妊娠中の女性に投与された後、その子供にがんが発症した可能性がある薬は主に2つあります:ジエチルスチルベストロール(DES)と17α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエート(17-OHPC)です。
- ジエチルスチルベストロール(DES):
- 用途:1930年代後半から1971年まで、流産や妊娠合併症の予防に使用。
- がんのリスク:子宮内でDESに曝露した女性(DES娘)に、まれな子宮頸部や腟の透明細胞腺がん(CCA)のリスクが有意に増加。乳がんや膵臓がんのリスクもわずかに上昇する可能性が指摘されています。
- 詳細:米国で約500~1000万人がDESに曝露。1971年にCCAとの関連が確認され、妊娠中の使用が中止。DES娘やその子供(2世代目、3世代目)で健康問題が報告されています。
- 17α-ヒドロキシプロゲステロンカプロエート(17-OHPC):
- 用途:1950~60年代に流産予防、現在はMakenaとして早産予防に使用。
- がんのリスク:2021年の研究によると、子宮内で17-OHPCに曝露した子供は、曝露していない子供に比べ、大腸がん・直腸がんのリスクが約5倍、前立腺がんのリスクが約4倍高い。乳がんや子宮頸がんのリスクも上昇したが、影響は比較的小さい。
- 詳細:1959~1966年のChild Health and Development Studiesコホートに基づく研究。FDAは2020年にMakenaの承認取り消しを提案したが、長期的な影響は引き続き調査中。