回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

英国で住宅バブル再来

2013年08月31日 16時25分01秒 | 日記

ロイヤルベイビー誕生に沸く英国だが、最新の英蘭銀行のデータによれば7月の住宅融資承認件数は60,624件に達して2008年3月以来最高となり、つれて価格の上昇も急加速して一戸当たりの平均価格は170,514ポンド(2,560万円)となって2008年のリーマンショック以来の高水準となった。まだリーマンショック以前の高値 186,044ポンド(2007年)までは回復していないが、今年の1月と比較しても平均価格は3.5%、金額にして8,000ポンド以上上昇している。

これは今年になって政府が導入した2つの政策、すなわち、住宅価格の20%までを政府が貸し手に対して保証するHelp to Buy制度と、貸し手の銀行や住宅抵当金融会社がより低利で調達ができるようにした Funding for Lending制度により、貸し出し競争の激化と、住宅購入がより容易になったことによる。しかし、この2つの政策は即効性のある住宅需要喚起策であり、結局はバブルを誘発するもので、持続性がないもの。バブルである以上、いずれ破裂し、住宅価格はもとより金融機関における不良債権の発生とそれに伴う金融市場の混乱を招くものとなる。これに対してカナダ中銀から英蘭銀行総裁に就任したマーク・カーニーは、バブルという懸念は承知しているとして、バブル退治が必要な事態になれば然るべく対応するとしている。

土地神話の崩壊によって、土地あるいは住宅バブルと言う言葉はいつの間にか日本では死語になってしまったが、果たしてアベノミクスで土地バブルの再来はあるのだろうか。また、首都圏に限って言えば、もし2020年の五輪が東京で開催されることになれば、アベノミクス以上に土地価格への影響、すなわちバブルは発生するのだろうか。

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シリア軍事介入ー英国脱落!

2013年08月30日 09時32分44秒 | 日記

ここまでとは予想もしない、また、前例のない保守党内部からの反対票。285票対272票という13票の大差で英国議会はシリアへの軍事介入を否決した。これにより、米仏と共にシリアへの軍事介入をもくろんだキャメロンのシリア政策は大きく挫折した。イラク戦争開戦時の諜報機関からの情報が誤りだったことへの反省が、今回、大量の造反議員を生み出したもの。いくらガスと思われる化学兵器の犠牲になった子供たちの悲惨な映像を突きつけられても、それが政権側によるものだという確信を議員たちが持てなかったのだろう。特に、各勢力が介入して縺れきっているシリアの内戦のことである。イラクのように相手があれほど明確でも、偽情報によって武力介入してしまった英国としては、いみじくもキャメロンが認めたように、国民感情も議会の評決に近いものだったのかもしれない。結局、残虐なアサド政権⇒化学兵器使用⇒懲罰と言った単純な図式に乗っかったキャメロンの状況判断の誤りが明らかになったものだ。キャメロンの誤謬は、また、サウジほか中東諸国が人道的理由ではなく宗教的(すなわち自身の保身のため)理由でシリア反政府軍を支援していることもあり、それが彼の目を曇らせた。

それでも米仏は軍事介入をするのだろう。ここまで来たら、両国には歯止めを効かせるものはない。強大な権限を与える大統領制を採用している2か国はやはり軍産複合体の手の上で踊ることになる。一方今回、英国では、議会が政府の提案した武力行使を阻止した初めてのケースとなった。これはイラク開戦時に端を発した、諜報機関からの情報に議会がいかに不信感を持っているかの象徴である。いくら地上軍の介入がないとしても、また、米国大統領がブッシュでなくオバマだとしても。

