はずれの映画辞典

映画とは生きものの記録です、この世に生きる者が、こうして生きようじゃないかと訴えます。惚れた映画を毎日連載します。

韓国映画シリーズー愛したあとに

2007-11-30 09:51:41 | Weblog

愛したあとに 2006年  パク・ヨンハ短編ドラマ 58分

解説  

2001年に韓国で連続放映された「冬のソナタ」日本では’03年一大純愛ムードを引き起こした。

このドラマでぺ・ヨンジュン、チエ・ジヌが一躍日本でも人気俳優になった、チエ・ジヌの幼馴染の相手役、ヨン様と三角関係になったパク・ヨンハだが、その煮え切らない持ち味はその後も飽きずにドラマに登場している、歌手として日本に売り込んでいるが、こうした短編ドラマにも登場している。
 
この手の男というのは、30代の男性でいま日本では結婚していいない若者が約50%いるそうだが、・・・ 女性から見ると母性愛を感じて面倒を見てやりたいという気持ちが抑えられないらしく、お付き合いをするのだが、男のほうから女性を操縦する事が苦手で、フラれるのが怖いのか、キスぐらいはするのだろうがHまでは行かない、だから、母性愛を感じるくらいの弱い女性は自分には魅力がないのだろうと思ってしまう。

 映画「電車男」が典型的な例なのだが。  
 このドラマは、ヨンハがそんな男を演じて20代の若者たちの揺れる男と女の感情をうまく捉え表現している作品だ。

 物語  

 ソウルのある小さな図書館に女性の声で電話がかかってくる、「実は本を借りて返済しなければならないのだけど、本が手元に無い、ある男の家に置いてあるのだが、その男の電話を教えるからその男に返すように言って欲しい」という電話である。

借りた本は本人が返してくれなければ困りますと図書館の職員は言うが、事情があって、その男に電話しても多分出ないだろうから是非そうして欲しいというのである。  そういう例は無いのだが、その女性がどうしても頼むというので図書館の職員であるユン・ヒソは引き受ける。

やがて、男は本を持って現れたが、いつも来ている常連さんで、名前をキム・ジョンウン(パク・ヨンハ と名乗った。

 そんな事で知り合った二人だが、ある日ジョンウンが図書室で寝てしまった、ユン・ヒソはいつも来る彼に何か淡い恋心を抱いていた、しかし、ヒソにはソウルから遠く離れた大邸に恋人がいて、時々逢って居たが最近は逢う瀬も遠のいていた。

 そんな微妙な気持ちを持ちながら、図書室で寝てしまったジョンウンを職員の控え室へ呼んでコーヒーをご馳走して彼女との話をする。
 ジョンウンは電話で依頼してきた女性と五年もお付き合いしていたが、彼女はジョンウンの返事がもらえないままに、他の男性と結婚することになり別れたというのだ。

 ジョンウンは彼女を忘れ切れないままに、思い出の図書館へ通って来る、いつも同じセーターで、袖がほころんでいる、それを見たヒソはなんとかジョンウンを慰めたくなるのだが、・・・。

 感想  

 いつも思うが、映画とは俳優が物語を演じるもの、文字では表せない感情を俳優はそのしぐさで見せる、これを演技というのだろうが、微妙な男女の息使いをうまく表現していて面白い。

 感じた度 ★★☆  

韓国映画シリーズー愛の庭園

2007-11-29 09:11:30 | Weblog

愛の庭園(愛と死をみつめて)

 監督 イ・ドンヒョン主演アン・ジエウク、イ・ウンジュ 2003年

解説

 余命幾ばくも無い女性と彼女を支える医師が残された時間の中で幸せを見つけてゆく、死の時期が解っている人間が幸せに死んでゆくには、こうしたら良いというような暗示を戴ける映画である。

 ここに登場する主演のアン・ジエウク、は日本ではあまりなじみが無い、彼の映画で上映された物では、この二人のコンビでは1998年制作の「ファースト・キス」(チエ・ジウ主演)ぐらいで、DVDもあまり紹介されていない、彼は、1994年テレビでデビューしてから、1997年「星に願いを」という長いテレビドラマで人気が出て、一躍人気になったという、なかなか好感を持ちやすい俳優である。

