地元にも猟が好きで狩猟期間になると仲間と出かけていたおじいさんがいる。
そんなおじいさんから聞いた話。
去年のある日、山でクマの親子に出くわした。
子連れで気が立っていたのか、おじいさんの方へ突進してくる親グマ。
当然、おじいさんは身の危険を感じて親グマを撃つ。
親グマは倒れる瞬間に後ろに向きかえって子グマを抱きかかえるようにして倒れ、崖下に落ちていった。
おじいさんと仲間が崖下へ行くと、子グマの姿はなく、親グマは息絶えていたという。
撃つことそのものには慣れていても、こういう場面に出くわすと気持ちがぜんぜん違うのだろう。
おじいさんはこのこと以来、猟をする気をなくしてしまったようだ。
そして、この冬で猟をやめると話していた。
動物の親が子を守る話って、ときどき耳にするけれど。
経験した人の話ってよけいに心に迫る。
その子グマは、今、同じ山にいるのだろうか。
人間をどう思っているのだろう。