お寺さんぽ Ver.03

現在は更新をお休みしています。

重文 ケロちゃん観世音菩薩坐像 (全国・薬局店頭)

2006年05月27日 | 仏像
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は全国の薬局店頭にて圧倒的に数が多い(ような気がする)、薬局のアイドル「ケロちゃん観世音菩薩坐像」です。


以前サトウ製薬の「サトちゃん」、エスエス製薬「ピョンちゃん」などを紹介してきました、この珍妙なブログネタ。
いくつか写真を持っているのでお遊びで掲載してみたんですが…なんでだか好評なんでまたやります。
(gooのデータ見ると、通常の仏像やった時よりも来客が多くなるんですね(本当)
…皆仏像見たくないんでしょうか?)


ケロちゃん観世音菩薩坐像(梵名:ケロチャンキャベジンコルゲンコーワ)は興和株式会社の医療・ヘルスケア部門での医療事業広告神にして蛙絵図の変化体。

医薬広告神しての登場は他のそれらよりも古く、昭和二十四年(1949)のこと。
創業は繊維問屋であった服部兼三郎商店。
ここが医薬品部門へ進出したのが六十年後の昭和二十二年(1947)であるから、その二年後にはもう広告神として活躍していた。

初出は新聞紙の絵図による。

「どうだ、調子は」
「ケロリ、ケロリ」

と、書かれていることから、蛙=鳴き声=ケロリ=完治、という発想から蛙と融合し、当初は新聞紙を中心に世に広められた。

この時は時代を反映しているのか、旧ミッキーのような漫画調で、手足がひょろりとした”のらくろ”のような風情である。しかし、絵師は複数存在するらしく、以後の昭和三十八年(1963)の店頭に観音像として登場するまでの間に、様々に姿を変化させている。

サトウ製薬、エスエス製薬などの広告神が正式名称(公募したりしていた)を持つのに対し、このケロちゃん観音には名前が無く、現在の興和HPでも「カエル」とぞんざいな呼び方をされているという、不幸な広告神でもある。

余談であるが、ひでるさんはその名前を「ケロリン」と認知していたが、これは内外薬品が発売している解熱鎮痛剤の名前であって別物らしい。
また、次に想像されやすい「ケロヨン」という名称は日本テレビのカエル着ぐるみの名前であった。要するに、このどちらもが誤りである。
今回執筆にあたって参照したネット辞書「ウィキペディア」では結論として「ケロちゃん」としており、カエルではどうにも寂しいので、当ブログでもその名を拝借した経緯である。
(参考:Wikipedia 興和製薬ページ)

ただ、この「ケロちゃん」という名称は前述したように、企業HPではどこにも書かれていなかったことを付け加えておく。
カエルという記述のみ確認した。(平成十八年五月二十一日現在)

昭和三十八年(1963)十月
店頭に観音像としてケロちゃん観音、正式名称「ケロちゃん観世音菩薩坐像」が設置。
これは前回紹介した「ピョンちゃん天立像」と同時期である。
当時の流行なのだろうか?
ともかく、各所での蛙信仰(金蛙や無事蛙など各地には多数存在)とも重なり、他の広告神よりもごく身近な生き物で、かつとぼけた風貌が庶民の信仰を大いに集めることとなる。

初代はややひょろ長で、中年男性のようなもっそりとした不気味な雰囲気であった(笑)が、二代目よりかなりSD化され、愛らしく洗練された姿となった。
坐像となったのもこれから。
この二代目にて像の基本形が確立したようである。登場は昭和五十三年(1978)の様子。

この時に、変化体である女性体も誕生している。
見分け方としては可愛らしい服装とまつげのみという安易な形。

調査が完全ではないが、添付写真の「ケロちゃん観世音菩薩坐像」は二代目である。
これが、映像広告などで活躍している、ちまちま動くケロちゃん観音となると、基本的には同じであるが飛び出た目がやや小さいものとなる。
(三代目か?)

像は一面二臂で色は緑。医薬広告神としては珍しく坐像であり、四面広告に騎乗する姿が一般的である。ちなみに、座り方は中国の影響が強かった天平時代の仏像によく見られる、倚坐(いざ※)であるように見える。

おしまい。
ちなみに、サトちゃんは修行中っぽいので菩薩、ピョンちゃんは珍しげなので天。今回のケロちゃんはあちこちよく見かけるので観音としてみました。
たはー。
はっきり言ってこのネタは色々調べないといけないので、通常の歴史・寺院ネタよりも神経使います。いま、ものすごい疲労感ですよー。

なお、上記の文面は一部冗談が含まれておりますが、だいたい本当です。



(※)倚坐(いざ)
 間違えないように。ちゃんとした解説。
 中国の影響が強かった白鳳・天平時代の仏像によく見られる座り方。
 椅子に腰掛け、両足をそのまま下ろした感じのもの。役行者像などによく見られる。

参考:
 興和グループ: 医薬品・ヘルスケア品 公式HP
 
※興和さま、無許可でリンクさせて頂きました。
 問題ある場合は即撤去しますんで御連絡下さい。
 いいですよね、キューピーコーワとか。(←フォロー)

[住所] 全国薬局店頭

[関連記事]
 ⇒ サトちゃん菩薩立像 (全国・薬局店頭)
 ⇒ 重文ピョンちゃん天立像 (全国・薬局店頭)
 

 ★ランキング参加しております。応援お願いします★
⇒ 人気blogランキングへ
⇒ ブログランキング (マイプロフ


※人形つながりでこんなん↓みつけました。
 超合金ってーのはマジンガーZの設定そのままなんですね。
 ロケットパンチもそれがためにお約束となるんですが…よくなくなるんだわ。

超合金・ポピニカ大図鑑

グリーンアロー出版社

このアイテムの詳細を見る
親日アジア街道を行く―日本近代史の真実

扶桑社

このアイテムの詳細を見る

↑こちらもオススメ。

最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (makoto-jin-rei)
2006-05-27 22:56:53
この菩薩においては、その臍の有無が最大の争点になったことがありました。
返信する
へそ? (ひでる)
2006-05-28 14:23:57
HPの初代写真にはありそうでないように見えました。蛙ってのはへそあるんでしょうか?

返信する
Unknown (makoto-jin-rei)
2006-05-28 18:50:08
いえいえ(笑)すみません。当然蛙ですからへそはないんですが、大昔、子役の穂積ペペが ケロちゃんにむかって「おめぇヘソねぇじゃねえか。」という言葉遣いの台詞に抗議が殺到したCMがあったんですよ。

返信する
うわーしらないー (ひでる)
2006-05-29 01:29:28
そうだったんですか?!

しかしその程度でわざわざ抗議せんでも…。

ねぇ。

返信する