sail hayabusa

千葉県 浦安にて活動中

メイントリマーとの連携。

2008-09-30 22:23:06 | レース<ハンドリング編>
 hayabusaは22フィートのミニトンクルーザーですが、メインセールはメイントリマーがトリムします。ヤマハ23やJ24でもヘルムスマンがメインセールをトリムするチームが多いと思いますが、hayabusaは別です。
 
 これは、各チームのレースへの取り組み方にもよると思います。私がイメージしているレースは、前にもコメントしましたとおり「相対的に順位を上げる」レースです。すなわち、フリートレースにおいても、勝敗のポイントでは、マッチレースのように積極的にマニューバリングを行い、順位をより確実にするレースです。
 
 したがって、ヘルムスマンの集中力は、ラダーから伝わる「いい感じ」の維持とリーバウタックや混雑したマーク回航などの高い錬度が要求されるハンドリングのほか、レース戦略全般に費やす必要があるのです。
 
 メインセールは、信頼できるメイントリマーにお願いするのが一番です。

 理想的には、同じ「スピード感覚」をシェアできることです。hayabusaでは、ヘルムスマンとメイントリマーとは、かなり近い「スピード感覚」をシェアできていると考えています。ここ5年ほど常にhayabusaで一緒にセーリングしているため、いわゆる「あうんの呼吸」で、どのような場合にどういう動作を行うという説明が不要です。

 このようなコンビネーションが出来上がると、自ずと視野が広くなり、ヘルムスマンとしての本来の仕事に専念できるようになります。

 そういうhayabusaでも5年前までは、ヘルムスマンがメインセールをトリムしていました。当時のhayabusaよりも、今の方が格段にボートスピードが向上し、より戦略的なヨットレースができていると思います。チームとして戦略的なヨットレースを指向するなら、連携ができることを前提に、ヘルムスマンとメイントリマーを分業するのが一番です。

スピード感覚。

2008-09-28 18:55:13 | レース<ハンドリング編>
 東京湾でも陸風の季節になって来ました。陸に近いところにウェザーマークが設置された場合、風向、風速とも変化が激しくなります。ボートの向きがころころ変わり、ブローで加速したり、無風帯で失速したりを繰り返すうちに、自分が周りより有利な風を受けて走っているのかどうなのか、わかならなくなることも多いと思います。

 そんなとき、頼りになるのは、自分の「スピード感覚」ではないでしょうか。
 
 風向、風速とも変化が激しい場合、条件にあったもっともいいスピードを維持するよう集中する必要があります。スピードは計器類が表示してくれますが、私は、自分の「いい感じ」=「スピード感覚」を重視しています。

 この「スピード感覚」をどのように感じていけばいいのでしょうか?はじめにお断りしておきますが、今回のコメントはかなり感覚的(抽象的)です。
 
 私はヘルムスマンなので、ティラーから伝わる「ラダーが水を切る感じ」を重視しています。ラダーの両面にきれいに水が流れている感じをいつも感じ取りながら、帆走しています。
 
 なんらかの理由でボートの「いい感じ」が崩れる場合、ラダーから「力が抜ける感じ」が伝わってきます。これは、風速が落ち、ボートが失速する際に多い現象です。風速に合わせた「ギアチェンジ」ができていないサインです。まず、メインシート緩めてもらいます。同時にクルーにヒールバランスをややオーバーヒールに合わせてもらいます。ランニングバックステーのテンションも少し緩めます。これらのトリムと同時にボートを少しベアウェイさせます。こうして風速に合わせたギアにしてやることで、再びラダーの両面にきれいに水が流れている感じが戻ってきます。ボートが加速をはじめたら、コースをクローズまでラフさせます。この動作を粘り強く繰り返すことで、「いい感じ」を継続させていきます。

 次にブローが吹き上がったときに、一時的にボートが海面に「張り付く感じ」になるときがあります。軽いブローチング状態です。これは、順風以上で上らせすぎのときに起きる症状です。メインシートを緩め、ボートを少しベアウェイさせて走ることで防げます。

 常に自分の「スピード感覚」を磨くつもりで、周りの艇と自分のボートとの位置関係や艇速差を確認しながら帆走する習慣を身につけていけば、自分の艇速の変化が、海面の有利不利によるものかどうかを落ち着いて判断できるようになるはずです。風向、風速とも変化の激しいコンディションでは、自分のとった海面の有利不利に一喜一憂するのではなく、自分の「スピード感覚」を磨くつもりで、じっくり戦うようにしたいですね。


マーク回航。

2008-09-23 19:39:00 | レース <戦術編>
 マーク回航は走ってきたレグのゴールではなく、次に走るレグのスタートだと考えています。

 例えば、上マークを上りギリギリで失速しながら強引に回航するヨットを見かけますが、果たして下マークへのいいスタートが切れるのでしょうか?下マークで、相手艇との位置取りにこだわったり、ギリギリまでスピンを展開することにこだわる結果、回航後、下マークよりも風下を帆走しているヨットもみかけますが、もったいないではないですか?
 
