「幸福な食卓」 瀬尾まいこ (著)
内容(「BOOK」データベースより)
父さんが自殺を失敗したときも、母さんが家を出たときも
朝は普通にやってきた。
そして、その悲しい出来事のあとも…。
泣きたくなるのはなぜだろう?優しすぎるストーリー。
いつも訪問させていただくブログで、この作家のことを初めて
知った。
この小説が最初の「出会い」になる。
ちょっと変わった家族の日常が、佐和子という少女の目を
通して描かれている。
自殺未遂の後、仕事も父親業も辞め、突然大学受験を
目指す父親。
母親は家出して一人暮らしを満喫している。
子供の頃から天才児と言われていた兄は、何故か大学受験を
放棄し、無農薬野菜を作ったり家で鶏を飼ったり・・・。
そんな変わった家族のことを気にかける佐和子も、毎年梅雨に
なると精神が不安定になり体調を崩す。
この家族は、それぞれ心の中に痛みや歪みを抱えているのだが
表面上はとてものんびりと穏やかに過ごしている様子が、淡々と
読みやすい文章で綴られていく。
とても居心地の良い雰囲気なのだが、何となく洋服の上から
背中を掻いてるような、ぬるま湯に浸かっているような・・・
微妙なもどかしさも同時に感じてしまった。
そんな中に登場する小林ヨシコと大浦君の存在が、私には
とてもたのもしく思えた。
なかなか立ち直れないでいる佐和子のことを、半分やけくその
ように無器用に励ますヨシコの優しさが胸にこたえた。
この物語の登場人物では、一番好きかも・・・。
大浦君のキャラもなかなか良かったが・・・。
後半の急展開も、私には何だか違和感が残った。
それはないでしょう?!という心境かな。
涙なしでは読めなかったのだが、一方では何でこうなるの?
という思いが強くて・・・。
さりげない日常のままで終わらせられなかったのか・・・。
何しろ初めて読む作家だから、もう何冊か読んでみないと
よくわからない。
ひょっとしたら苦手なのかな・・・。
この作品が、映画化されて来年早々、上映されるようだ。
大浦君を演じる男の子は、以前「永遠の仔」というドラマで
モウルを演じた時から好きだった。
将来絶対に伸びるだろうと思っていたのだが、やはり最近
いろんな所で顔を見せてくれるようになって嬉しい限り。
ただ、大浦君を演じるには顔が理知的過ぎない?(^^;
原作を読んでから映画を観ると、だいたいはがっかりする
ことが多いものだが、今回はさて・・・。
原作は原作、映画は映画と割り切ってしまえば、また
楽しみ方も違ってくるのだろう。
今回、この感想を書くのに何日も費やしてしまった。
途中まで書いて、文章が浮かんでこなくて止めてしまって・・・。
この繰り返しだった。
何でこんなに時間がかかってしまったのか・・・。
決して面白くなかったわけではない、むしろ面白かったのに・・。
相性が良くないのかな。。。