現在、social概念に関するある論文の執筆にかかっているのだが、間際になって新しい文献を手に入れることに。
![](http://ws.assoc-amazon.fr/widgets/q?_encoding=UTF8&ASIN=2713218187&Format=_SL110_&ID=AsinImage&MarketPlace=FR&ServiceVersion=20070822&WS=1&tag=adiaryofsocio-21)
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L'invention de la société : Nominalisme politique et sience sociale au XVIIIe siècle![](http://www.assoc-amazon.fr/e/ir?t=adiaryofsocio-21&l=as2&o=8&a=2713218187)
amazon.frで調べると、版元ではすでに品切れ。マーケットプレイスでは、仏国外への配送はしておらず、調べた限りでは日本の大学図書館にもおいてない様子。で、調べてみたらfinacでは、入手可能との表示でそちらから購入。
で、二日ほど前に本が届いた。この本は論文集で、18世紀(どちらかというと後半)の社会科学についての論稿が多いのだが、どちらかというと政治学よりのものが多い。「わざわざ購入するほどのこともなかったか」と半ばあきらめつつページをめくっていると、ある記述が目に入る。
というのも、シエイエスが「sociologie」という概念を使っている、というのである。
少々記述が込み入っていて、仏革命にも影響を与えた『第三身分とは何か』と彼が遺した遺稿を関連づけつつ、彼がsociologieという言葉を、socialisme社会主義や社会秩序ordre social等の言葉と並べながら用いているという。私の語学力では、『第三身分とは何か』で直接使われているのか、あるいは遺稿で使われているのか明快には理解できなかった。
そこでネットで公開されている論文を調べてみると、まさにこれを主題として扱った論文があることを発見。シエイエスの原稿をphilologique(文献学的)に追究する論稿である。
Sieyès et le Non-dit de la sociologie (PDF)
著者によると、シエイエスはその原稿で、コントよりも50年以上前にsociologieという語を用いている。ただし、それについて具体的に展開していると言うよりは、様々な新造語の中の一つとして、この語が現れるというのだが。(ただしこの論稿では、彼がこの語によって何を検討しようとしていたのかを綿密に追っている)
この論稿は2006年に発表されており、私が手に入れたL'invention de la sociétéは、2004年に公刊されているので、後者の方が「元ネタ」に位置づけられるのかもしれない。ただしそれに先行する研究もあるが。
ただし、シエイエスがsociologieという語を発明したということは、すでに既知のことで、仏のウィキペディアでもすでにその言及があった(仏語版ウィキペディア:シエイエスの項目(シエイエスと社会学))。
無論、シエイエスがsocilogieという語を用いているのは未発表原稿であり、コントが自分でこの語を考え出したのは、おそらくは事実ではないかと思われる。
ただし、socialなものを分析することが重要であることが、18世紀においてすでに意識されていたことを示す重要な証拠と、これは言えるだろう。
なお、シエイエスの遺稿は、フランス国立中央文書館に収められているらしい。
追記
この時期、学年末の試験のためにネットでコントのことを調べようとして、このblogに辿り着いた人もいるかもしれないが、「社会学という語はコントが初めに使ったのではない」ということは言わない方が無難だろうと思う。
L'invention de la société : Nominalisme politique et sience sociale au XVIIIe siècle
amazon.frで調べると、版元ではすでに品切れ。マーケットプレイスでは、仏国外への配送はしておらず、調べた限りでは日本の大学図書館にもおいてない様子。で、調べてみたらfinacでは、入手可能との表示でそちらから購入。
で、二日ほど前に本が届いた。この本は論文集で、18世紀(どちらかというと後半)の社会科学についての論稿が多いのだが、どちらかというと政治学よりのものが多い。「わざわざ購入するほどのこともなかったか」と半ばあきらめつつページをめくっていると、ある記述が目に入る。
というのも、シエイエスが「sociologie」という概念を使っている、というのである。
少々記述が込み入っていて、仏革命にも影響を与えた『第三身分とは何か』と彼が遺した遺稿を関連づけつつ、彼がsociologieという言葉を、socialisme社会主義や社会秩序ordre social等の言葉と並べながら用いているという。私の語学力では、『第三身分とは何か』で直接使われているのか、あるいは遺稿で使われているのか明快には理解できなかった。
![]() | 第三身分とは何か (岩波文庫) |
クリエーター情報なし | |
岩波書店 |
そこでネットで公開されている論文を調べてみると、まさにこれを主題として扱った論文があることを発見。シエイエスの原稿をphilologique(文献学的)に追究する論稿である。
Sieyès et le Non-dit de la sociologie (PDF)
著者によると、シエイエスはその原稿で、コントよりも50年以上前にsociologieという語を用いている。ただし、それについて具体的に展開していると言うよりは、様々な新造語の中の一つとして、この語が現れるというのだが。(ただしこの論稿では、彼がこの語によって何を検討しようとしていたのかを綿密に追っている)
この論稿は2006年に発表されており、私が手に入れたL'invention de la sociétéは、2004年に公刊されているので、後者の方が「元ネタ」に位置づけられるのかもしれない。ただしそれに先行する研究もあるが。
ただし、シエイエスがsociologieという語を発明したということは、すでに既知のことで、仏のウィキペディアでもすでにその言及があった(仏語版ウィキペディア:シエイエスの項目(シエイエスと社会学))。
無論、シエイエスがsocilogieという語を用いているのは未発表原稿であり、コントが自分でこの語を考え出したのは、おそらくは事実ではないかと思われる。
ただし、socialなものを分析することが重要であることが、18世紀においてすでに意識されていたことを示す重要な証拠と、これは言えるだろう。
なお、シエイエスの遺稿は、フランス国立中央文書館に収められているらしい。
追記
この時期、学年末の試験のためにネットでコントのことを調べようとして、このblogに辿り着いた人もいるかもしれないが、「社会学という語はコントが初めに使ったのではない」ということは言わない方が無難だろうと思う。