忍者雑記帳

ゴミは分別して捨てましょう。

「となり町戦争」/三崎亜記

2007-02-12 22:12:32 | 読書
王様のブランチを見て、つい買ってしまった本。

主人公の北原は、町の広報誌でとなり町と戦争が始まることを知る。
だが、告知された開戦日を過ぎても、大規模な戦闘があるわけでもなし、となり町
との境界が封鎖されるわけでも無し。実感が無いまま日々が過ぎる。
そんななか、再び届いた広報誌。その片隅には戦争による死者の数が記載されており
現実に戦争が始まっていることを知らされる。
そして、北原に届く役場からのお知らせ。辞令交付の案内。
北原も戦争に巻き込まれてゆく。。。

両町が合意の下、経済活動の一環として行っている戦争。戦闘や殺戮のシーンは
一切出てこない。でも、着実に増えていく死者数。
はっきりいって、いまいち戦争をする意味が良くわからない。それをしたといって
消費が拡大するわけでも無し、特需が発生するわけでもなし。
とはいえ、設定としては面白いし、結構緊迫したところも出てくるので、半日で
読み終わってしまった。結構面白かった。

ちょうど映画も始まったらしい。でも、主演が江口洋介っていうのがなぁ。
自分で描いた北原さんは、もっとおとなしい感じ。どうなんだろう。予告編を見る
限りでは、結末も違うような気がするし。
あと、ネット上に出ている見た人々の感想がいまいち芳しくないんだよなぁ。

見たいような、見たくないような。。。

「手紙」/東野圭吾

2006-11-24 01:02:19 | 読書
ちょうど今、映画をやっているらしい。
それとは関係なく、借りる借りる機会があって読んだ。

武島剛志は、一緒に暮らす弟が大学へ行く資金をひねり出すために思い余って
空き巣に入る。だが、実際は家人がいて、みつかってしまい、弾みで殺害。

弟の直貴は、服役する兄の存在のために多くのものを失い、辛い生活を強いられる。
職場、音楽、大切な人、みんな「強盗殺人犯」である兄の存在のために奪われて
いく。月に一度送られてくる兄からの手紙が、そんな直貴をさらに悩ませる。

自分の家族を守るため、直貴は兄と絶縁する決心をする。社会的には非難される
ことかもしれないけれど、彼が悩んだ末に出した結論。
辛い。いつも辛い東野作品の中においても、辛い。

映画は、どうなんだろう。山田孝之(直貴)はいいんだけど、沢尻えりか(
由美子)っていうのが、自分のイメージとは大きく違う。どうやら寺尾とは
お笑いコンビを組んでいるらしいし。
見て見たいような、見たくないような・・・。

「ダ・ヴィンチ・コード」/ダン・ブラウン

2006-05-24 23:26:18 | 読書
映画が公開されて話題を呼んでいる作品を読んでみた。
家に本があったので。

話は、ルーブル美術館の館長が異様な死体として発見され、それが
キリストの聖杯伝説にもつながっていく。
で、色々な謎を解明していく中で結局犯人もわかる。という話。
簡単に言ってしまえば。

映画に対しては賛否両論あるらしい。キリスト教のことは詳しく
知らないけれど、これまで通説とされてきたことを否定する
ような内容が多く、敬虔な信者たちが反発している、という
ような感じかな。
「神の子」としてのキリストの姿は、科学的にはおかしな話も
多いのかもしれないけど、そう信じることで心の平安を得ることが
できる人が大勢いるのであれば、キリストは人間にすぎない、
ということをことさら暴き立てる必要もないような気もする。

でも、ミステリとしては面白かったけどね。
翻訳の文庫本にありがちな、小さい文字、綺麗とはいえない活字、
古めかしい言い回し、そういったものがなく、読みやすかった。

ちゃんと最期まで読み終えた外国作品、久しぶりかもしれない。
マルティン・ベックシリーズの「テロリスト」以来かな。
オペラ座の怪人、Xの悲劇などは読み始めては挫折して、という
ことを何度も繰り返しているし。

