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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

「ゆがんだ西欧化」? というほどの話でもないが

2011年01月12日 | 社会問題
仰々しいタイトルをつけてしまったが、いつものように、たいした話ではない(笑)。

季節外れだがクリスマスをめぐるある話について。

昨年末のクリスマスは、私は、例年のごとく何にもしなかった(笑)。いや、親しい仏人の友人がいて、彼女のために何かしようかと考えていたが、彼女は今年は仏に一時帰国するとのことで、クリスマスは実家で過ごすことに。そもそも、以前にも話をしたが、私の家にはクリスマスに家族が集まって何かするという習慣はない。正月ならともかく。

で、そういった話をしたときに、仏でのクリスマスの過ごし方の話になった。私は、たいていの家では、家族で集まってパーティーなんかをする機会ととらえていた。が、彼女いわく、私の家族はクリスマスだからといって特別なことをしない、との話である。

で、話を聞いてみると、確かに家族で集まって食事はするが、それぐらいでミサなどにはいかないし、宗教的なことは一切しないとのことである。で、共通の知り合いの仏人の名をあげて、「彼女(共通の知り合い)はカトリック教徒だからミサには行くけれど、私は特別なことをしない」とのこと。
つまり、彼女にとってはそうした行事が「クリスマス」なのである。で、クリスマスを機に家族で集まるなどの「催し」は、クリスマスを祝うこととは別物なのだ。

そこで私は、大学院生時代に付き合っていた人のことを思い出した。クリスマスに家で料理を作っていた私に(私は料理が得意なのだが)、不満そうに、「仏料理のレストランなどで祝いたい」と、私のかつての交際相手は言ったのだった。その時は、別に取り立てて思うことはなかったが。
ただ、今から考えると、「高級レストランでフレンチ」なんて、すごく滑稽なクリスマス観である。まあ、バブル時代の後遺症を抱えていた世代なので、それも仕方ないと思うが。そういう人が社会学者なんて言われていることを考えると、ものすごく歪んだ西欧化を私たちはたどっていると言えなくもない。そう思ったりもする。

まあ、クリスマスにも様々な成り立ちがあり、純粋にキリスト教的かというと、そうでもない。たとえばサンタクロースは異端であるし。そうした意味では「純粋な西欧」というのも神話にすぎないとも言えそうだが。

で、仏人の友人との話の続きだが、仏のイスラム教徒たちはクリスマスに何をするのか? という話題に。彼女いわく、イスラム教徒の友人はいるけれども、何をするかわからない、質問したことがない。との答えだった。移民系の出自を持つ私のイスラム教徒の友人たちは、本当に何もしていなかった。ちなみに、その友人たちは相対的に敬虔なイスラム教徒だった。

当時の私は、無知だったので、その種の質問を続けるだけの知識はなかったが。今であれば犠牲祭について、どうなっているのかなど聞いてみたい気もする。ただ、その辺はデリケートな問題も関わってくるので、なかなかしづらい質問でもあるが。

犠牲祭については、少しおもしろい話があるのだが、それについては別の機会にでも。

ちなみにサンタクロースとキリスト教については、レヴィストロースによるおもしろい論稿がある。

サンタクロースの秘密 (serica books)
クロード レヴィ=ストロース,中沢 新一
せりか書房


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