はれっとの旅路具

(はれっとのたびろぐ)田舎暮らしと旅日記
金沢・能登発 きまぐれ便

包んで結んで・始めに

2006-05-28 22:52:16 | 田舎暮らし雑記
会場案内「レジ袋を使わず日本文化の伝統的な風呂敷を使って、環境に優しい生活スタイルを」ということで、本日能登で講座がありました。エコなライフスタイルの講座というと、ちょっと意識啓発的でお堅い印象ですが、この講座は「楽しく素敵になれる」という案内文そのもののように、笑いと感心の波が何度も沸き起こる講座でした。(写真はクリックすると大きくなります)

会場の様子京都で活動しておられるふろしき研究会森田知都子(もりた ちずこ)先生をお招きして、本当に簡単にできる買い物袋や、ものの包み方、おしゃれなギフトラッピングを教えてもらいました。定員30のところ、申し込みが殺到し、70人ほどが来られていました。殆どが女性で、男性は私と主催関係者2名、協賛された呉服店から1名、地元CATV局カメラマンといったところで完全な女性の園。最初は少々怖気気味でしたが、先生の楽しいトークに乗せられていつの間にか、いつものペースに…(^^;ヾ
「習うのではなく、自ら進んで広める活動をして欲しい」とのことでしたので、早速ブログにしてみます。

●先生ご持参の作品
ふろしきでティッシュカバーティッシュペーパーの箱もそのままでは味気ありませんが、ちょっと工夫するとお部屋の素敵なアクセントになります。
風呂敷文化が忘れられてしまった今、新しい生活文化として提案をして行きたいとおっしゃる先生らしい作品たちです。

ワインギフトラッピング写真中央は、ワインを贈り物にするときラッピングとして風呂敷も差し上げてしまう発想のものです。その右手の輪は、素敵なリースに大変身。この他にも、2枚の風呂敷でリュックができるなど、いざと言う時の防災にも役立つ内容だったあたり、阪神大震災を経験した関西ならではという気もしました。

プラスチックの籠も素敵にプラスチックの安物の籠もこうして風呂敷に包めば、立派な入れ物になります。右手は先ほどのワインラッピングを横から。
風呂敷は何度も使うもので、かつてはボロボロになったら最後には雑巾として使ったとか…
「風呂敷には捨てるという動詞が無い」とおっしゃられたことが印象的でした。
西洋の鞄はカラでも場所をとります。風呂敷は包むものが無ければ只の布ですから、畳んでしまえます。ここが日本文化の特長のような気がします。布団も畳めば寝室が居間に変わります。西洋のように部屋に機能を固定的に与えてしまう(寝室・居間等)なら、機能の数だけ部屋が必要(=高額)ですが、日本間のように必要に応じて部屋の機能を応用するという考え方なら、自在です。日本家屋と西洋のそれとでは、使い方の違いによって必要となる広さに自ずから違いがあり、数字で一律に鶏小屋と評される所以は無いはずです。にも関わらず、日本家屋=鳥小屋論のような評論は経済膨張効果はあるとしても非文化的な気もしてきます。

その他、丸い物の包み方などは時間の関係で教えていただけませんでしたが、先生には5冊ほどの著書がおありで(上行の先生のお名前からリンクしてあります)、会場でも販売されていたふろしきの贈り物「ふろしきの贈り物」淡交社刊を求めましたので、我が家でも活かして行きたいと思います。


●まず基本
風呂敷は一枚の布ですが、結ぶことによって様々な形のものを包むことができるようになります。このため、結ぶということがすべての基本になるとの事でした。

一つ結び完成◎結び:一つ結び
一つ結びとは、風呂敷の一つの角だけで結び目を作ることです。
紐ではあまり意味が無さそうなこの結び方、広がりのあるふろしきだからこそ、意外に役立つ結び方でもあるようです。
写真は完成形です。
一つ結び1最初に風呂敷の一角を写真のように指に絡ませます。指を使うのは結びのガイドのためであって、原理的には使わなくてもできます。このとき、布の表裏を意識して握ると後で美しく仕上がります。

一つ結び2角の先を指の付け根から先に向かってくぐらせていくと一つ結びができます。





固結び完成◎結び:固結び(かたむすび・かなむすび)
地域によって言い方が異なるようです。先生は結び方の手順もバラバラだとおっしゃっていました。角や先端を単純に二回絡めるだけの結びですが、これが実は現代日本人は意外にできないそうです。写真は、固結びの完成形です。
固結び1まず、最初。一回だけ絡めた状態です。
ここまでは、誰でも殆ど同じのはずです。




固結び2立て結びになる次にどう絡めるかで、正誤がつきます。写真のような廻し方は、間違いである「立て結び」になるやり方です。



固結び3立て結びこのとおり、立て結びになってしまいました。
3つ上の正しい固結びの完成形と見比べてください。先端が元の布の位置関係とクロスしたような状態に上下になっています。このことから立て結びと名前がついたのでしょう。

