酔いどれ堕天使の映画日記

劇場やテレビでみた映画の鑑賞記。原則ネタばれなし!

『第三次世界大戦』田原総一郎&佐藤優著―Books―

2009年02月05日 12時52分17秒 | Books
こちらが左巻です!


テレビの司会でおなじみ田原総一郎氏と
“外務省のラスプーチン”こと佐藤優氏
上下巻ならぬ左巻、右巻からなる両氏の対談です。

『第三次世界大戦』なるタイトルにひかれて全くの興味本位で読みました。

左巻は米中ロ中心に各国の政治状況と国際動向を詳らかにしたうえで
皇室問題など日本の思想的背景を俯瞰しながら日本の進むべき外交路線を提示しています。

右巻はずばり現在の貧困問題をとりあげています。
その原因としての“新自由主義”を解き明かす作業としてマルクスまで持ち出します。
おもに精神面から日本人が今後どう変わらねばならないかの処方箋をしめすという内容です。

外交はもっとも重要な関心事ですが
やはり今回は喫緊のテーマである右巻の貧困問題でしょう。

“ノーブレス・オブリージェ”
日本人にかけているエリートのモラルとして本書でも変革が求められています。

小生は“施し”や“ボランティア”という扶助の精神はもちろん素晴らしいのですが
それをより現実的なシステムとして有効に機能させる方法論も大切と考えます。

1月22日の当ブログでは、
共鳴する処方箋のひとつとして“社会的ビジネス”を取り上げていますので
ご参考までにお目汚しいただければ幸いです。

さて、ちょっと横道にそれます。

だいぶ以前から不思議に思っていたことなのですが
非正規労働者ばかりでなく正社員のリストラも増え、多くが格差や貧困にあえいでいる今
大企業や公務員の優遇された労働組合の代弁者である民主党よりも
企業から見放された人々の代弁者であるはずの社会主義政党こそ
もっと政治的発言力を強くしてしかるべきではないかという疑問です。

本書でもそれについて触れています。
「若い連中がもっと『共産党宣言』にいってもちっとも不思議はないのになぜ行かないんですかね?」
本来貧困層の受け皿となるべき政党の支持率が逆に減少している現状に対するこの田原氏の質問に
「社民党の先生って、みなさんはものすごくお金持ち・・・億単位のお金を持っている人が何人もいる」
「共産党だって平均的なサラリーマンより収入がいいし・・・誰もついていかないでしょう」
と佐藤氏は答えています。
さらに別頁では社会民主的な発言が目立つ森本卓郎氏について
「(森本氏は)むしろビジネスマンですから。だから『年収300万円時代を生き抜く経済学』を書いた人がなんで3億円もとっているんだという話になりかねない(笑)」
(佐藤氏)と揶揄しています。

昔、大学の講義で日本思想史の教授が
「社会主義を標榜するものほどその実、利己的な輩ばかりである」と強弁していたことを思い出しました。

ちなみに、小生は特定の思想、政党に与するものではありません。
悪しからず・・・。

とにかく、両氏の博識を競うような多岐にわたる討論にもかかわらず
「核武装に反対の人は、もっと原発を普及させろと叫んだほうがいい。」(佐藤氏)
など目からウロコのおはなしも少なくなく
一晩であっという間に読んでしまうほどなかなか面白く勉強になりました。


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