◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「無実が晴れて」って?

2012-12-19 18:49:56 | 言葉についてあれこれ
                           聴力はどれくらいなのかなぁ

 「無実(の罪)を晴らしてもらって」という「とくダネ!」のテロップ、珍しく脳みそを少し動かしているじゃありませんか! さすがに「疑いを」とまでは書けなかったようですが、「無実を晴らして」がおかしいということに気づいたのはいいですよ。「ウェークアップ!ぷらす」なんて、そのまま「無実が晴れてまことにありがとうございます」と書いていましたからね。
 「無実を晴らしてもらって」と言った人は「無実を晴らす」が誤りだとは思っていないようで、「無実を晴らしてもらって」とか「無実が晴れて」とか、何度も繰り返しました。でも、これもこの人だけではないのです。2年ほど前に「無実を晴らすことはできるのか」という例を拾って書いたことがありますから。
 「シラフじゃ入れない」は「報道STATION SUNDAY」で見たテロップですが、話し手は「しらふじゃいれない」と言ったのですよ。ほかの番組でも、話し手が「同じ空間にいれるという感じ」と言ったとき、「同じ空間に入れるという感じ」となっていました。言ったとおり書いただけ、だからこんなことになったわけです。「シラフじゃいれない」と書くならまだしも、「シラフじゃ入れない」なんてあほなことになるくらいなら、やはり「ら」を補って入力しないといけませんね。
 「こういう高い所から富士山を見えるようになって」と書いてあるテロップが目に入ったとき、助詞が変だと思ったのですが、実はそうではなく、話し手は「こういう高い所から富士山を見れるようになって」と言っていたのです。入力作業者には「見れる」が「見える」と聞こえたのか、「ら」を補って「見られる」にするどころか、「富士山を見える」という余計に変な日本語を書き、全く疑問を持たなかったようです。
 「まんてんのほしぞら」と言う人と「満天の星空」というテロップはよく見掛けますが、「満点の星空」まで登場しましたからね、誤りなのかわざとなのか? なんて一瞬考えてしまいますが、入力作業者のレベルからいくとやはり変換ミスでしょう。話し手が「100点まんてんのほしぞら」と言ったのなら「満点の星空」ですが、「まんてんのほしぞら」なら「満天の星」に直しちゃってくださいよ。
 「なんで俺に向くんだよ」というテロップが出たときは「惜しい!」と思いました。カメラが「俺(話し手)」をアップにしたとき、「なんで俺抜くんだよ」と言ったのです。パッと1人だけアップにするのを業界人は「抜く」と言いますが、「なんで俺を抜くんだよ」だったらこの入力作業者も「なんで俺を抜くんだよ」と書いたかもしれません。「おれぬく」が「おれむく」と聞こえた、「向く」だから「に」を補った、いやはや、健闘しましたね、けれど、負けましたね(~_~;)。
 「話ししながら」という「劇的ビフォーアフター」のテロップもそうです。「はなしをしながら」だったら「話をしながら」になったのでしょうけれど、「はなししながら」ですからね、そのまま「話しながら」と書くと「はなしながら」と読むことになりますから、「を」を補って「話をしながら」と書かなければいけないわけですよ。
 話し手が変な日本語をしゃべっているとき、テロップは大概そのまんまですが、直せる入力作業者がいないからなのか、直さなくていいと言われているからなのか? 直そうとして余計におかしくなるなら直さないほうがまだまし、かな? せめて「富士山を見れる」「俺抜く」とちゃんと聞き取れる耳を持った人が入力作業者になるように・・・これも無理かな、今後ますますテロップは訳の分からないものになるでしょうから、変な影響を受けないように気をつけましょう。

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