 ヒロインの、イ・ウンジュは、「永遠の片思い」「ブラザーフッド」に出ている、中々の美人で親しみのある顔だちである。しかし、’05年2月22日、この日を選んで自殺した。この映画が原因のノイローゼ気味だったらしいが、惜しい俳優を亡くした。

物語

 両親の死後、息子のオソンは病院を継ぎたくなかったガン治療の病院だったが、ある日ふさぎこんで仲間と酒を飲んでいる所へ、一日だけホステスを務めるヨンジュがオソンの相手をする、好感が持てる彼女にオソンは一目ぼれをするが、どうも彼女は身体の調子が良くないようである、そこでこの女性は治療を必要としている事が解る、調べると彼女は末期のガンだった。

 それからと言う物、自分の病院の患者に目が向く、そして死に行く人たちを見る、自分の仕事を再認識するが、何よりも彼女を救いたい、彼女は、苦しまずに死ぬ方法を教えて欲しいとせがむ、しかし、ガンは末期、それなら、命が無くなるまでの間、彼女を愛そうと決意する。そして間もなく終末が来るが・・・。


感想

 死ぬ事が解っている女性が、死ぬ間際にしたいこと、それは、好きな男オソンを愛する事、一生に一度かも知れない愛に生きたい、唯それだけだった、最愛の男に料理を作ってやる喜びを味合うが、自分はそれを食べる事が出来ない、健常者ならなんでもない何時もしている事だけど、そんな事が愛する人のためにしたい。

 これは女の性なんだろうか。そして、けしてしてはならない医者と患者のキス、最後に二人は深いキスを交わす。死を前にすると、何時もしているたわいのない事が重要さをあびる、こんな自分が居たという事を後の世に残したい、そんな願望が印象的だった。

感じた度  ★★☆

韓国映画シリーズー空き家

2007-11-28 09:16:22 | Weblog

空き家  キム・ギドク監督作品  2004年

解説

 今更解説する事ではないが、ギドク作品は変っている、だから面白いのかもしれない。社会の矛盾を告発するでもなく、芸術至上主義を主張するわけでもなく、売れればよろしいというマーケットの心配をするでもなく、ただただ、自分の描きたいものを勝手に作って、”見てね”と言うだけである。

映画の言わんとするところ等は見る人が勝手に決めればよろしい。手のとどかない痒い所に手が届いて気持ちが良くなったような感じがする。
 この映画は、口を聞かない男と女が二人出てきて二人が主演だが、口を聞く取り巻きが二人にもてあそばれて、踊らされている所が面白い。シュールリアリズム映画である。

物語

 バイクに乗った男が、瀟洒な建物のある住宅街の門の所に「竜宮」という食堂のチラシをはって歩いている、 ・・・高層マンションへ入る、ビラを剥がすと、道具箱から何たら取り出して扉の鍵を開けている、ピッツキングである、家の中へ入る、留守電を聞いて留守である事を確かめる、シャワーを浴びて冷蔵庫を開けてサンドイッチなどを食べる、おもちゃのピストルが有ったので弄くるが壊れているので修理する、手先が器用である。

その部屋の家族の写真をバックに自分の写真を撮る。テレビなどを見て、家のかたずけをして洗濯までする。

 二軒目は、高級住宅である、鍵は開いていたので直ぐに入る、部屋に入り人が居るどうかを確認する、ある部屋に女がうずくまっていたが、何も声を出さないので気が付かない。電話がかかってくるがどうやら夫婦喧嘩をしているらしい。男は何時ものようにくつろいで、料理を作って一人で食べている、それをそっと覗く女、男は、また其処の家の洗濯物を手で洗っている。

 靴やブラジャーなどもある。洗濯物を干して、庭でゴルフの練習等をして、風呂に入り体重計が壊れていたので修理する、女はそれらの行動を見ているが声はかけない、やがて、ベットへ入り、ヌードの雑誌を見ながら何やら下腹部に手をやっている所へ女が現れる。

