旧・坂本ひろし活動日誌(2005~2014.8)

日本共産党・坂本ひろしの活動や日々のつぶやきを掲載。OCNブログ人サービス停止に伴いgooブログに記録。

派遣労働者支援顛末

2011-11-24 23:54:00 | 活動報告

一ヶ月前、Aさんは、派遣会社から自己都合退職を迫られ、アパート追い出しの通告をうけた。

金もない、住むところもない。そこで、Aさんは生活保護申請に役所へ出向いた。
... 役所では、現在のアパートは保護基準以上なので生保申請は受け付けられない、家賃の安い所を探してそこへ移ってから(契約書ができた時点でもいいから)来るように、と言われた。

土地勘もなく、自転車も取り上げられてしまい、八方塞がりになったAさんは、ついに共産党の事務所に電話をした。
たまたま電話に応対した僕が支援体制に入った。10月下旬である。

富山県労連の力を借りて、彼が派遣会社にたいし契約期間中である事を認めさせ、追い出しを食い止め、また待機中の賃金支払い等も要求。

一方、生活保護申請をすべく、新住居確保のため動いた。雇用促進住宅の緊急入居を目指したが、派遣会社の不誠実な対応で必要書類が整わず、諦めざるを得なくなった。最終的に、民間のアパート入居の道を選択。

11月上旬、Aさんが体調を崩し、救急センターに担ぎ込んだ。会社は社会保険に未加入、保険証がないため、全額負担(6500円)の請求。

(何と、先月は給料明細には社会保険加入を示す保険料天引の記録があったにも関わらず、保険証は未支給だった。今月は未加入である。何じゃそりゃ!)

回り道を強いられ、いくつもの壁を乗り越えて、11月22日、ようやく民間アパートの契約にこぎつけた。

その足で契約書類をもって役所へ出向き、書類の記載不備等々、面倒且つドーデモいいような訂正注文にも文句一つ言わずに対応し(不動産屋と2往復もして!!)、この日の夕方、やっと生活保護申請を受理するとの回答を引き出した。

それにしても、すばらしすぎる超お役所仕事っ!!

今度はその足で、夕方5時、滑り込みで社会福祉協議会へ。緊急小口資金貸し付けの申請。

しかしまたまたここでも、印鑑が必要、印鑑証明が必要、住民票が必要、通帳が必要・・・・・・云々と、どうしてそこまでしてハードルを高くするの!!っていう仕打ちだ。
Aさんは、住所は県外、住民票移動、印鑑証明、銀行口座開設、そんな事やってたら、また1週間あっという間に経ってしまうやんか!

行き倒れの人、ホームレスの人などが、生きるため、生活再建の足がかりにするための、最後の命綱=セーフティーネットでしょうに。
何でそんな使い勝手の悪い仕組みなんだよ、「緊急の資金」でしょ?

もう、あきれ果てました。

社協の一室で、粘って粘って、「どうやって生きていけっていうの!!」と、とにかく二人で食い下がった。
職員は重い腰をあげて、県の社協とも相談してみますと一旦奥に引っ込んで、十分過ぎるほど待たされた結果、臨時特例つなぎ資金(記憶。たぶん)なら何とか条件に合いそうです、との回答を持って戻ってきた。

奥の手あるじゃんか!

こういう場合、食い下がることが大事なのです。

もし、たった一人で行ってたら、気の弱い人だったら、言葉がうまくしゃべれない人だったら・・・

「申し訳ありません、条件が満たないため、貴方にはお貸しできいません」って言われて、おしまいです。

そして、本日11月24日、Aさんが生活保護申請の正式手続きのために役所へ、一人で出向いた。

しかし、である。

今度は、「引越しが完了していない」との指摘だ。

(またかよ!)

「申請書類記載の住所に引越が完了してからもう一度来るように」と。

何じゃそりゃ?

