日常雑記

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パリの飛地

2016-10-26 20:05:13 | 随筆
飛地という言葉を知ったのは随分むかしのことである。パリの飛地は遥か遠いブルゴーニュ地方の山奥のセーヌ川の源で、その場所には「パリ市所有」との看板が立てられている。そこにはセクアナの石像が祀られ、台座の傍に水源があり、その僅かばかりの水が溜まって流れだしやがては大河となってパリ市街を悠々と流れるのである。泉はケルト人にとって神話に出てくる泉と癒やしの女神である。
現在はどちらも唐津市となっているが、曾ては厳木村のなかに玉島村の飛地があった。そこは鳥巣・宇土いい、渓間の僅かな平地で、他村へは総べて峠を越さねばならず、周辺地区に比べて雪の多い集落であった。平家の落人の末裔と称する鳥巣氏が藩政期に庄屋を任ぜられ、永代庄屋として明治期に到っている。縄文前期のサヌカイト製の石斧・黒曜石製の石鏃など各所に散在したが、それ以後の出土をみないそうである。現在は同じ行政区となっているから、飛地の認識はなくなっているだろう。
私は戦後すぐの頃、玉島村に住んで飛地という場所のあることを知った。全国には他にも類例があることと思える。