 電話が鳴る、女は男に何するでもなく電話を取るが、話をしない、その横を通り抜ける男。

男が出て行くとき、眼と眼が合う、どうやら敵意はなさそうである。と、女は張り裂けそうな叫び声をあげる。
 二人はこうして出会うが、ここから二人の物語が始まる、しかし、二人の間には最後まで会話は全くない。

感想

 1960年の始め頃、安部公房の戯曲で、千田是也演出、俳優座のメンバーによる「幽霊はどっちだ」という演劇を見た事が有る、安部公房といえばシュールリアリズムの戯曲作家、独特の手法で表現する作家だが、この中に出てくる得体の知れない”大陀羅法師”という背後霊のような影、その正体は幽霊のようなものだったが、
これと同じように浮気をして妻を怒らせて居るような亭主はいくら妻に言い訳しても後ろめたさがあり、背後に何時も誰かが幽霊のように付いて回っている、その妻が、夫に見えない好きな男が背後に居る事で楽しくてしょうがない、妻の機嫌が良いと、夫は不安にかられる、口を聞かない二人が、そういう存在となる。

これらの手法は’60年代の始め頃静かなブームになった事があった、アンダーグラウンド劇場、アングラ演劇として見られるようになったが、この手法をギドクは映画に見事に使っている。

映画は眼で見て、見た人が勝手に解釈するものだ。

 感じた度  ★★★

「はずれの映画辞典」より転載

韓国映画シリーズー大胆な家族

2007-11-27 09:17:00 | Weblog

大胆な家族 2006 監督 チョ・ミョンナム  

出演 カン・ウソン、 キム・スロ

解説

 韓国の皆さんは、同じ朝鮮人が二つに分離されて、それの統一が誰しもが持つ悲願である。
 血を分けた親と子が南と北に別れ別れになって顔を合わせる事すらできないというのは不幸な事だ。 まして、北に妻や子供を残して父親が南に住んで、寿命も長くなく、顔を見ることも無く親子が死んでゆくというのは不幸な事だ。この不幸な事を伏線としながらコメデイー風にこの悲しい事実を映画にしたこの作品は、韓国の人たちには共感を呼ぶ事だろう、日本人はその切実感に欠ける部分があるから止むを得ないのだ、では済まされない気もするが。

物語

 五人の家族が一緒に住んでいる、私は一番小さくて名前はキム・ヒョンジエと言います、という自己紹介から始まる、お祖父ちゃんが居て、おじいちゃんの名前は、ジョンヨプ、北へ残して来たイ・ムジャという妻と、二十歳の時に別れたジョンシムという娘が居る。妻が二人いて良いんでしょうか。

 お祖父さんには、ミヨンスク、とミヨングという兄弟の息子さんが居て、母とおばあちゃんが一緒に住んでいます。
 ある日、お祖父ちゃんのジョンヨブが市役所へ北の家族との面会の申請に行く途中で階段から足を滑らせて入院した、医者は、そのついでに身体を検査したらガンであと三ヶ月ぐらいしか命が持たないという。
 親孝行なミョンスク兄弟は、作り話でも良いから死ぬ前に何とか南北の統一交渉の進展を知らしめようと相談し、1000万ウォンほどあれば映画を作って統一した韓国の模様を見せる事が出来るのだがと製作に余念がない。

 ダンという弁護士は、お祖父ちゃんが北に居るイ・ムジャという妻と、娘のジョンシムのためにと隠して居る財産があり、これを売れば何とか成るだろうと計画する。
 そしてそれを取り崩して映画の撮影を始めようかと言うときに、お祖父ちゃんは死ぬはずの容態が回復して死ぬどころで無くなった。 困ったのは、死ぬ事を見越して金を借りて映画まで撮り統一した所を見せたりした金をどうして<返すのか困り果てて、・・・。

感想  

この映画は「グッパイレーニン」の韓国版と言うところ、Gレーニンの方は、社会主義の東ドイツでの社会主義の闘士だった母親が、事故で怪我をして八ヶ月病院で意識不明になって寝ている間にドイツは統一されて、社会主義から資本主義の国へと様変わりした。

