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いま、そのとき、かんがえつつあること。

激動のさなかにある韓国、そして社会運動

2005-12-12 | 国家と権力
激動というのが適切かどうか わからないが、現代の韓国社会は変革のただなかにあるといえる。さまざまな社会運動が展開されており、ハンギョレ新聞やオーマイニュースといった「進歩的」なメディアによる挑戦がさまざまな成果をあげてきた(「進歩」というのは現代韓国のキーワードのひとつだ)。

1988年に民主化したといわれる韓国だが、それまでは軍事独裁の、はげしい管理国家だったわけだ。うがった いいかたをすれば、韓国の選挙運動が日本人にとって魅力的にうつるのは、それだけ「最悪な国家体制」であったということでもある。

日本で出版されている『たたかう新聞―「ハンギョレ」の12年』、『『オーマイニュース』の挑戦』、『韓国のデジタル・デモクラシー』はまさに熱気あふれた韓国社会のありかたをつたえてくれる。

日本でよく いわれているのが、韓国のブロードバンドの普及率であり、それを基盤にしたネチズンの力だろう。しかし、なぜブロードバンドがあれだけ普及しているかといえば、韓国では かなりの割合の人がマンションに すんでいるからだ。それは、暴力的な都市建設の産物なのだ。高層アパートの蔓延については『われわれのなかのファシズム』におさめられた「韓国の建築、ファシズムの増殖炉―影のない建築の朝にかく手紙」でも論じられている。

韓国の障害者運動が本格的になったのは、移動権連帯によるバスや地下鉄の路線の占拠などによる移動権保障運動だと いえるだろう。移動権連帯が結成されたのが2001年4月20日のことだから、まだ最近のことだ。日本で青い芝の会が1977年にバスを占拠できたのも、韓国との対比でいえば、さいわいにも(!)軍事独裁体制ではなかったからなのだ。「停戦状態」でも分断国家でもなかったからだ。

現代韓国では、外国人労働者差別の問題もある。もはや帝国主義の被害者とだけ自称することはできなくなった。しかし、そこで話をおわらせることはできない。さまざまな労働運動や差別撤廃運動との連帯によって外国人労働者もまた社会運動の にないてとして存在しており、もはや一部のメディアでは「移住労働者」という表現が定着している。

キム・デジュン以降は死刑執行も おこなわれていない(「死刑廃止法案の行方と受刑者の人権」『インパクション』149号を参照)。戸主制も廃止の はこびとなった(2008年から)。

国家保安法の廃止も時間の問題だろう(10年は かかるかもしれないが)。だが、住民登録証と住民登録番号は、どうなんだろうか。指10本、つまりあるだけ全部の指紋を強制的に押捺する制度であり、住民登録証にも その指紋がコピーしてある。わたしも外国人登録をしたときに指紋全部とられた。しかも、黒のスタンプで。けども、外国人特例(!)なのか外国人登録証に指紋のコピーはなかった。そんな皮肉は どーでも いいが、ウィキペディアの「韓国のインターネット」にも かかれているように、登録番号は排他的でもある。

すべてとは いわない。けども、どれもこれも日本の植民地支配の産物(ナショナリズムをみよ)か、分断に起因するものだ。いったい、どの位置から反韓をかたるのか。

けども、わたしは、それでもまだ韓国は最悪の国家体制だと明言する。賛美なんかしてたら、わたしの大事な友人たちが直面している現実が、みえなくなるじゃないか。くそったれ。

グーグル:「韓国の社会運動」
付記:「激動のさなかにある韓国、そして障害者運動」という題をかえた。予定より障害者運動についての言及がすくなくなってしまったので。