自作の俳句

長谷川圭雲

0809健太郎日記健太郎の創作ー拾っちゃダメ(25・最終回) 長谷川圭一

2014-10-02 09:48:22 | インポート

「拾っちゃダメ」(25)最終回

            長谷川 圭一

里見健一は休みたい気持ちで毎日を学校へ向かった。休めば、自分が『盗った』ことを認めることになると、くずおれそうな心を鞭打って毎日の授業をこなした。鴨田留美でさえも、非難はしないが、健一を避けていた。

そろそろ鑑定の結果が出るという日の前日、一人の七十歳位の老人が学校を訪れた。

「校長に会いたい」との申し出に、出張中の校長に代わって、副校長の川添が応対したが、川添は老人の話から、すぐに里見を呼んだ。

里見は、一体何が起こったのか不安な気持ちで校長室のドアをノックして入ったが、ニコニコした川添の顔に、怪訝(けげん)な面持ちであった。

「このお方が先生に、お話があるということです」

老人は立って、里見に挨拶すると、申し訳なさそうに頭を掻いた。

「実は、電車の中で週刊誌の中吊り広告を見て、生徒さんのパンツ盗難の事を知り、特に気にも留めなかったんですが、その高校がお宅の高校だと知って、ぴんときたんですよ。実は、先生が拾った女子生徒さんのパンツは家(うち)の次郎、といっても、私の飼い犬ですが、丁度あの時、門のところを散歩していまして、次郎が、ちょっと門の中に入って、何か口に咥(くわ)えたものですから、あわてて取り上げてみたんですよ。そうしたら、女もののパンツだったので、またそこにおいたまま帰ったんですけど、いやあ、とんだ騒動になっていたんですね。申し訳ありません」

里見は嬉しさよりも思わず熱いものが胸にこみ上げて、慌てて顔をほころばせた。

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 これでこのストーリーは終わりです。ブログで作品を発表してきたOCNの「ブログ人」が11月で終了となり、「gooブログ」に引っ越さなくてはならなくなりました。引越し作業がうまくいくか、またこれまでのブログを全てそのまま引っ越せるか分かりません。

「0809健太郎日記」のタイトルの出だしは変わりません。

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ハセケイ コンポジション(156)・hasekei composition(156)

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