 神経質な母親にこの急激な変化を突然知らせたら心臓の発作を起こしてしまうと考えた親孝行の息子が、東ドイツが西ドイツを征服し、社会主義のドイツが出来たのだという映画を作って見せるというのと同じ。

 ドイツの場合は統一されたという安心感で映画を見られるのだが、この映画は悲願の達成していない韓国に当てはめると、コメデイー風に面白おかしく作ってはいるが、その底には統一の悲願が伏線として見える。

 映画で、南北の統一を叫びたい。

 感じた度  ★★★

韓国映画シリーズー台風太陽

2007-11-26 11:30:07 | Weblog

台風太陽  2005年 監督 チョン・ジェウン  

出演 チョン・ジョンミヨン、キム・ガンウ

解説

 この映画は、世界大会まであるがまだあまり知られて居ない、つまり市民権を得ていないスポーツ、ハイテイーンの若者たちの特権でもありそうな、ローラースケートスポーツの映画である。 スノボーでは日本の選手は、男女ともこのような早い動きのスポーツ種目には強く、世界選手権で優勝し、オリンピックでも期待されている。ローラーはどうなんだろう。

 市民権を得ていないという事は、練習する施設がないことが大きな要因、その困難な状況の中から世界チャンプが出て行く話を映画にしたもの。
 なお、この映画で主演したチョン・ジョンミョンは、韓国の大きな第26回青龍映画祭で新人男優賞を獲得している。

物語

 男子高校の授業の時間だが、居眠り三昧の生徒が居る、チョン・ソヨである。 公園で、ローラースケートをして遊んでいるが、仲間内で花壇の端や、ベンチや手すり等の上をローラーで走り回る、曲芸のような遊びでをしている。

 公園に出ると、一人、ローラースケートの好きな男が居て、その男の彼女に誘われて兄貴分のスケーターにローラースケートを教えてもらう。
 公園や地下鉄の駅などでローラーの練習を積むが、公共の場所でその様な遊びをしてはいけないと追いかけられる、練習のする場所がない。
 
 しかし、ソヨは、すきな道に命をかける、先輩の兄貴は世界大会で挫折し練習が怖くてやめてしまう、なぜ怪我をしながらこんな誰にも喜ばれない事をするのかと、・・・。

 感想

 最後にナレーターで、「一度の成功のために、何百回も転んでは倒れて痛い思い、怖い思いをして、成功の喜びを味合う」と流れるが、これこそが勝利した者でなければ味わえない勝利の味なんだろう。ローラースケートのシーンが素晴らしい。

 感じた度 ★★☆

韓国映画シリーズー黒幕

2007-11-24 08:36:26 | Weblog

黒幕 (短編)56分  2006年未公開DVD 出演  パク・ヨンハ キム・ヘス

解説

 ご存知パク・ヨンハ、とキム・ヘス二人の絶妙な演技で見せる短編の映画である。パク・ヨンハと言えばドラマ「冬のソナ」タでは、ヨンサマのぺ・ヨンジュン演ずるチュンサンとチエ・ジヌ演じる幼馴染のユジンの取り合いに終始するドラマ、ここではチュンサンに最後はユジンを取られてしまい、已む無く泣き寝入りする物語だったが、大体においてどのドラマでもそうであるようにパク・ヨンハという男はこのような男として見ると如何にも軟弱な真面目男で通っている、この彼が持つ面白さをキム・ヘスとの間でやはり見せているところが見所の映画である。


物語

 イ・キジュン(パク・ヨンハ)は小説を書いて飯を食おうとしている、ジェイル新聞の新聞記者のユン・ジョン(キム・ヘス)が彼に作品に付いてのインタビューをしようとしているが、イ・キジュンの作品を読まないでインタビューに応じるとは何事かと怒る、しかし、事実は、キジュンは作品を書いていないのだ。

 「作家と現実社」というメジャーの雑誌社があり、そこの編集長のカン・スンウが社長のカンと意見が合わないで編集長をクビになり、キジュンが見込まれて編集長となる、そして企画会議で、共同制作の小説「死より深い絶望」という本を出したいという。