映画も見てみたいけど、見ないうちにいつのまにか終わっている
ことになりそうだ。

「原罪の庭」/篠田真由美

2006-04-28 23:51:25 | 読書
建築探偵桜井京介シリーズの5冊目。
町田のブックオフで散々迷った挙句、清水の舞台から
飛び降りる覚悟で購入した本。

以前、この本よりも後に書かれた「センティメンタル・ブルー」
という本を読んだ際に”薬師寺家事件”という言葉が何度も
出てきた。でもそれがどんな事件かまったくわからず、
なんだか置いていかれたような気分になった。

この本はその”薬師寺家事件”について書かれている。
東京・白金の豪邸にあるガラス張りの温室の中で見つかった
猟奇的な死体と、生きた少年。事件から数年たっても、
事件のなぞは解けず少年は心を閉ざしたまま。
その謎を若き日の桜井京介が解き明かす。
といった話。この少年こそが、後に「蒼」として登場する
少年であるようだ。蒼の悲しい過去が明かされる。

やはりこの本を読んでから「センティ・・・」を読むべきで
あった。なんとも後悔。

「夢から醒めた夢」/赤川次郎

2006-04-20 21:51:55 | 読書
町田のブックオフの¥105コーナーで発見。
劇団四季の同名ミュージカルの原作。

ミュージカル自体は何度か見たことがあるが、本を読む
のは今回が初めて。

さて、主人公ピコタンは小学生らしい。彼女が遊園地の
昔お化け屋敷だった建物の中で女の子の幽霊に遭遇。
この世に未練のあるその女の子と、一日だけ立場を
交換する約束をする・・・。
といった話。
ミュージカルとはベースになるところは同じだが、
印象はだいぶ違う。

しかしこの本、全体のページ数が非常に少ない上、半分
近くが絵のページ。すぐに読み終えてしまった。
なんか物足りない。話の内容はともかく、この短さを
定価で買っていたら不満が残ったかもしれない。。。

「流星ワゴン」/重松 清

2006-02-14 00:35:39 | 読書
家庭は崩壊し、会社はリストラされたサラリーマンが
「死んじゃってもいいかな」と思っていると、目の前に
5年前に交通事故で死んだはずの親子の車が現れる。

その車に乗りこみ、自分にとって大切だったポイントに
連れて行かれる。途中で、若かりしころの自分の父親も
道中に加わる。現実の世界では、父親はがんに侵され
危篤状態。

主人公永田一雄と、若き日の父親「チュウさん」。
一雄と、息子の広樹。
死んだはずの、橋本さん親子。

3組の親子の話を中心に話は進む。現実の酷い世界を
変えようと主人公は色々と試みるが、結果は変わらない。
だが、そんな中で自分と息子、自分と父親とのあいだに
あったわだかまりを理解し始める。

橋本さん親子との数日間のドライブの末、現実の世界に
戻った主人公を待っているのは、以前と同じ崩壊した
家庭。だが、彼はドライブの中で得たものをたよりに、
一歩進む。

なかなか面白く、一日で読了。
自分が父親になった後でこの本を読んだら、もっと
違う感想を抱いたかもしれない。
巻末の解説にある、”「『流星ワゴン』は涙なしには
読めないよ」と洟をすする世のパパたちの気持ち”も
感じられたかもしれない。

何年後か、何十年後か。
自分に子供ができて、その子供との関係に悩んだときに
もう一度読んだら、もっと感動できるかもしれない。

それまで、大事に取って置こう。

「ネコソギラジカル(下)-蒼色サヴァンと戯言使い-」/西尾維新

2005-11-21 22:02:59 | 読書
戯言シリーズもついに最後。

もはやわけが分かりません・・・。
ついていけません・・・。
登場人物多すぎです・・・。
感想なんて、ありません・・・。

もう一度最初から読み直せば、ちっとは分かるのだろうか。
「戯言シリーズ完全用語集」が発売されるらしい。
買おうかな?

