります。
そして、どう表現するかを考えます。
だから、私が「表現はやめろ」と言うと、困惑するんです。
頭の中で理解するのではなく、自分の体で経験してほしい。
その姿をカメラに収めたいのです。

今回のチョン・ドヨンさんの役どころは、つらい経験になるので、
彼女は大変だったようです。

<司会>
韓国で、文化観光部長官という役職もこなされました(2002~2004年)。
映画制作への影響は?

<イ・チャンドン監督>
役職をやったからと言って、その後も、制作費を集める苦労は同じです。(笑)
私の場合、これまで、運良く上映を成功できていますから、大丈夫。
役職をやって、不利な面が多かったかもしれません。
休んでいる期間が長かったため、撮影中、自分に確信がもてなくて悩みました。
悩んでいるところは、人に見られないようにしていましたが。
また、ロケ地を誘致する自治体があり、物質面でも援助してくれようとするのですが、
私は負担に感じるので、援助は受けないようにしました。

<観客より>
『シークレット・サンシャイン(密陽)』の撮影期間は?
最もテイクが多くなったシーンは?

<イ・チャンドン監督>
4ヵ月半ですが、途中1ヶ月、休みを入れたので、実質は3ヵ月半です。
テイクについては、悪名が高いようですが、実はそんなでもないです。
映画は、俳優の演技が一番大切ですが、1回目と2回目が重要です。
繰り返すと、自然な反応もなくなってしまうので。

<司会>
ちなみに、韓国の映画の平均は、どれぐらいなんでしょうか。

<イ・チャンドン監督>
100分の映画には約1万フィートのフィルムが必要なんですが、
'60年代は、1万フィートぎりぎりでした。
フィルムが貴重で、取り直しはタブー視されていたので。
'80年代になると、作家性が重視され、20万~30万フィートも使うようになりました。
私の場合は、10万フィートくらいです。

<観客より>
キャスティングは、どうやって見出すのか?

<イ・チャンドン監督>
『オアシス』ムン・ソリさんの場合、2000人のオーディションで2人残ったうちの一人でした。
韓国は見た目が重視されるのですが、私は、内面の美しさを重要視し、彼女を選びました。
ソル・ギョング『ペパーミント・キャンディ』『オアシス』)も、
一見干からびた感じがありますが(笑)、内面が、非常に豊かで情緒的です。
基準は、言葉では語りにくいです。

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以上、イ・チャンドン監督の、演出力の秘密を認識するトークイベントでした。
監督は、見た感じ威厳が強そうなのですが、話し方がとてもソフトで丁寧。
人の内面を、深く優しく見る方なんだと思います。
だからこそ、俳優が、自身の感情をさらけ出せるのかもしれませんね。

第8回東京フィルメックスでは、『シークレット・サンシャイン(密陽)』が、
閉幕作品として上映されました。
そちらの映画レビューと、監督インタビューは、後日UPする予定です。



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2 コメント

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Unknown (なあご)
2008-01-24 01:27:30
こんにちは。なあごです。
トーク記事のUP、ありがとうございます。
いつも、メモをとらず聞き流すだけなので、細かいことは忘れてしまうんで、文書にしてもらえてとってもうれしいです。
「蜜陽」はわかりにくいという人もいますが、フィルメックスでの監督のトーク、柳美里との対談、上映後のQ&Aと、監督の話を聞くことができて、作品に対する理解が深まりました。
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えへへ (hoppen)
2008-01-24 12:40:08
>なあごさん
すっかり遅くなってしまったけど、そう言ってくださるとうれしいです。
私は『密陽』にとても共感しました。
監督の話を聞いたら、宗教観が良く似ているからかもしれないな~と思いました。
イ・チャンドン監督は、人間の心の動きを、映画として表現できる名監督ですね。
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