 本屋が本を売り出すときには、共同制作だろうが何だろうがセンセーショナルに作家を売り出せばいいのだ、そこで策略が働く、黒幕の出番である。 一人の著名な作家が出れば、内容の小説は共同で書けば良い、そうして売り込むのだが、社長はその作家をイ・キジュンにしようと企む。

 そこでキジュンと、記者のジェイルは恋愛関係に入り、動き出す、・・・。あとは見てのお楽しみ。

感想

 最近の流行言葉で、勝ち組と負け組みという事場が流行っている、もちろんこれは日本だけの話だと思うが、ヨンハは負け組みに入る方がドラマが面白くなるから不思議な役者である。
 このように、イメージが演じてきたドラマによって定義ずけられてしまうというのも役者を駄目にしてしまう感じがしないでもない、イ・ビヨンホンや、チエ・ジヌはどんな役でもこなしてしまう素晴らしさを持っているが、ヨンハのこれらの持ち味も、リウ・シウオン同様、演出するドラマによって面白い、われわれも製作する黒幕にいつの間にか乗せられているのだ、この映画のように。

 感じた度 ★★☆

韓国映画シリーズーインデアン・サマー

2007-11-23 09:08:14 | Weblog

インデアン・サマー  2005DVD 監督ノ・ヒョジョン主演パク・二シャン

解説

 この映画は、国選弁護士が一審死刑の被告が、二審で弁護して無罪になったが、その被告に惚れた所で再び最高裁で死刑の判決を受けたその弁護士の物語。

 インデアン・サマーとは、晩秋に良くある夏のように暑い日のこと、後味の悪さを言うのだろう。

物語

 弁護士のソ・ジュナは貧乏人から勉強して弁護士となった真面目な弁護士、一審で死刑を求刑された被告イ・シヒョンの、夫殺しの弁護を引き受けた国選弁護人。 イ・シヒヨンはか弱い女性で何度か死にたいと思った、最初の子供が流産した時、二度目の時夫が攻め立て思い余って殺してしまう。

 しかし、動機からも、殺し方からも不審な点がおおく、疑わしきは罰せづの諺どうりに二審では殺人の時に着ていた筈の衣服が見つからなかった事で証拠不十分で無罪となる。

 イ・シヒョンは、自殺願望が強く、必死に弁護するソ・ジュナにあまり深入りするなと再三忠告するが、ソ・ジュナは彼女に一目ぼれ、何とか刑を軽くしようと努力する。そして、無罪を勝ち取ったあと、二人は道でバッタリ会い楽しいデイトをするが、・・・。

 最高裁での判決は、保険金目当ての夫殺しとなるが、二審でイ・ジュナに出会い、生きる決心が出来たときに死刑の宣告を受ける。

感想

 後味は良くないが、生きようとする人間の性、を上手く捕らえて面白い。

感じた度  ★★☆ 

韓国映画シリーズー私の頭の中の消しゴム

2007-11-22 08:43:14 | Weblog

 私の頭の中の消しゴム (デイレクターズ・カット) 2004年制作                        
          監督イ・ジェハン出演 ソン・イエジン、チョ・ウソン

 解説

 ソン・イエジンといえば、清純派の女優、ドラマ「夏の香り」(韓国ドラマ-2)でソン・スンホンの相手役ヒロインを演じた女優、チョ・ウソンはモデル出の背の高い良い男、ドラマでは、イ・ビヨンホンの弟役を務めた「アスファルトの男」(韓国ドラマー1)でレーサーを勤めるエネルギッシュな男。この二人がかもし出す恋物語だ、音楽もラ・パロマなど心地よい音楽を巧みに取り入れて素晴らしい作品となっている。(2時間24分)

 別れた元彼の悲しい出来事でアルツハイマーになるが、彼の優しさで回復したかに見えたのだが、・・・。「記憶が消える事は、その魂までもが消える事だ」二人の愛の行方は、・・・。