固結び2正しい結びになる2つ上の写真と見比べてください。こちらが正しい固結びになるやり方です。正誤は2回目の結び方に際して、右回りにするか左回りにするかの違いのようなものです。
ところが、僅かこれだけの違いが結果的には大きな差を生むことが、この後すぐに判りました。


●何故、立て結びではいけないか
写真には記録できなかったのですが、立て結びをした二つの風呂敷と、正しい固結びをした二つの風呂敷を、綱引きのようにそれぞれ引っ張ると…あら不思議。
立て結びをした方は、引っ張ることでズルズルと解けてしまい、最後にはバラバラに。
正しい結び方の方は、結び目が締まるばかりで解けません。
このことからも「立て結びは解ける危険がある」ことが判ります。
現代日本では30歳代以下では殆どの人が立て結びしかできないとか。先生が小学校で指導をすると何と約98%の子供が立て結びをするそうです。
かく言う私も40代ですが、生まれて始めて本日、立て結びと正しい固結びの違い、ならびに結び方の原理が判った次第。(お恥ずかしい…)
ご高齢の方々。是非、若い世代に日本人の知恵を教えてください。たった数十年の差で、日本が文化的には違う国になっている原因は、どうやら社会のせいだけではなさそうですから。

●たった1枚の布が広げる世界
さて、この後に僅かこの二つの結び方だけで実に多彩な包み方・バッグにしてみせたり、贈り物としてのラッピングにしたり、実演・体験させていただきました。
これらは、続報とさせてください。

いずれにせよ、お金を払えば手軽に何でも手に入る現代。
頭を使って工夫をして、たった一枚の布を何役にでも変幻自在に使っていた時代。
現代が過去に勝っているのだと「単純・脳天気」に言えるものではないと感じた次第です。
頭は使わないと急速に衰えるそうです。「脳元気」のためにも、包んで結ぶふろしきの達人になることは、合理的な気がします。
講座の最後には参加者全員の風呂敷をつないで大きな輪を作り、先生はこう言われていました。
「風呂敷は、モノだけを包み結ぶものではありません。人と人とを包み結ぶものでもあります。そのためにも素晴らしい風呂敷の使い方を会得して広めてください」と。


●包んで結んで能登編:目次
 ◎始めに・基本(この記事)
 ◎基本:買い物袋~レジ袋に代えて~
 ◎基本:ティッシュカバーとウエストポーチ~簡単に、暮らしに彩を~
 ◎応用:瓶を包む~リサイクルの優等生と共に~
 ◎応用:ワインのギフトラッピング~素敵な風呂敷も添えて~
 ◎応用:風呂敷でリュック~いざという時のために~

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
学びたい (ての)
2006-05-29 21:29:24
おっしゃる通り、風呂敷って日本の古きよき知恵ですよね。たった一枚の布がさまざまな形、用途に変身していく。美しく、かつ機能的。私も学びたいと常々思っていました。はれっとさんは一回で大体OKという感じですか?

ときに昨日は誕生日でいらしたとか。一日遅れですが、おめでとうございます! やはり「人生の先輩」でいらっしゃるようですよ(笑)。
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ありゃりゃ (はれっと)
2006-05-29 21:34:47
こんばんは。てのさん



ばれましたか。ばれますよね~。

白状しているんですから。(^^;ヾ



ありがとうございます。m(_._)m



続きをアップしようと思っているのですが、まだ勤め先で仕事中…

今夜はNGかなぁ~



先生の指導法が実にわかりやすくて、一度で大体マスターできました。

後は、忘れないことですが、そのためには、使わないと…



風呂敷身近にあったっけ…
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風呂敷 (とらいでんと)
2006-05-29 23:42:34
はれっとさん、こんばんは。

成る程~確かに西洋には無い発想ですね。風呂敷もお布団も、使いたい時に広げて、使わない時は畳んでしまっておけば場所もとらないですむ。私たちのご先祖は素敵な発想を持っていたんですね。



ところではれっとさん、お誕生日だったんですね、おめでとうございます!
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ようこそ、とらいでんとさん (はれっと)
2006-05-30 00:19:02
こんばんは



一枚の布が結ぶことだけで、こんなにも色々な使い方ができるなんて、驚きでした。

瓶の包み方を以前から習いたいと思っていたのが参加した動機ですが、それ以上に豊かな研修でしたよ~♪



何でも簡単に手に入る時代なので、逆に工夫をする知恵が乏しくなっているような気がしてきました。柔軟な頭でいたいものですね。V(^^)v



ありがとうございます。

鏡さえ見なければ、若いつもりなのですが、早いものですわ~(^^;ヾ
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