 マークに到着することや、回航することに意味があるのではありません。回航マークはあくまで通過点。次のレグへのスタートポイントです。
 
 このような観点に立つと、マーク回航において一番重要なことはスピードを維持、もしくは加速させることです。通常、マークでは90度以上の回転を行います。スピード維持もしくは加速のポイントは、やはりきっちりセールをあわせることではないでしょうか。
 
 上マーク回航では、回転の初期、すなわちクローズホールドからアビームまでは、特にジブが重要です。ジブをきっちりあわせることで、スムーズにボートが回頭します。次にメインをボートの回転にあわせてリリースしていくことで、ボートは自然とアンヒールとなり、アビームからランニングまで一気にボートが回転します。理想的にはランニングに落ちきる前に、スピンに風が入り始めると、一気に加速します。
 
 下マーク回航では、2艇身サークル前にスピン回収を終え、2艇身サークル到着時には、ポートタックで回航マークに幅1艇身程度の位置にボートを置くことがポイントです。同時に回航する他艇との権利関係はそれまでに整理しておくことが重要です。あとは、セールをきっちりあわせることです。メインセールが若干はやめ、ジブは少し遅めで合わせると、いいスピードに加速します。

 いずれにせよ、マーク回航でイメージするのは次のレグを有利に走ることです。マーク周辺でのきわどい権利関係には執着せず、ある意味ずる賢くマークを攻めて行きましょう。マーク回航はヨットレースの醍醐味にあふれています。


微風好き。

2008-09-21 18:41:34 | レース <戦術編>
 微風のヨットレースは、haybusaに乗る前から得意でした。私がセーリングを覚えた場所が瀬戸内海だったことも影響しているかもしれません。「いろんなことを考慮する」要素が多い微風のレースは、ゲームとしての魅力にあふれています。
 以下は、微風のレースにおいて私が心がけていることです。

その1 風のあるところを帆走する。
 
 当たり前ですが、微風の場合、風向の変化よりも、風速の変化が大変重要です。微風で前に出るためには、風のあるところを帆走する必要があります。普段重視する「長いほうを先に帆走する。」とか、「行ってはいけない場所」にこだわらず風のあるところにボートを向ける必要があります。

その2 風速の変化に敏感に対応する。
 
 微風のレースは、風速の変化に対応するため、普段以上に敏感にかつ貪欲に「ギアチェンジ」をする必要があります。メインシート、トラベラー、アウトホールの調整によるメインセールのトリム。ランニングバックステーの調整等でヘッドセールのラフテンションやサギング量も常に「ギアチェンジ」します。特に風速が落ちていく局面で、適切にギアを落としていくことがポイントです。

その3 ボートのヒールバランス。
 
 微風では、重心は低く、前へ集中させる必要があります。風が落ちて波だけ残った海面では特に重要なポイントです。

その4 ボートを揺らさない。
 
 クルーの移動は、必要なときだけに、できるだけスムースに行う。乗っていると分からないですが、あとでビデオで見ると一人動くだけでも大きくボートが揺れています。

その5 スタート前のマニューバリングは最小限にする。
 
 以前に微風のスタートでコメントしたとおり、ボートを回すと必ずとまります。

その6 レースのコースは風のあるところ(真ん中以外)を帆走する。
 
 先行艇が交錯するレグの真ん中付近は風が乱れているのか、経験上いい風は吹いていません。先ほどの繰り返しですが、普段重視する「長いほうを先に帆走する。」とか、「行ってはいけない場所」にこだわらず風のあるところにボートを向ける必要があります。

その7 クルー全員で風を探す。
 
 微風時はボートの回転を極力減らすため、クルーの動作は減少します。またヒールバランスをとるために、風下側でひたすら待ち状態になることも少なからずあります。モチベーションを維持し、ボート全体の集中力と緊張感を維持するためには、「全員で風を探す。」ことは大変重要なポイントです。

その8 微風好きになる。
 
 微風で速いと目立ちます。微風好きになってヨットレースを楽しみましょう。 

ミニトン2008

2008-09-16 22:10:49 | レース <ログ・写真編>
9月の13日~15日にかけて三日間行われました。
初日1レース目、14秒のハンデに泣き、2日目に挑みました。二日目第2、3、4レースとこなし、最終日はロングコース。あと少しという所でしたが、全艇DNFという結果でした。詳細の結果と写真は以下に掲載してあります。

http://miniton.sports.coocan.jp/index.html

※レース後、急遽メインスキッパーが帰宅となり表彰式不在でしたが、残るメンバーでの表彰時の写真です。

いろんなことを考慮する。

2008-09-16 22:04:34 | レース<準備&心構え編>
 ヨットレースも他のスポーツと同様に、鍛錬にもとづく基本的スキルの向上が勝因となることは間違いないと思います。ただし、ヨットレースをこれだけ面白いものにしているひとつの要因として、競技中に「いろんなことを考慮する」必要性が他のスポーツに比べて高いことが挙げられると思います。
 
 ヨットレースでは、①乗り手のスキルと気力の充実度、②自然の要素(風、潮)、そして③艇(ボート)とがつねに干渉しあいます。したがって、ひとつのことのみに集中していては、いい結果は望めません。
 
 ヨットレースは、意思決定作業の連続です。レース中は、まさにPDCAサイクルをフル回転させて、常に最良の選択ができるようにならなければ、レースに勝利することは望めないのです。
 
 以前、「大局的な戦略の重要性」についてコメントしました。これも「いろんなことを考慮する」要素のひとつです。「晴れでも雨仕度」もしかり、「行ってはいけない場所」もそうです。「へそにくる感じ」も大事です。もちろんレースに参加する個人の体調、精神状態や、大会前に配布されるレース参加艇のスクラッチシートも重要な要素です。これらの情報や経験則を基に自分たちが臨むレースに勝利するに必要な優先順位づけを行い、いろんなことを考慮しながら1レース1レースを落ち着いて帆走することが重要です。
 
 今回3日間の選手権大会に出場し、5レースを戦いましたが、自分自身まだまだ精神面での安定感に欠くところを痛感しました。私のヨットレース暦も23年になりますが、「いろんなことを考慮する」ヨットレースの面白さを改めて実感しました。オーナー、クルーの皆さんこれからもよろしくお願いします。