 物語

 キム・スジンがコンビニでコーラを買うが、財布と買ったコーラをカウンターに忘れたまま出てきてしまう、出口で在る男とすれ違う時にその男のコーラを取り上げて男の目の前で飲んでしまう男は驚くが、何かの間違いだろうと女を見送るが、スジンは財布を忘れた事を思い出してコンビニへ戻ると、飲んだはずのコーラが其処に有った、どうやら様子が変になっている自分に気が付く。

 その男は仕事に詳しく尚且ついい加減な仕事をけしてしない職人肌の土方、名前をチエ・チョルスという男である。

 スジンが父親の車で現場を去るときにチョルスの姿を見つける、どうやら父の仕事の現場で働いている建築設計の従業員らしい。 スジンは紳士服の縫製をして働いているが、その店の改修をしたいと思い父に頼んで改修する事にしたがその工事を担当したのがなんとチョルスだった。

 それを機会にスジンはチョルスに近ずき好きになる、そして楽しいラブラブの時間が過ぎるが、スジンが結婚をしたいと言うと、チョルスは「人生は怖い物だ、本当に結婚して幸せになれるか疑問だ」という、しかし、スジンは親にチョルスを紹介する、だが、余にも身分が違いすぎて合わないと親から反対される、スジンはそのショックで雨の中で倒れる、それを抱きかかえて介抱するチョルスの姿を見て親は承諾する、そして結婚。

 結婚後、チョルスは父親からの依頼で、広い敷地に理想的な家を作りたいと依頼されて、几帳面なチョルスは住む人が満足する家の設計をして家を作るが、幸せな生活が始まる。

  しかし、ある日のこと、駅で待ちぼうけした、最愛の元彼ヨンミンが現れるやどうも様子が可笑しくなる、医者はアルツハイマー病だという。元彼からの電話でスジンがヨンミンと会う約束をして町に出ると、太陽が明るく照りつけ眩暈がして倒れる。 その時落としたスジンの携帯を拾った人がチョルスに電話してチョルスは倒れたスジンの所へ行くと丁度其処には元彼のヨンミンがいた。

 チョルスは、それから、時々スジンが変な行動に出るようになったのでスジンの掛かっている医者に聞くが、スジンはチョルスにはアルツハイマーの事は話してなかった。

 「愛は、愛を受けた人だけが分かる物だ」といわれ、チョルスはスジンが誰を愛しているのかが疑問になる、そしてスジンは手紙を置いて出て行くそこには

 ごめんなさい本当に、貴方を苦しめたくないのに私のせいで泣く姿を見たくないのに、 幸せになって欲しいのに、私は貴方を苦しめている。

 誤解しないで下さい、私は貴方だけを愛し、貴方だけを覚えているの、私の心を総て伝えたいのに記憶の残っている短い期間に、心が空回りするの。・・・。
 貴方との出会いは人生最高のものでした、貴方は天が私に授けた一番の贈り物です、・・・と書いてあった。 後は見てのお楽しみ

 感想

 ショックになる程愛した元彼に振られたこどで記憶を消したいと消し始めたが、頭の中の消しゴムはなかなか消してくれない、新しい恋人を見つける事が元の彼を忘れる事だと新しい恋人と結婚するが、元彼が現れると消しゴムの消し後がうずく。はたして自分はどちらの男を愛しているのか、これって人間の性なんだろう。現実には現実に流されるのだが。 ソン・イエジンの魅力が目に焼きつく映画である。

 感じた度  ★★★
 

韓国映画シリーズー八月のクリスマス

2007-11-21 09:02:19 | Weblog

 八月のクリスマス

  監督脚本  ホ・ジノ 1998年制作  96分                    撮影 ユ・ヨンギル

 解説

 「天国への階段」というドラマのように、幼馴染がいつか愛情となり、成人してからその愛情が忘れられず、幾多の困難を乗り越えてやがて実らせて行く二人のギラギラした愛情もあれば、好き、も愛してる、も何にもいわない、ただの一度遊園地で休日を過ごしただけ、それでも、ある人にとっては思い出の愛でない、本当の愛情を感じた、という、お話。

