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社会理論・現代思想を主に研究する今野晃のblog。業績については、右下にあるカテゴリーの「論文・業績」から

ギリシア問題のもう一つの側面

2015年06月27日 | 社会問題
ギリシアでデフォルト危機といことが、問題になっている。

ただ、日本の報道や情報では、デフォルト危機のみが問題視され、それ以外の部分で言われていないことがあるので、ここで一言。

「欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)のトップは、25日朝までに信頼ある改革案を提出するようチプラス首相に最後通告をつきつけていたが、ギリシャは妥協を拒んだ。」とあるけれども、問題はこの「信頼ある改革案」の中身。

というのは、追加融資の条件として、このトロイカ(欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF))は、財政均衡の促進を要求するのだが、その中身が、社会保障費の削減と、「経済刺激策」としての金融資産の流動化だったりする。要は、金持ちには有利で、一般市民には不利な政策を、厚顔無恥にも、このトロイカは要求する。

まあ、そうすれば金融関連の諸市場は、納得するという背景もあるのだが、それは、このトロイカの背後にいる金融市場から利益を得ている者たちが、納得しなければならない、ということでもある。また、このトロイカは、彼らのためにその諸政策を推進しているということでもある。

理論上は、社会保障費には手をつけず、他方で法人税などによって財政を均衡化し、内需の拡大によって経済を立て直すという手段も可能なはずだが(そして、いくつかの成功事例もあるのだが)、このトロイカがそれを許さないのである(そうでないと、追加融資を行わないのである)。

以上のことは、欧州では、ある意味常識である。

まあ、ギリシア危機については、「そもそもが……」という問題もあるので、それほど簡単ではない側面もあるのだが。


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