お寺さんぽ Ver.03

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人生を変えた一言 (歴史さんぽ)

2006年06月21日 | 歴史
のんびり気軽にさんぽがてら。
本日は「言葉には気をつけようね!」を歴史から学ぶべく、有名なエピソードを用意してみました。
有名なエピソードなんで知っている人も多いかとは思いますが、そんな人はさっと流していただいて。
知らなかった人は「ほへー」という具合に歴史の事実をお確かめ下さいませ。


「御運が開かれる時がきました、上手になさいませ」


…当ブログでも何度か触れました本能寺の変。

→関連・その1 歴史を動かした手紙
→関連・その2 本能寺跡地

信長を討った明智光秀が周辺の大名を味方に取り込むべく出した密使の一人。
それは中国地方の雄、毛利氏への手紙でした。
しかし、夜陰に迷った密使は陣を誤まり、羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)の陣へ届けてしまうのです。

真っ先にこの報告を聞いたのは、当時秀吉の軍師(※)・参謀的な存在であった「黒田官兵衛孝高」でした。
悲報に接した官兵衛は事の真相を確認すると伝令を斬り捨て、秀吉のもとに訪れて子細の報告をしました。


圧倒的な迫力で常に上位にいた主君「織田信長」
若いころより身近に接してきた秀吉にとってはショッキングな事件でしたが、同時に解放感があった筈です。
なにしろ、信長は年をとってから前にも増して仕えづらい主君となっており、家臣は常に戦々恐々としておりました。
当然、それは付き合いの長い秀吉にしても同じことで、勘気をこうむった際には果たしてどんな運命が待ち受けているかわかりません。なにしろ、積み上げた過去の実績も忠誠心もまるで関係なく放逐されてしまうのですから…。また、逆に反抗でもしようものなら、当人は無論のこと、一族全てに陰惨な末路が待っています。
それを何度も目の当たりにしているのです。

そのため、あるいは悲しみよりも安堵感の方が強かったかもしれません。


さて、信長横死の報告を受けた秀吉はしばし呆然としていたそうです。
そこにすすす、と進み出た孝高がにっこり笑って一言。
御運が開かれる時がきました、上手になさいませ
冒頭の台詞です。
これを言ってしまうんです。


黒田家の祖、黒田孝高は若いころより才気煥発で、本人もそれを大いに自負していたようです。あまりに頭の回転が早すぎるから、自信を持っているから、ふとしたタイミングでこうした失敗をしているんですね。

あの場面は実際の心情がどうであれ、主君の死を悼むべき状況です。
敵討ちをした者が後に権力を握る。それは当然なことなんですが、人から指摘されるべきことではありません。

ちょっとした安堵と、今後の不安。ふと芽生えた野心。

それを不意に、自らの考えがまだそこへ行き着く前に言われてしまうのは、まるで心を覗かれてしまったような恐怖を覚える筈です。


秀吉は孝高の指摘に落ち着きを取り戻し、笑みを返したそうですが、同時に彼に対して警戒心を持つようになります。
天下統一の後に孝高へ与えられた恩賞はごくわずかなものでした。

毛利元就の三男で知恵者と評判が高い「小早川隆景」は彼にこんなことを言っています。
「あなたは頭の回転が早すぎるから、余計なことを言ってしまったり、失敗したりするのだ」

ひでるさんもふと余計なこと言っては後悔するんですが、皆様も気をつけましょう。
…あ、歴史に学ぶべきは私ですね。



(※)軍師[ぐんし]
 政治や軍事などに通じた専門家であり、相談役。

 ちなみに今回の写真は豊臣秀吉の木像です。


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※「剛」の元春、「智」の隆景
 毛利家両川の一人、小早川隆景さまです。いいよねー、この方。
 ちなみに、黒田孝高と小早川隆景は有名な「金吾中納言・秀秋」の一件で知恵対決することとなるのでした。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
言葉の重さ (makoto-jin-rei)
2006-06-21 22:03:32
そうですねぇ。何気なく言った言葉ほど、気をつけなくっちゃいけません。でも黒田家にとって恩賞が少なかったことは結果的に豊臣氏滅亡以降、ずっと家が続くのに有利に働いたもので・・・。何がどう影響するものかわかりませんね。

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言っちゃうもんですよね (ひでる)
2006-06-22 01:05:58
黒田さまのようなキレ者でないのに口がすべりまくるひでるです。←最低ですね。



後々まで見てみると結果オーライというのは歴史でよくありますよねー。もっとも、官兵衛は録の多寡なんて関係なかったでしょうけど…。

今風に言うならば「すご・こわい人」ですかね。



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