「うなぎ」 1997年 第50回カンヌ国際映画祭受賞作品 役所公司
解説
ウナギは、日本から二千キロも離れた赤道の方まで旅をして卵を産み、オスがその後を追いメスが産んだ卵に精子をかけてやり、その数ミリしかない稚魚は再び長い旅をして成長して日本の河へ遡上します、オスは、何処の誰かも知らない雌の卵に精子をかける、この物語は、愛を掴むためには、そのぐらい大変な苦労をして掴むものだとする映画である。精子はやたらトイレへ流しちゃいけない、これ冗談(笑)
物語
1988年夏、知らない女からある投書が来る、其処には、お前の妻は浮気をしている、特に夜釣りに出かけた徹夜の晩には必ず奥さんの所へ男がやってくる、と書いてある、男はつり好きの製粉会社のサラリーマンである、夜釣りの時には弁当を作ってくれる最愛の妻が居る。
ある日、夜釣りに出かけ、途中から家に帰る、すると投書のとおり、妻が男とセックスをしている最中で、それも可也あえぎ声を上げているのが外まで聞こえる
男は逆上して重なっている男の背中を出刃包丁でさし、下になっている妻を何度も出刃で突いて殺してしまう。
その包丁を持って警察へ自首する。そこからドラマは始まる。
8年後、あと二年の刑期を残して仮出所する、男の名前は山下、何故か生きたうなぎを可愛がっており、異例な事だがと刑務所の刑務官がナイロンに入れた大きなうなぎを手渡す、近くの観福寺の坊さんが迎えに来る、そして車で千葉県佐原市の与田浦に小さな床屋の物件を見つけてあって其処へ行く、そこが山下の新しい住まいだ。
服役前にお袋さんが積んどいてくれたという山下名義の貯金通帳と、服役中に働いた金を合わせて380万円があり、それを坊さんが渡してくれる。
やがて改築して床屋らしき店が利根川の河原の堤防そばに出来上がり新生活がスタート。
ある日山下がうなぎの餌を取りに河原へ行くと若い女が倒れており、近くに睡眠薬の瓶がころがって居た、係わり合いになってはと隣の船大工の高田に相談する、救急車が病院へその女を運ぶ、幸い発見が早かったので命はとりとめた。女はやがて東京で働くのをやめて、このあたりで働きたいと観福寺の坊さんにに相談する、坊さんはそれなら山下の床屋で手伝いでもしたらどうだと山下に話を持ちかける、勿論お寺へ住んで其処からの通いだ。
かくして不倫して捨てられて自殺未遂した女と、妻を殺し仮出所中の男のドラマが始まる、山下は妻を愛しているが故に浮気をした妻を殺した事に、もう金輪際女とは縁を切ると誓った、しかし、・・・。
感想
なかなか面白い設定で感心する、うなぎがどうやって子孫を作って居るかを隣の船大工の高田におそわり、なるほどと感心したりするうちに恋心は芽生え、正義感を持った人間らしさを取り戻してゆく山下の表情が面白い。
感じた度 ★★☆