「氷の華」 天野節子 (著)
専業主婦の恭子は、夫の子供を身篭ったという不倫相手を毒殺する。
だが、何日過ぎても被害者が妊娠していたという事実は報道されない。
殺したのは本当に夫の愛人だったのか?
嵌められたのではないかと疑心暗鬼になる恭子は、自らが殺めた女の
正体を探り始める。
そして、彼女を執拗に追うベテラン刑事・戸田との壮絶な闘いが始まる。
このところ書店に行くたびに、この本が気になっていた。
ドラマ化の派手な宣伝文句が嫌でも目についてしまって・・・。
実は、帯に載せられた写真に個人的なトラウマがあり、読むつもりは
毛頭なかったのだが、そのドラマに堺雅人氏が出演すると知ったとたん
彼がどの役をするのか俄然興味がわき、まず原作を読んでみたという
しだいで・・・。
で、ここからが感想。
予想以上に面白くて、途中でやめられなくなり一気読みしてしまった。
ストーリー自体にはさほど斬新さはないのだが、テンポ良く二転三転する
展開と、良く練られた文体で最後まで飽きさせない。
まるで上質なサスペンスドラマを観ているかのような気分だろうか。
主人公の恭子は、冷たくて高慢でどうにも好きになれないのだが
それでも嫌気がささないのは、筆者の人物描写の巧みさに因るところが
大きいだろう。
恭子を刻々と追い詰める刑事・戸田も存在感がある。
後で知ったのだが、この作品がデビュー作となる筆者は、既に還暦を
過ぎてるという。
しかも自費出版からスタートしたようだ。
何だか応援したい気持ちになってしまう。
次回作に大いに期待したい。
この作品は、テレビ朝日で9月6日・7日と2夜連続で放送されるようだ。
ネットで調べてみたが、設定はかなり変更されている。
原作とは別物と割り切って観た方が楽しめそうだ。
堺雅人は観たい!
でもねぇ・・・複雑な心境。
事情を知らない人には意味不明だな。。。(^^;