(一昨日、今日、書類を書きに来てくれと言うから来ているんだ!そんは話なら、最初から説明しとけよ)

申請者が、その申請書の住所に実際に住んでいるかどうかが重要な点なのだ。それは解る。

問題は、Aさんは、引っ越しできない事情があるのだ。
一昨日、契約書を交わしたばかりだ。

不動産屋さんは、Aさんの生保申請を前提に契約を滞り無くすすめてくれた。
しかし、まだ市から家賃等の振り込みの確約がない。
(生活保護を正式受理していないから、当然といえば当然の事だ)

すると、

→不動産屋さんはAさんに鍵を渡せない

→Aさんは引っ越しできない

→Aさんは申請場所に住んで居ない事になり、保護申請はできない。

堂々巡りである。これじゃ絶対に生活保護が受けられない。

この事態をよく分っていながら、行政は、要保護者の立場にたって行動出来ないのだ。

僕は、この人たちはホントに呪われるだろうと思った。

正直に言うが、少なくとも、僕は呪ってやるという気持ちになった。

Aさんから、「どうしようか」とレスキューの電話が掛かってきたので、私はすぐ不動産屋へ電話。
いきさつを説明した。

女性担当者は「そうですか、それは困りましたね。ちょっと上と相談します。少々お待ち下さい」と保留、2分ほどでして、

「そういう事情なら、必要書類は後日でもいいですから、鍵は今日お渡しします」と。

よっしゃー、これで「引っ越し」完了!!

しかし、ちょっとした手間を惜しまず、市民の手続きをスムーズに進めるのも、役所の大事な仕事ではないか。電話一本でできる仕事をなぜやらない。

この仕事は僕の仕事ではなく、役所の仕事だろ?

柔軟に対応された不動産屋の方が、よほどマトモというか、普通だ。
受付の女性店員も明るすぎるくらいにさわやかで気持ちよいし、お茶もコーヒーも飴も出してくれる。役所とは対照的だ。

昨今、公務員が多すぎる、給料もらいすぎ、といった世論がわき起こっており、押しとどめることはできないほどの勢いである。
僕はこの論には絶対に与しない。
それをやれば、ひどい民間の賃金引き下げに拍車がかかるのは火を見るより明らかなのだから。

しかし、市民の為にならない理不尽で、硬直的な制度や仕組みや慣行が行政機関の中に現にあって、またやる気のない、事なかれ主義の空気が蔓延している事も間違いだろう。

だから、今こそ、なのだ。

上司が何と言おうと、周りの職員にやる気が無かろうと、市民のために行動できる職員が一人でも多く生まれてこなければならない、と思うのだ。

市民のくらしを守るために、憲法25条の立場を貫いて頑張ってくれる現場の人間が増えれば、役所内の空気も変わるだろうし、必ず市民はそれを感じ取るだろう。

公務員が市民にとって欠かせない存在であり、市民を守る存在なのだ、という認識を確実に広げていかなければならない。

それができない間は、公務員バッシングの風潮に対してどんなに理屈を示しても、どんなに声を大にして訴えても、市民の中に共感はなかなか広がらないだろうと思う。

Aさんの支援に費やしたエネルギーは相当なもんだ。この1ヶ月近く、この問題に翻弄されて、ほかの仕事がろくに手が付かなかった。

Aさんにまたどういう壁が立ちはだかるか分らない。
頑張ってもらうしかないし、応援するしかない。

行政にも、そして労働者の弱みにつけ込んで激しく搾取し、だまして使い捨てにする派遣会社や企業に、心から憤りをおぼえる。

そして貧困を生み出してきた派遣労働法の改正を願う世論に反し、製造業派遣と登録型派遣を野放しにする事を決めた民・自・公の大連合勢力。本当に許せない。

生活保護もさらに切り捨てだという。
おまけに年金切り下げ、社会保障の財源だといって消費税大増税…。

社会の貧困・格差問題の大もとの原因に正面から挑みながら、その本質をいかに多くの人に分かり易く伝えるか、自分にも鋭く問われている。

(マイフェイスブックから)

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