『ほのぼのマイタウン』気まま通信

『ほのぼのマイタウン』のブログ版~見たこと、聞いたこと、伝えたいことを自由に気ままに綴ります。

坂本直行という農民画家

2023-01-25 23:52:07 | 忘れえぬ人々

 

先週末、友人のJさんから電話がかかってきました。

「今度の『日曜美術館』で坂本さんのお父さん直行さんの方だけど、取り上げられるから知らせたいと思って」

NHKのEテレ『日曜美術館』は毎週楽しみに見ている番組ですが、前週最後まで見なかったのか、農民画家、坂本直行が放映されることは知らなかったので、うれしくて彼女に感謝しました。

坂本さんとは彼女のマンション隣に住む「坂本登」さんのこと。

 

坂本さんはかの坂本龍馬を生んだ坂本家の九代目にあたる方で、Jさんの紹介で2010年にインタビューさせて戴きました。

丁度NHKの大河ドラマ「龍馬伝」で龍馬ブームが起きていた頃でした。

 

坂本さんは龍馬に対する思い、父親の事、自身が育った北海道の原野での生活などを語ってくださいました。

坂本家8代目である父、直行さん(1906~1982)は北海道大学在学中、登山部に所属して道内の山々を片っ端から走破した方です。

日曜美術館のタイトルは「山と原野とスケッチと」でしたが、昭和10年、日高山脈に抱かれた広尾に入植して、想像を絶するほどの厳しい開拓の日々の中でも「命がけで自然を愛した」とテレビでは表現していました。

農作業の合間を縫ってはスケッチブックに山々や山野草を描き、いつでも描けるよう木の洞にスケッチブックを置いていたそうです。

毎日15時間労働のあとでも、ストーブの焚火の明かりで描き、本を読む父親の姿を登さんは憶えているとおっしゃっていました。

長男の登さんは極寒の2月、布団の上に雪が積もる馬屋の中で生まれたとか。

 

このような入植後5年間の体験を直行さんは『開墾の記』として、昭和17年に出版しています。

 

       

 

私は取材の時、この本を読み「人間とはこんなにも強いものか」と強靭な精神力と体力に加えて、山野草への優しい眼差しに感動したものです。

龍馬のことは生涯語らず、子どもたちにさえ一切喋らなかった。

ひたすら農民として、画家として骨太に生きた方。

登さんに言わせると”日高のいごっそう”を貫いた一生でした。

それは志を貫いた龍馬の生き方に通じるものがあるのでは?

 

 

    

 

これは誰もが知るような帯広六花亭の包装紙です。

これらのえぞりんどうやえんれいそうなどが直行さんの絵です。

真ん中のはまなしが直行さんのお気に入りでした。

私は2007年帯広に行った折、六花亭が運営するオープンしたての「六花の森」の「坂本直行記念館」を訪ねたことがあります。

閉館ギリギリの時間でしたが、係の方が親切にも入れてくださいました。

日高連峰を描いた絵の数々が胸に染み入るような、温かみにあふれていました。

直行さんの開拓の足跡が今なお人々に安らぎを与えているのですね。

 

 

直行さんの六花を現実に咲かせたいという思いから開かれたという六花の森。

10万㎡に及ぶ敷地にはいくつもの美術館や記念館、カフェが点在し、季節を通して野趣あふれる花々が群生しているそうです。

訪れた時は時間がなくて、他が見られなかったのでぜひもう一度行きたい場所です。

 

直行さんの写真は取材記事のこちらからどうぞ。

*BSプレミアムで1月27日に「山と原野とスケッチと 画家・坂本直行秘境日高山脈を描いた農民画家」が放映されます。

 

    

    

 

 

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