完全に乗せられている気がしないでもないが。。。

「墓地を見おろす家」/小池真理子

2005-11-13 20:55:09 | 読書
普段あまり読まない、ホラー小説。
勧められて読んでみた。

都心に程近いマンションを購入した一家の話。
墓地に隣接しているために格安で手に入れる。静かな環境で喜んでいた
一家であったが、引越した翌朝に文鳥が変死。
地下にある倉庫は不気味な雰囲気が漂っており、不可解な事故も発生。

住人たちは次々とマンションを去っていき、果ては管理人夫婦までもが
逃げ出して行く。

最後に残ることとなった一家も、一刻も早く退去すべく、次の家を探す。
見つけた家は引越し直前に消失。次に見つけた家は、これまた引越し直前に
前の住人が変死。不可解な力に絡め取られて抜け出せない。

次の家は問題なく、ついに引越し当日を迎える。
ところが、マンションを出ようにもドアも窓も開かず、手伝いに来た
弟一家とともに閉じ込められる。

最後、この一家はどうなったのかは示されない。だが、多分地下に巣くう
何ものかに取り殺されることになるのであろう。

怖い話だが、面白く一気に読み終えてしまった。

マンションを買うことになったら、安すぎるものには手を出さないように
しよう、そう思った・・・。

「ZOKU」/森 博嗣

2005-11-07 21:53:30 | 読書
森さんの本を読むのは久しぶり。
最近の講談社ノベルズのシリーズはどうもよくわからず、最近遠ざかっていた。

図書館で見つけたこの本はシリーズモノではないようなので、借りてみる。

題名のZOKUとは、「Zionist Organization of Karma Underground」の略。
Zionist、Karmaを辞書で調べてみたものの、いまいちピンと来る訳を組み立てられない。
Organizationとあるので、組織の名称であること。Undergroundとあるので、それは
表立った組織ではない、と。とりあえずそれだけ分かればいいであろう。

で、この「ZOKU」は悪戯の秘密組織。世間に対し、さまざまな悪戯を仕掛けて
困らせる団体。それに対し、そのZOKUの活動から社会を守るべく活動している組織が
「TAI」。「Technological Abstinence Institute」の略。
こちらは科学技術禁欲研究所、と訳が出てくる。

話は、このZOKUとTAIの攻防を描くわけだが、ZOKUの仕掛ける悪戯がなかなか面白い。
人様の家の庭に勝手にスピーカを埋め込み、暴走族の音を流してあたかも家が暴走族に
囲まれたかのように思わせる。
微弱な振動を発する装置をこっそり仕掛ける。映画や舞台で、どこからともなく
笑い声が聞こえてくる。それも、笑うところじゃないときに。
自分がやられたら迷惑以外の何モノでもないが。。。
ZOKUのメンバも憎めないキャラクタで、面白かった。

最後はどんな決着になるのか、期待して読み進めていく。
が、なんだかこう、釈然としない終わり方。
はっきり言って、がっかりだよ・・・。

「白夜行」/東野圭吾

2005-11-03 15:37:50 | 読書
東野圭吾のベスト3を挙げてある中には大抵入っている作品。
前から気になっていたが、このたびついに読むことに。

一人の少年、一人の少女、そして、その周囲で不幸に巻き込まれていく
多くの人間たち。さらに、二人を19年にわたり追い続ける、刑事。
一見別々の事件が、深く探っていくと桐原亮司と唐沢雪穂という男女での
つながりが見え隠れしてくる。

結構な読み応えがある本で、読了までにもそれなりに時間がかかった。
だが、常に次の展開が気になり、途中で飽きることなく読めた。

ただ、今まで読んだ東野圭吾の本とは、少し感じが違う気がする。
これまでに読んだ本では、「犯人」とされる人物にもつらく悲しい背景があり
同情すらも覚えるようなものが多かった。だが、この本の亮司と雪穂は、
悲しい過去があるとはいえ、それ以上に悪い。同情はあまり感じられない。
ただただ、得体の知れない悪者。
そして、最後まで一連の事件への両者の関与は明言されずに終わる。
関係者それぞれが考える「状況証拠」しかない。
いまいちこう、釈然としない終わり方。とはいえ、最後に二人がすべてを
自白でもしたら、もっと興ざめかもしれない。これはこれでいいのかも。

読み終わったところで、当面の問題はただひとつ。
読むのに時間がかかり、図書館の返却期限を超過してしまったこと。
こっそり返しておこう。。。