赤きポストに都会の埃風吹けり
加茂河のかじかしらずや都人(みやこびと)
枸杞(くこ)垣の似たるに迷ふ都人
都人に足らぬふとんや峯の寺
嵯峨寒しいざ先(まづ)下(くだ)れ都鳥
遅き日や都の春を出てもどる
紅梅や古き都の土の色
水仙や寒き都のこゝかしこ
舟遊び都の人を上坐かな
ほとゝぎす待つや都のそらだのめ
行年や都の隅に小町寺
鉢たゝきこれらや夜の都なる
雛祭る都はづれや桃の月
雨の日や都に遠きもゝのやど
石高(いしだか)な都よ花のもどり足
すゞしさや都を竪(たつ)にながれ川