 愛情とは実に不思議なものだと感じさせる映画だ。

 不治の病に冒され余命いくばくも無い写真館経営の青年と、彼の知らない交通取締り担当の婦人警官の互いに恋心を抱きながらも踏み出せない二人の束の間の交流を追ったドラマ。

 物語

 とある地方都市の町外れの住宅街、学校のそばに親の代からやっている小さな写真館がある。親父から店を引き継いで息子がやっている、息子の名前はチ・ヨンウオン、母親を早くになくして、父親と二人暮し、癌で死ぬ時期が近いような様子である。

 ある日、一人の女性が写真を現像してもらいに立ち寄る、名前をタムリと名乗った。其処の写真館が気に入ったのか、彼女は良く来るようになった、ヨンウォンもまたその娘さんが気になって仕方が無い。そんなある日、遊園地へ出かける、そこで二人は愛を感じる。

 タムリが愛情を感じて1人ひそかに微笑んで居る時、ヨンウオンの容態が悪化、急死する。そんな事とは露知らずタリムは店へ来るが何時も閉まったままだ。

 死ぬ寸前に、ヨンヲンは、タムリに手紙を出していた。「僕の記憶にある写真のように、愛も何時しかは思い出に変わると思っていました、でも、君だけは思い出ではありません、愛を胸に秘めたまま旅立たせてくれた君に「ありがとう」の言葉を残します」と記されていた。その日はクリスマスイブ、小雪が愛用のバイクに積もっていた。

 感想

 カメラをガシッツと構えた長まわしの映像は、観る人の心理を憎いほど捕らえる。日本の小津安二郎の作品と同じような構えだ。広角で、小さな店の構えを道路の向こう側からじっと映し出して、時々走る車と、子ずれの母親。

 暖かい陽射がさんさんと降り注いでいる静かな昼下がりの、素晴らしいアングルだ。真夏に芽生えた二人の愛がクリスマスに消える、そこに人生から遠ざかる人の「愛」を映し出す、素晴らしい映画である。

 感じた度 ★★☆

韓国映画シリーズー四月の雪

2007-11-20 08:43:28 | Weblog
    
  四月の雪     

監督 ホ・ジュノ  主演 ぺ・ヨンジュン ソン・イエジン  2005春

解説

 解説するまでもないが、有名俳優二人の共演の映画である、特にソン・イエジンはこの秋公開された「私の頭の中の消しゴム」で日本ではこの映画に続いて好評だった、日本人に一番馴染みやすい顔立ちをしている。

 韓国を代表するぺ・ヨンジュンと、韓国映画の宝石と呼ばれているソン・イエジンの話題作、そこへ監督のホ・ジュノとくれば、「八月のクリスマス」で見せたあのデリケートな女性のやるせなさ、この映画でもそれは更に倍加されて素晴らしい。

物語

 妻の交通事故の知らせを聞き病院へ飛んで来たインス(ぺ・ヨンジュン)は妻と 同時に事故に会ったソヨン(ソン・イエジン)と待合室で出会う。

 どうやら二人は不倫関係にあって車で事故を起したらしい。
 その病院で、二人は共に看病をしながら親しい仲となり、恋人同士となってこちらも不倫してしまう。
 しかし、ソヨンの夫は長い意識不明が続いた後で死亡する、インスの妻は意識を取り戻し、快方に向かう、途方にくれるソヨン。
 華やかな花に春の雪が冷たく降り注ぐ四月の雪は無情だった。
 何処へ行くのかしら私達。

 感想

 余りにも有名な俳優が、そして監督が作っている映画と言うのは、出来るまでの間にレポートの情報が多すぎて、中味が見ないうちからわかってしまう、四月の雪といえば、春なのになんと冷たい雪なんだろう桜が可哀想に、と結末までもが分かり抜いてしまう映画、・・・だから、美味しい物を後で食べるようにとっておく。

 何の概念も無く、「八月のクリスマス」を初めて見た時の様な感動は無いが、やはり中々宜しい映画である。ジッくりと構えたカメラアングルがよろしい。

感じた度  ★★☆