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ウオールストリートとシカゴ

2013年08月29日 17時36分44秒 | 日記

マイケル・ダグラスとキャサリーン・ゼタ・ジョーンズが別居、実質的には離婚に向けて動き出した。この2人は結婚時に、離婚条件について契約が取り交わされているから、離婚自体はそれほど揉めたりはしないのだろうが、思春期の子供を二人かかえていることでもあり、罪のない子供たちにとっては過酷な状況になる。また、マイケル・ダグラスは前妻との離婚で4千5百万ドルの慰謝料を払ったというから、今回はいくらになるのかその面でも注目される。

ゼタ・ジョーンズは英国スワンジー出身であり、一方のマイケル・ダグラスは今でも存命の有名俳優カーク・ダグラスの長男で、育った環境は全く違う。ただ、ここ数年は、マイケルが喉頭がん。ゼタ・ジョーンズは躁うつ病とお互いに病魔と闘ってきた。世界的な大俳優と言えどもやはり人間なのだという事を今更のように思わされる話だ。マイケルといえば、2本の「ウオールストリート」ものでの金融犯罪者ゲッコー役が記憶に残っているし、レネ・ゼルウイーガーにアカデミー助演女優賞をさらわれたとはいえ、「シカゴ」でのゼタ・ジョーンズの演技も秀逸だった。横道にそれるが、「シカゴ」で、ゼルウイーガー扮するロキシーの判決で新聞は有罪、無罪の2つのシナリオでそれぞれの号外を用意し、無罪判決を受けて新聞配達少年が一方(無罪Version)を持ち上げるシーンはユーモラスかつ、新聞社の狡猾さを表現して楽しめたものだ。

映画俳優としては存在感のある重厚さがうりものの2人、余計なことかもしれないがまずは病気の治癒と、二人の子供の将来をよく考えて欲しい。特にマイケルは既に68歳であり、いずれにしてももうそう先は長くないのだから。

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戦争する指導者の顔は

2013年08月28日 11時07分09秒 | 日記

キャメロンのテレビ演説を見ていると、ブレアがかつてイラクに介入した時の表情と生き写しに見える。ブレアの時の大量破壊兵器(Weapons of Mass Destruction―化学兵器を含む)を個別に化学兵器(Chemical Weapons)へと置き換えれば良いだけだ。やはり一国の首相にとって軍事介入に踏み切るには想像もできないような心理的負担があるのだろう。その結果、演説の時の表情も瓜二つとなる。

化学兵器が使用されたのか、そしてもし使用されたとして誰が使用したのか、しばらくは判らないだろう。シリア内戦への遅すぎた米国の対応、そして英国ではキャメロンもブレアと同じ過ち、すなわち、不確かな、主観的な情報による軍事介入を繰り返すことになる。

http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/

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国連の落日

2013年08月27日 16時32分21秒 | 日記

同時多発テロの直後、丁度ニューヨークに駐在中だったが、自宅と通りをはさんだところ、イーストリバーに面した国連本部では、その当否はともかく、国際テロ活動およびそれを支援する組織に対し次々と決議が繰り出されて国際社会としての意思を表明していたが、今回のシリア内戦では全く機能していない。その最大の理由が事務総長の無能によることは明らかだが、機能不全の国連を見限って米英仏は事務総長を全く相手にしなくなっている。

シリアのダマスカスで化学兵器が政府軍によって使用され、数千人の犠牲者が出ているとして米英仏の軍産複合体がシリアに軍事介入という新たな戦争を始めようとするまさにその瀬戸際にある時に、国連に何等の関係もない出身国にお国入りをするとは、国連も哀れな人間を事務総長に選任したものだ。そして浮世離れした世迷言を垂れ流すとは・・・

かつてはハマーショルドのように卓越した指導力のある事務総長のもとで国連は核大国の狭間で非力ながらもその存在感を持っていた。国連本部に近いハマーショルド広場で、アフリカの内戦の調停に奔走し、最後はローデシアに散ったスエーデンの外交官に思いを馳せながら、それでもさわやかな秋の陽射しに中、アカデミー賞女優キャサリーン・ヘップバーンの庭の角を散策した日々を思い出す。

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